空気だって呼吸するのに

重なるときは重なる方式でここ数日は忙しかった。これでもかとキーボードを叩き続けた。腱鞘炎の痛みは頑張った証。それはいいけどお尻が痛いのは嫌い。定期的に椅子から立ち上がるのをサボるとこうなる。反省。

ごはん食べるのも面倒だから家にあったミックスナッツと黒かりんとうで騙し騙しやってたら夜になった。さすがに何かの食料を求めて外に出る。半ズボンは寒かった。半ズボンだと格好がつかないのでハーフパンツ。通りかかった閉店間際のパック寿司屋には人が群がっており怖かったし何なら30%オフ止まりなのでそのまま通過して、駅前の交差点。酔っ払いがたくさんいる。楽しそうに大声で千鳥足。お酒はどこで飲めるんだろう。きっと知っている人は知っている集まっている場所に集まっている。それだけのことだ。仮に場所を教えてもらったとして、一見客に居場所はないので行くことはない。お酒はどこで誰と飲むかがすべて。はやくコジンシュギ開けたい。明るいコンビニに入店する。多種多様なラインナップで充実した商品の陳列をしばらく見つめてから退店。隣にあった、あんまり利用したことのないほうの牛丼屋に入ってみる。誰もいない。厨房から響く「ただ今のお時間テイクアウトのみとなっておりまーす」という声。店員さんはいた。食券を買って渡して無音の店内で立って待つ。静かすぎる。BGMが鳴っていない。無音だと白い内装は圧迫感をおぼえる。足元にセミみたいなかたちの蛾が落ちていた。動かないけど死んでいるのかわからない。じっと見つめてもキモいと感じない色合いの蛾だった。温かい商品を受け取って帰路につく。

駅前はやっぱり賑やかで、なのに駅から離れるとすぐに静寂がおとずれる。人が歩いていない。月も出ていない。漂っている空気には存在感がない。空気が息をしていないんだと思った。呼吸することをやめた空気のなかで蛾は床に落ちていった。

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