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角野隼斗ショパンコンクール

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ポーランド国立放送交響楽団2024/2025シーズン:オープニングコンサート(ソリスト:角野隼斗)をラジオで聴いた

10月4日の26時、ショパンコンクール以来のポーランド語を浴びながらラジオを聴いていた。ポーランドの都市カトヴィツェで開幕する新シーズンのコンサートを聴くためだ。 経緯はコチラ 放送枠は現地時間の19時から22時。生放送で開演は19時半からなので、それまでの時間はポーランド語の中から英語に似た音を探す時間だった。 知っている言葉や人名、地名などが出てくればわかる。冒頭でHayato Suminoと聞こえたあとは美術館でマンガ展があるなど、お知らせが10分ほど続いて、ノスプ

-ワルシャワ7/20-(第18回ショパン国際ピアノコンクール予備予選/角野隼斗)

慄える細い指が、白い鍵盤をなぞる。角野隼斗がクラシックを弾くときの厳かな儀式。静かに、静かに。彼がこんなに緊張しているのを見たのは初めてかもしれない。 全神経を指先に集中させてショパンへの募る想いをぽつりぽつりと語り始めた。ノクターンOp.48-1がホールに微かなこだまを響かせる。静かに燃える音が灯る。青白い炎。この音だ。この音をずっと待っていた。どんなに緊張していても、紛れもなく彼の音色だとわかった。どうか、この音がショパンに届きますようにと、祈るような気持ちで聴き入った

10/4 角野隼斗【第18回ショパン国際ピアノコンクール1次予選】

10月4日の日本時間で午後7時半。角野隼斗がワルシャワフィルハーモニーホールのステージに上った。 率直な感想は「もう優勝!!!」。ファンなので。 「角野隼斗のここが好き」な音を存分に聴かせてもらえたし。というか彼がショパコンに出ると知ったときからずっとこの気持ちは変わってない。いや、変わってる。最初の頃は「そうだったらいいな」という朧げな希望的意味合いが強かったけど、今はもっと強い気持ち。 実をいうと予備予選の少しあとから、noteで彼を褒めることを書くのを躊躇っていま

10/10 角野隼斗【第18回ショパン国際ピアノコンクール2次予選】

演奏の感想を書こうと思っていましたが、もう私がどんだけ角野隼斗を好きかなんてことはさんざん一次の感想で書いたので、ちょっと違う視点で書いてみようかなと思ってます。 【ポロネーズ作品53(英雄ポロネーズ)】 このnoteで書いて、何度もリンク貼ってるので、身近な沼の皆様はご存知のかたもいらっしゃると思うんですが、私はこの曲が大好きです。クラシックは結構好きでも、特定のピアノ曲にこだわっているのはこれだけ。普通に好きな曲は他にも多くあるけど、この曲だけは特別で。 長くなるの

10/14 角野隼斗【第18回ショパン国際ピアノコンクール3次予選と結果発表】

14日の夜、正しくは15日の午前1時。三次予選初日のイブニングセッション2人目の演奏者として角野隼斗がステージ袖に現れた。 控室から出てきた角野は適度な緊張感を持ちつつも落ち着いた表情で身なりを整えその時を待つ。時折、指パッチンをしたり、ハンカチのありかを確認したりしながら、スタッフの声掛けに柔らかく微笑んでスタンバイ。 階段下で佇む表情がショパンを思わせる。すっかりなりきっている。茶化す意図はない。このなりきりの生む心理状態はとても大切と思う。 拍手の中、角野がステー

ポーランド国立放送交響楽団×マリン・オルソップ×角野隼斗

2022年9月7日 川口リリア メインホール 19時開演 この日は、全国11都市を巡る来日ツアーの初日でした。まずなによりも、皆さまが無事に来日でき、こうしてお目にかかることができただけで、感無量でした。ようこそ日本へ!! そして、私にとっても、そして角野さんにとっても、特別な一日。忘れないように感想を書いておきたいと思います。なるべくいろんな人が目にしていいようにとは意識して書くつもりですが、やっぱり想い入れが強い公演なので、ファン目線がいつも以上に濃いめになるかと思い

角野隼斗は世界に試され続ける道を選んだ

角野隼斗が自身のYouTubeに久々の動画を上げた。 40分を超える大作【ショパン: ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11】 動画が公開された10月17日はショパンの命日。数日前のYouTubeライブの折に「17日21時プレミア公開」と告知され、ファンの間では何が投稿されるかの予想も盛んに交わされた。 深夜0時を30分ほど過ぎた頃、内容に関しての知らせが。 通知がきたとき、私はこの曲をSpotifyで聴いていた。CDが近く発売予定であるため、ショパンの命日である17日

隠されたメッセージ:Video making team Prize for the best performance

先日、第18回のショパコンから1年の節目に、主催のショパン研究所が動画を公開しました。 動画の概要欄にこんな一文を添えて。 動画には、優勝したブルースの演奏に乗せて、ファイナリストたちの姿と共に、白い文字でコンクールを統括する言葉が記されていました。87名の参加者がいて、17か国からの参加で、15日間の審査で……とそこで私の目に、にわかに信じられない一コマが飛び込んできたのです。 「え、Hayato Sumino!?」 慌てて時間を戻して再生しなおすと、間違いなく、角野

戦場のピアニストと角野隼斗

2024年6月10日の深夜、とあるWEBサイトが更新された。 そこには、ひとりの日本人ピアニストの名が記されていた。 『Hayato Sumino』 ポーランド国立放送交響楽団(NOSPR)と指揮者マリン・オルソップとの再共演の報せだった。しかも楽団の本拠地、ポーランドで。そのうえ当公演は2024-2025シーズンの開幕公演という大抜擢。 追記:なんと開幕公演というだけでなく、この日はホールオープンから10周年の記念日! NOSPRとマリン・オルソップ。角野隼斗を語る上