中根すあまの脳みその221
20分に1回しか来ない電車を待つ20分の空白。
本を開く親指の爪に彩られたピンク色のラメが、ページに反射して輝いていた。きらきら。
人間なんて案外、こんなことで元気になれてしまうのである。
正解の電車に乗っていたのに何を思ったのかそれをあやまちだと思い込み、1度降り、数秒後、結局それが正解だったと気づき、情けなさに苛まれながら新しい電車を待つ、この世で最も無駄な時間を過ごしたことなど、
お客さんから5800円を受け取ったにもかかわらず、レジに5080円と打ち込み間違ったおつりを渡し、数分後、間違いに気づいて戻ってきてくれたお客さんの説明に、数学の成績が2だった(それ以前の問題)私は頭を混乱させ意味のわからない言葉を連発してしまったことなど、
初対面のバイト仲間と仲良くなりたくて様々な話題を振るも、どれも盛り上がらなくてかえって距離が遠くなってしまったことなど、
最近、朝、全然起きれないことなど、
そもそも、己が誰で何ができるのかちっともわからないことなど、
ページに反射した光の輝きだけで、簡単になかったことになってしまうのである。
小さな煌めきで日々の曇りを無理やり晴らして、生きていくのである。
いいか、
人間は爪をきらきらにしなさい。
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