2015年5月30日

【土曜日と美大生】

20時過ぎ。駅前の居酒屋に入ってからちょっとして、地震があった。店内の四角いテレビが、小笠原沖で震度5強を知らせていた。この辺は3だったようだ。「揺れた?」ぐらいの感じだった。

5日前の地震。月曜の授業中のことを思い出す。連れに話したら、「自然は甘くない」と、登山家が言うみたいなメッセージを添え、『反逆する風景』(辺見庸・著)のことを教えてくれた。模範解答と一字一句変わらない答えを見た時のように『おぉ!』と思った。

話している時、相手の彫りの深い目から凹凸が消えて、線になっていくのが見えた。ぼや〜っとでなく、、酒も飲んでいなかったし、体調も悪くなかったから奇妙で、でも言わないでおこうと思った。そう思った訳がわからないし、それも奇妙だと思った。

木〜土で7週間にわたる実技授業の最終日だった今日。最終日は毎年、提出に間に合わなかった落第生や、講評で心が折れた制作者のフォローをするための予備日に設けてあり、やがて座談会になる。S君は「表現したいと思ったことがない」と発言し、教室を凍り付かせた。私は「おぉ!」と前のめりになりかけたけど、「私も!」という脳裏の文字を一瞬で消し去った。

終業後、アンケートに目を通す。「からをやぶれといわれたが、そのきっかけがここにはなかった」と書かれた一枚があった。しっかりとした自己表現を否定的にも肯定的にも思いながら、「欠席しなかった!」と書かれた別の一枚を上に重ね、提出先に持って行った。

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