マガジンのカバー画像

剣と盾の怪奇録

15
見た目の強い叔父と冷静な甥の出会う怪異を書いた、短編ホラーをまとめてます。 大体1話完結です。
運営しているクリエイター

#短編

【創作小説】剣と盾の怪奇録「弥命のバースデー・イブ」

八月が叔父さんの誕生月であると知ったのは、つい最近だった。 今月である。何も用意出来てい…

宵待昴
6日前
7

【創作小説】剣と盾の怪奇録「押し売り」

庭から、幽霊画の押し売りが来た。 断っているのに、弥命さんが良いと言っている、と言って縁…

宵待昴
6日前
7

【創作小説】剣と盾の怪奇録「ゲームセンター」

「タテちゃん!ゲームセンター行こうぜ!」 「ヤマト。何、突然」 学食でお昼を食べた後、本を…

宵待昴
2か月前
10

【創作小説】剣と盾の怪奇録「おつかい」

夜。 家に帰って来た途端、スマホが鳴った。仕事に行っている叔父さんからだ。 「もしもし?」…

宵待昴
2か月前
7

【創作小説】剣と盾の怪奇録「破魔弓」

最近、夢見が悪い。 よく覚えてないけど、鳥のようなものが纏わりついてきて、攻撃される。何…

宵待昴
3か月前
11

【創作小説】剣と盾の怪奇録「手鏡」

「旭、それ最近多いけど、自覚してやってんのか?」 「はい?」 居間で、少しぼんやりしていた…

宵待昴
4か月前
7

【創作小説】剣と盾の怪奇録「呪い紙」

旭の叔父・弥命は、最近調子が悪い。倦怠感と夢見の悪さが続いているだけなのだが、原因が分からず困っていた。 そんなある日の夕方。旭は家に帰って来て、門扉をくぐったところで気付く。 「紙が埋まってる……?」 足下の地面に、白い紙切れが埋まっているのが見えた。旭は気になって、その紙を掘り出す。少し汚れてはいるが白く正方形で、字が書いてある。 『御剣弥命』 「叔父さんの名前?」 旭は首を捻る。御剣弥命。弥命のフルネーム。それが記されていた。旭には、見覚えの無い字。 (何か、気持ち悪い

【創作小説】剣と盾の怪奇録「迎えに」

※前話「シキの駅」https://note.com/subaru9010/n/nd1b0eb496376?sub_rt=share_pw とセット…

宵待昴
4か月前
7

【創作小説】剣と盾の怪奇録「シキの駅」

※次話「迎えに」https://note.com/subaru9010/n/n303cc7b563a1?sub_rt=share_pw とセットの…

宵待昴
4か月前
7

【創作小説】剣と盾の怪奇録「埋めた話」

夕方。 縁側に座ってぼんやりお茶を飲んでいたら、いつ現れたのか、庭先に、白い着物を着て、…

宵待昴
5か月前
6

【創作小説】剣と盾の怪奇録「亀と作家」

旭が弥命の家に住み始めて、一週間ほど経った頃。 夢を見た。 家の前に、ガラス細工の小さな亀…

宵待昴
5か月前
7

【創作小説】剣と盾の怪奇録「新天地と人形」

一人暮らしの僕の部屋が不審火により焼失したのは、夏の終わり頃のことだった。 大学に行って…

宵待昴
9か月前
5

【創作小説】剣と盾の怪奇録「帰り際」

叔父さんの滞在中、僕は結構その耳元を目で追っていた。大きな金魚のピアスが、涼しげに揺れて…

宵待昴
9か月前
3

【創作小説】剣と盾の怪奇録「口止め料」

祖父の葬儀がつつが無く終わった晩。 仏間に入ると、白地に赤い金魚柄の主張が激しいシャツを着た叔父さんが、一人で模造の短刀を手に何やら空を斬っていた。耳元で、こっちも金魚が大きく揺れている。まずいところに居合わせたかもしれない。静かに回れ右するより前に、叔父さんが振り向いた。人一人殺った後みたいな目で射抜かれ、次は僕の番かと観念する。凄い速さで短刀をしまうと、勢いよく僕に近付き肩を抱く。首でも締められるのかと、身体が強張った。 「コンビニ行かねえ?」 「外で証拠隠滅ですか」 「