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映画感想「マトリックス レザレクションズ」

昨日は、今年の冬至の日でしたね。みなさんは柚子湯、やりましたか? 私は忘れてしまっていたので、一日遅れで今日、やろうかなと(笑)

さて、先日の、映画が1100円になる月曜日のハッピーマンデーを使って、豊田市駅前のkitaraで観てきた「マトリックス レザレクションズ」ですが。観客席の上下左右の一個空けがなくなり、自分のマナーでもって、できるだけほかのひとと間隔を空けて観るようにしました。かなり広い客席に、ちらほらと、ひとびとが座っていて。オミクロン株のことで、ふたたび訪れている映画館の厳しさを感じます。

※ ここから先は、旧作「マトリックス」シリーズと、今回の「マトリックス レザレクションズ」のネタバレをかなり含みます。

キアヌ・リーヴス氏主演の主人公「トーマス・J・アンダーソン」は、ごくふつうの一般人として暮らしていたところ、この世界は本当はヴァーチャルリアリティの世界で、それを管轄している神のような存在と、神のような存在に従う凶悪なロボットマシンや「スミス」という分身のできる敵と戦い、そのなかで「トリニティ」というヒロインと愛を深めていく……というのが、旧作マトリックスの1と2(リローデット)と3(レボリューションズ)の内容。ワイヤーアクションという、通常の人間の動きでは出来ないチャンバラシーンが見どころで、哲学的な風味も加わったサイバーパンクものとして1999年~2003年に公開されました。

ああ、あれから20年(綾小路きみまろ風に)。スマホも量子コンピュータも出てきて、すっかり様変わりした現代に対して、あの「マトリックス」がどう描かれたのか。詳細はぜひ劇場で観て頂くとして、衝撃だったのはキアヌ・リーヴス氏が若いまんまなのと、ヒロインのトリニティ役の女性が、年齢を経ているけれど、だからこその美しさを持っているのとでした。ああいう格好いい女性に、おばちゃんの私は、なれているかしら。

マトリックスの1から最新作である「レザレクションズ」を通して、根底に描かれているのは、救世主として強烈なパワーを持っているけれど、3ではラストに死亡してしまうストーリーは、イエス・キリストの生きざまとリンクしているところ。

それが、今回の「レザレクションズ」では、実は彼が生きていて、別のヴァーチャルリアリティの世界では「マトリックス」という仮想現実のゲームを作ったクリエイターとして存在している、というスタートとなります。

これは、イエス・キリストの死と復活を暗示している内容になるので、クリスマスの時期にはふさわしい物語かもしれません。

……ただ、すこし怖いのは。主人公のトーマスがヴァーチャルリアリティの世界の日本にやって来て、電車のなかで無双するシーンや、今回のお話でラスボスとなった精神科医への復讐、システムに操られてトーマスが逃げるのを防ぐためにビルから飛び降りて彼らが乗るバイクに捨て身で当たろうとする「ボット」という存在の描写。

日本で起きた、映画のキャラクターであるジョーカーの服装で、今年のハロウィンに電車内を無双したあの無差別殺人未遂事件、つい先日に起きた心療内科クリニックへの放火事件、そして神田沙也加さんの転落死の事件と、どうにもつながっているようにしか思えてならないことです。

だから暴力描写はダメ、というのもおそらく違いますし、映画を観たからこそ救われて、自分のなかの暴力性を作品に昇華してもらってスッキリし、実際の事件に至らなかったというひとびとも大勢いると思います。

社会の冷たさや圧にストレスをため込み、暴力性をついに自分のものとしてしまいかねないひと。彼らにこそ、この「マトリックス レザレクションズ」は届くべきものであったのではないか、と思えてなりません。

合掌。

※ 見出しの画像は、みんなのフォトギャラリーよりリベンセイ(利便性)さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。

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