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日記 6/29

靖子ちゃんの曲を聴いていると、ノスタルジックになってる自分が好きになれる。

ぼくの人生は1年ごとにその年のテーマ曲、みたいなのがあると思ってて、14歳。中学2年生は子供じゃないもん17だった。
14歳なのに?って思ったかもしれないけど、当時からマセガキだったぼくにとって高校に通っていないぼくにとっての17歳は14歳で、想いを寄せていた先生がわたしの教室探してくれる優しさでギリギリ制服で居られた。
学校のことは大嫌いだし今でも傍を通る度に消えたくなってしまうけれど、先生と2人きりで過ごせた理科室と、先生が迎えに来てくれた教室と、先生を出待ちした職員室前だけは、あの時だけは、大好きだった。
先生は既婚者だった。
それを知ったのは好きになってから1、2ヶ月後のこと。
だけど、もう誰かのものになってる先生のことも好き。お家では旦那さんのものかもしれないけど、学校ではそうじゃないって思ってたもん。
空いてる時間をぼくのための授業に使ってくれたから、学年行事で集まるときにわざわざ呼びに来てくれるから、ぼくのことを名前とちゃんで呼んでくれるから。先生はぼくのものだと思ってた。
ぼくが3年生になった年に、先生は違う子の担任になった。ぼくは素直な子だったから先生のいうことを聞いていたけど、違う子はぼくよりもっとややこしくて、理性的だと思ってた先生が手を焼いてるのを見てしまって、ああ、ぼくの知らないところがあったんだ、って、それがぼくじゃなくて、あの子の前で見せる顔なんだ、先生はもうぼくのものじゃないんだ。
先生が髪を少し明るくしたとき、「ひみつだよ」って言ってくれたの、ずっとずっと忘れられない。

制服を着られなくなってから、1年のテーマ曲が靖子ちゃんになることが少なくなってしまった。制服が着られたあの頃からアイドルは好きだったし、セーラー服が着られたあの頃から矢花さんのことは好きだったのに、わたしがわたしを汚してしまったから。制服には魔法がかかってるから。制服が着られなくなった春。わたしの人生を照らす蛍光灯がぱちんと消えた。せめて、制服が着られたあの頃から、制服が似合う女の子になってみたかったなぁ。短い丈のセーラー服も、憧れのブレザーも、きたない大人に消費されるだけの人生になんか、ほんとはしたくなかったよ。

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