#36 相手の考えを引き出すための「問い」の技術

こんにちは!
今回は「問い」というテーマで書いてみたいと思います。

僕は塾講師として「教える」ということよりも、「問う」ということを追求しています。

「問う」=「質問する」というと
・相手のことを知る
ことが目的だと思われがちですが、「問う」には実は

・相手の思考を誘導/整理/活性化する

という効果もあります。
「問う」ことで、相手の思考に働きかけるということです。

今回は普段あまり注目されることのないこちらの側面に焦点を当てて、簡単に真似できる技術を2つご紹介します。

部下や後輩の育成に苦心している方や、コンサル・トレーナー業の方などには役に立つ手法かもしれません。

「問い」で思考に働きかけるとは?

例えばあなたがテニスの指導者だとします。
自分が指導する選手に

ボールの回転を良く見る

という意識づけをしたいとしましょう。

ここで

「ボールの回転をよく見て!」

と直接的に伝えるのもひとつの方法です。
ですが、ここで一工夫して「問う」という技術を使ってみましょう。

「さっきのボール、どんな回転をしてた?」

この質問をされると相手の思考は

(えっ?どんな回転だったっけ…?)

というところに強制的に引っ張られます。
そして自分がボールの回転をはっきり認識していないことに気づきます。

この質問をプレーが切れるたびに3回ぐらい続けられるとどうでしょう?

(次も聞かれるんだろうな。回転をよく見ておこう)

という意識を自然と導くことができます。

これが「問う」ということの効用です。

これは思考の誘導の一例ですが、誘導の他にも整理や活性化なども可能です。

簡単に真似できる技術を2つ紹介します。簡単だし、失敗した時のリスクが少ない方法を選んだので、気軽にトライしてみて下さい!

オウム返し

相手の言ったことを「?」つきでオウム返しします。

A「近いうちに転職したいなと思っていて、そのために資格を取るための勉強をしようと思って色々調べてるんですよ」

B「へー。資格を取りたいんですね?」

こんな感じ。

オウム返しの最大の効用は「パス」ができるということです。

会話は基本的に互いが交互に話していくわけですが、相手の考えを引き出したい時にこちらが下手に情報を加えてしまうと相手が本当に話したいこととは違う方向に会話が向かってしまうかもしれません。

オウム返しは相手が言ったことを繰り返すだけですから、会話の上で情報量が増えません。でも、会話の手番は相手に移ります。
つまり「自分の会話番をパスする」ということです。

こうすることで相手は自分の話したいことに思考を集中できます。結果的に相手の思考を活性化することに繋がるワケです。

また、相手が話し好きな人の場合は話しが加速しすぎて自分でもどこに向かって何の話をしているのかわからなくなってしまうことがあります。

オウム返しをする時に少しだけ速度をゆっくりにして返すようにすると、会話のペースをスローダウンさせることができて相手の思考を整理することに繋がります。

具体化

相手が言ったことをより具体化するように質問を重ねることも、思考を活性化する助けになります。

A「今の職場はとても気に入っているんです」

B「例えばどういう時にそれを感じるんですか?」

こんな感じです。
ちなみに「例えば」は結構マジックワードで、これを添えるだけで相手はかなり気軽に答えられるようになります。

具体化の質問を考えるのが少し難しいと感じる人は5W1Hを意識して下さい。

Who(誰が?)
What(何を?)
Where(どこで?)
When(いつ?)
Why(なぜ?)
How(どうやって?)

相手が言ったことにこのどれかをくっつければ、だいたい具体化の質問になります。

「育てる」から「引き出す」へ

いかがでしたか?
どうしても年長者や指導する側に回ると、相手の考えていることを低く・少なく見積もってしまいがちです。

僕は10年以上生徒指導をしていて痛感していますが、彼ら・彼女らは僕らが見積もっているよりも遥かにたくさんのことを考えているし、感じています。

それを言語化することができないから、伝わってこないだけです。

そう考えれば相手を「育てる」必要なんてあまりないんじゃないかと僕は思っています。

本当に必要なのは「引き出す」ということ。

「問う」という技術はその大きな助けになってくれます。

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<この記事を書いた人>
Kai Nishitomi
1988年生まれ。兵庫県神戸市出身。
塾講師(兼塾経営)。
「学習法を教える」ことを専門とした新しいスタイルを開拓し、プロ講師として自塾や大手塾で授業を担当。
現在は指導者向けの研修、社会人向けの学習サポート、20代向けの起業・独立支援など活動の幅を広げる。

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