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隠されたメッセージ:Video making team Prize for the best performance

先日、第18回のショパコンから1年の節目に、主催のショパン研究所が動画を公開しました。

動画の概要欄にこんな一文を添えて。

On the anniversary of the 18th Chopin Competition final result announcement, let us present a short video to recall the most beautiful moments of this unique musical event.
(自動翻訳:第 18 回ショパン コンクール最終結果発表の記念日に、このユニークな音楽イベントの最も美しい瞬間を思い出す短いビデオを紹介しましょう)

動画には、優勝したブルースの演奏に乗せて、ファイナリストたちの姿と共に、白い文字でコンクールを統括する言葉が記されていました。87名の参加者がいて、17か国からの参加で、15日間の審査で……とそこで私の目に、にわかに信じられない一コマが飛び込んできたのです。

「え、Hayato Sumino!?」
慌てて時間を戻して再生しなおすと、間違いなく、角野隼斗がワルシャワのステージでピアノに向かっている姿がそこにありました。

最後まで見てもファイナリストではないのに載っているのは彼だけ。なぜ……? 一応の答えは次の白文字にありました。
『Millions of listeners from 154 countries』
(154か国からの何百万人もの視聴者)
『Record-breaking reach of broadcasts and media streams』
(ブロードキャストとメディア ストリームの記録を打ち破った)
これに合わせて、かてぃんさんを組み込むことにしたようでした。
(かてぃんさんの二次配信のリアタイが研究所チャンネルの数字を塗り替えたというのは当時も話題になっていました。参照:ピティナのnote

よく見ると、かてぃんさんの画像は手元を映したものと合わせて2枚(10/4のリアルタイム視聴者数を記録したものを含めば3枚)使われていました。

でも……正直、単純に喜べなかったんです。わかるけど、なぜ? の気持ちのほうが強くて。次々と映し出されるファイナリストたちは皆、笑顔だったり、真剣な表情だったり、オーケストラを背景にしていたりして、華々しい。
それに対して、かてぃんさんは舞台裏のモニタ画面を撮ったものでハッキリ誰と分からないし色褪せていて画質も劣る。ファイナリストと同列の画像を使えないのなら、三次の反田さんだって同じくらいリアタイいたし、数字はわからないけれど注目度高かったはずのファイナルの同接のほうにすればいいのにと思いました。リアタイじゃない再生数で見れば、18回ファイナルの再生数は反田さんがぶっちぎりですし。(反田さんのぶっちぎりは公式が記事にしていました。こちら:英語

この動画を見つけたのは公開から2日ほど経ったあとだったので、他のファンがどう感じたかTwitterでURL検索をしてみたのですが、まだ角野ファンはなにも呟いていないようでした。

そこでこんなふうに呟いてみました。

いろんな反応がありました。嬉しいと思う方や、私と同じく少し複雑という方もいて、様々。
(ちなみに色褪せた、が誤解を招いたようで、私のメンタルをご心配いただくDMも何件かいただいてしまい、申し訳なかったなと反省。もちろん良い意味では使っていないのですが、自分的には色味や取り扱いに差がついている客観的事実として書いたつもりでした。文章を扱う者として改めて、言葉は受け取り手のものでもあるということについて考える良い機会にもなりました)

このあと、少ないヒントの中から制作者の意図を見つけたいと思い、他の画像を見てみました。構成成分は『ファイナリスト』『観客』『カメラおよびスタッフ』がほとんどを占めていて、特に注目したいのは『カメラおよびスタッフ』の部分。

この動画をショパンコンクールの統括、振り返り、とするならば、ファイナリスト以外の参加者や審査員の姿があってしかるべきではないかと思うのですが、それがない。
本国ではテレビやラジオでの放送もあったけれど、その様子もない。ほかにもいろいろ。
白文字の記録が広く対外的であるのに対し、使用している画像は撮影クルーの視点や仕事ぶりを中心とした範囲の狭いものが多いのです。

装飾の陰に隠れて撮影してるカメラマン!

なるほどな、と。これもまた、矜持のメッセージだと感じました。
かてぃんさんが公開したショパンコンチェルトの動画から感じた、角野隼斗を支える人々の矜持は、裏方に徹することにあったように思います。(参照note
しかしこっちは、もっと裏方仕事を前面に押し出した、清々しいまでの『俺たちが作った、俺たちから見たショパンコンクール』を感じました。カメラのシーン多すぎてニヤニヤしちゃいます。

カメラどーん!笑

もしかしたら、上からのお達しは『ファイナリストの映像で統括動画を作って』のようなものだったのかもしれません。それでも仕上がりの裁量は制作側に任されていた、というところなのではないかと。

要するに、『無茶しやがって』案件なのではないかと、思い至りました。
ファイナリスト以外のイレギュラーを組み込む正当な理由として『リアタイ記録』を盾に、これは舞台裏のモニタ画面を撮影したものですよ、ファイナリスト以外の参加者は載せてないですよ、という『建前』を使って、裏方仕事人の人々にとってのヒーロー、Hayato Suminoを18回の統括にどうしても入れたかったのではないかと、感じました。

動画制作スタッフや、撮影スタッフたちの仕事は、単なる記録係ではありません。ピアノと引けを取らない専門技術とチームワークを要する大変な分野です。しかし、自分たちの仕事を視聴者に届ける術を、彼らは持っていない。そんな中でコンクールの場に現れた、100万人(当時は80万人くらいだったかな)のチャンネル登録者数を持つ、今と未来を颯爽と生きるピアニスト、角野隼斗。彼らにとってその存在は、彼らの仕事を視聴者に届けるスターであり、ヒーローであり、リスペクトの対象であるのだと思いました。

きっと、その敬意を込めて、今回のコンクールにおいてのかてぃんさんの功績を形にしたかったのではないかなと。

すなわち、
『Video making team Prize for the best performance』
(映像制作チーム 最優秀賞)
ということですよ。無茶しやがって。

彼らはきっと、彼らのカメラで、彼らの編集で、角野隼斗のショパンコンチェルトを撮りたかったのではないかとも思いました。
もしかしたら、ショパンの命日に公開されたコンチェルトの動画を観て、「俺たちのほうがもっとカッコよく撮れた!」と思っているかもしれません(笑)
いつかワルシャワフィルのホールでコンサートする時には、めっちゃくそカッコよく撮って、動画上げてください! 期待しています! 100万回観ます!

なんて、全部、オタクの想像ですけどね!

なにはともあれ、記憶に残り、記録に残るピアニスト、角野隼斗。
本当に本当にすごいことです。

私はずっとこれからもYouTubeで角野隼斗の音楽と映像を観るのが大好きです!


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