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「過去未来報知社」第1話・第20回

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>>第19回
(はじめから読む)<<第1回
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 鮮やかな夕焼けが夜の群青に染まり、グラデーションを作る。
 コンビニ袋をガサガサさせながら、笑美は暢気に裏道を歩いていた。
 結局、今日も役場に泊り込みなのである。
 上がり始めた月が丸い。
「満月ね~。そういえば、最近ゆっくり空なんて見上げて歩いてなかったな」
 人がいないことをいい事に、ブツブツと独り言を言い始める笑美。
「なんだっけ、満月の日にしたことがいいこと。……願い事?
 そういえば、この前もなんか願い事したな~。あ、幸せになりたい、だっけ。
 叶ってないな~」
 塀の上を歩いていた猫が、ギョッとしたように足をとめ、笑美を見下ろす。
「しかも、変な部署に入っちゃったし、どうなってんだか、私の人生!
 私の生き方が悪いのかな……」
 角を曲がると、また違う猫が歩いている。
「……ほんと、猫多いね、この街は。
 あ、そう言えばあそこも猫が多い街で、あの時はあいつがいたんだ」
 遠くを見る目をする笑美。
「楽しかったな……。でも、私が……」
 ぎゅと眉を寄せた笑美は、すぐに頭を振る。
「やめよ。昔のことを思い出すのも、自分を否定するのも」
 コンビニ袋から棒刺しウィンナーを取り出すと、ムシャムシャ食べる笑美。
 実はこれで五本目である。
「食べなきゃ、やってられるかってのよ!」
 そして、別にこの夜散歩は行き先があるわけでもない。
 宿無し笑美は、はっきり言って就業後の時間を持て余していた。
「もう、さっきからなんなの、みゃおみゃおと!」
 笑美のウィンナーを狙っているのか、はたまた縄張り荒らしを警戒しているのか。
 さっきから足元に数匹の猫がまとわりついているのである。
 毛並みも色合いもバラバラ。
親兄弟ではなく、他人……いや他猫の集まりなのか。
「猫の踊り場じゃあるまいし、なんなの、これ」
 気がつけば、道のそこかしこに猫がひしめいている。
 すっかり落ちた日の中で、グリーン・ヘーゼル・アンバー・カッパー・ブルー・レッド。
 様々な色の猫の目が、クリスマスイルミネーションよろしく光っている。
「な、なんなのこれ……」
 流石に違和感を持ち、笑美は足を止める。
 猫たちが一斉に唸りだした。

>>次回お楽しみに!

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「過去未来報知社」第1話・第20回

涼廣

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