マガジンのカバー画像

いまこれを読んでいるのですが

2
書評を適当にまとめます
運営しているクリエイター

2019年6月の記事一覧

『ドン・キホーテ』あるいはメディアの狂気と「アンチ自己啓発小説」

 イタロ・カルヴィーノは、名著である『なぜ古典を読むのか』という本で、古典というのは「今読み返しているのですが……」という恥ずかしさを持つ本であると述べている。  と、同時に「読み返す」ことで、また同時に豊かな解釈が開かれる、と言ったことを述べている。  そういう類の本というのは、自分にとっては『ドン・キホーテ』であり、「今読み返している」と言いながら、つい最近、こっそり読んだ本でもある。  『ドン・キホーテ』は、一般的には近代小説の走りと呼ばれていて、さまざまな作家や研究