中根すあまの脳みその36

さて、毎週金曜日、週に1回投稿している「中根すあまの脳みそ」だが、今回は初の対談形式をとらせていただきたいと思う。
お相手は、神奈川県某所、中根すあまの実家にて悠々自適な暮らしを満喫している、セキセイインコの中根諭吉さんだ。
なお、今回の対談に先立ち、22世紀から「動物の言葉を日本語に翻訳することができるこんにゃく」を取り寄せ、諭吉さんには、あらかじめそちらを食べておいてもらった。その点ご承知の上、楽しんでいただければと思う。

すあま「この度は対談のお話を快諾いただき、本当にありがとうございました。本日はよろ
    しくお願いします」
諭吉 「えっそんな、お堅いカンジ?(笑) こちらこそ、よろしく」
すあま「(笑) ちょっと、どんな感じでお話しされるのか想像がつかなかったので」
諭吉 「そりゃそうだよな」
すあま「そんな渋い感じだったんですね。普段はかなり甲高い声で鳴かれてるから、
    驚きました」
諭吉 「人間にはそう聞こえるらしいな。でも、俺の中ではいつもこっちだから、お前が
    、慣れてくれ」
すあま「わかりました(笑) 早速ですが、諭吉さんこの家での暮らしはどうですか?」
諭吉 「快適に過ごしているよ。住む場所も、飯も、何ひとつ不自由ない。」
すあま「それを聞いて、安心しました」
諭吉 「でもなあ、ひとつだけ納得いかないことが…」
すあま「あら、なんですか?」
諭吉 「俺の名前、『諭吉』だろ?なのに、いつも俺の世話をしてくれている『お母さん』などという人間、いつも俺のこと『ちーちゃん』って呼ぶんだよなあ。諭吉、大人の男ってカンジで気に入っているんだが、ちーちゃんはなんだかなあ、照れくさくなっちまう」
すあま「あはは、実は諭吉さんの名前を決める時、うちの母親が『ちーちゃん』って呼べる名前がいいって言ってたんです。だから『諭吉』は、『ちーちゃん』ありきで無理やり考えた名前っていうか…」
諭吉 「そうだったのか!!それは知らなかった」
すあま「でも、諭吉さん普段、調子よく『ちーちゃん!』とか『ちーちゃんおりこうさん!』とかおしゃべりなさるじゃないですか(笑) てっきり気に入っているのかと」
諭吉 「そりゃあおめえ、そのほうが喜ぶからに決まっているじゃないか。俺は、自分で飯を用意したり、居場所を掃除したりできない。だから、人間の言葉を覚えて、真似する、お母さんや家のやつらを喜ばせる。それが俺にできる恩返しってわけだ。他の鳥のことは知らねえけどよ、少なくとも俺は、そう思ってるぜ」
すあま「そうだったんですね。今のセリフ聞いたらうちの母親、感動して泣いちゃうと思いますよ」
諭吉 「ははは、あいつならそうだろうな。良くも悪くも感情が豊かなやつだからな、お母さんは。まあ、俺も楽しませてもらってる」
すあま「楽しい人ですよね(笑)…でもやっぱり絆が深いですね。ちなみに家にいる他の人間については、どのような印象をもっていますか?」
諭吉 「チビ、いるよな、あのチビ」
すあま「ああ(笑) 小学4年生の次女ですね」
諭吉 「あいつは、俺が外に出た時に真っ先に手を出す。あと、俺が床を歩いているとき、危うく踏みそうになったこともあったんだ。行動に気を付けるように言っておけ」
すあま「言ってはいるんですけどねえ。あの子はなんていうかすべてにおいて雑なんです。ご飯食べる時も、ボロボロこぼす」
諭吉 「(笑) 想像できるな。あとあいつ、しょっちゅう俺に暴言吐くんだよ。100年早いと言っておけ」
すあま「伝えておきます(笑) では、父親についてはどうですか?」
諭吉 「あー、『お父さん』な。あんまりかかわらないからよくわからんが、あいつの肩や背中はとにかく落ち着く」
すあま「外に出ると、真っ先に向かいますもんね」
諭吉 「あいつの背中には何か不思議なパワーがあるな。きっと鳥ならどんなやつでも抗えない、そんなパワーだ」
すあま「へー、人間界じゃあそのパワー全然発揮されてないですね」
諭吉 「ははは、そうなのか。残念なやつだな、あいつ」
すあま「ちなみに、私はどうですか?」
諭吉 「お前、最近やっと俺に興味持ち始めただろ」
すあま「そんなことないですよ!!諭吉さん来たばっかの頃、めちゃめちゃかわいがってた
    の私ですよ!!」
諭吉 「俺がまだ小さくて、かわいかった頃だろ?俺が成長したら、すぐに興味を無くした」
すあま「そんなことは…」
諭吉 「ほら(笑)」
すあま「それは、まあ、忙しい時期だったんですよ…」
諭吉 「まあいいよ(笑) でも最近はよく会話するもんな。この対談の話も、最近距離が縮まってきてたからこそ、実現した」
すあま「そうですね。意外と話が合うことに、最近気づいた」
諭吉 「おせえんだよ(笑)」
すあま「(笑)」
諭吉 「ところで俺からも、聞きたいんだが」
すあま「お、なんですか?」
諭吉 「俺のこういうところが困る、とかあったら教えてほしい。家の連中には感謝してる。だからこそ、直していきたいんだ」
すあま「うーんそうですねえ」
諭吉 「なかったら、無理して出さなくていい。俺がよくできた鳥だってことくらい、俺も知っている」
すあま「いやいや、あるから(笑) …やっぱり、すぐ噛むところかな」
諭吉 「お、お前、それは許せよー」
すあま「あれ、かなり痛いんですよ。指に穴が開いて、さらにその穴が貫通するかと思うくらいには痛い」
諭吉 「それはっ、しょうがねえんだよ。俺、こんなんだから、撫でられるのとか照れくさいったらありゃしねえ。悪気はねえんだ」
すあま「でもーー、痛いんだよーーー!!!(笑)」
諭吉 「すまん!!!!(笑)」
すあま「(笑)」
諭吉 「わかったよ気を付ける。ただ、くすぐったくてしゃあねえときは許せ」
すあま「まあ、すこしずつですよ、そういうのは」
諭吉 「お前、誰に向かってしゃべってんだ、なんだその上から目線(笑)」
すあま「これからも、仲良くやっていきましょー!」
諭吉 「お前―!このやろ…、ごほっ、ごほ、ごほ、ごほんっ」
すあま「諭吉さん?大丈夫ですか?」
諭吉 「…ちーちゃんおりこうさん!!!」
すあま「?!…もどってる」
諭吉 「ちーちゃんおりこーしゃん!!!」
すあま「あ!これは!『動物の言葉を日本語に翻訳することができるこんにゃく』の破片!咳をした拍子にはきだしちゃったんだ」
諭吉 「ちーちゃん、かっきょいい!!!」
すあま「しかたないですね、諭吉さん。今回の対談はここまで。本日はありがとうございました」
諭吉 「ちーちゃんおりきょーさん!!!」
すあま「いで、いででででででで!!!指、穴、貫通する!!!」


さて、お楽しみいただけたでしょうか。
以上、中根すあまの実家、1階、ダイニングルームとキッチンのちょうど境目にある、
鳥かごの前より、お送りいたしました。
願わくは、中根諭吉(通称ちーちゃん)の悠々自適な毎日に幸多からんことを。


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