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誰が「女」なのか

誰が女なのかツイッター上でみかけた色々な意見とその分け方だと困りそうなことを整理してみたよ。


①出生届が「女」の人。
困りそうなこと:出生時の性別欄は保留でも届け出できるので、女でない人が男であるとも言いきれなくてどちらにも属さない人が発生する。DSDや染色体が定型でない人は成長の過程で届け出時と違う特徴が顕著に出ることがあるけど、保留にしない場合は出生時の特徴で判断することになる。

身体の性と心の性が異なる人に対して、社会の中で「男性的」「女性的」だとされる規範「ジェンダー」に縛られているだけで、ジェンダーがなくなれば身体の性と反対のジェンダーのものを多く好む人も違和感なく生活できるはず、とする主張があります。身体的な違和感が強く性器などの形成手術を望む「性同一性障害」の人も、ジェンダーがなくなれば違和感なく過ごせるのかは現段階では確認が難しそう。(ジェンダーがある社会での実験や調査ができない)


②戸籍が「女」の人。性同一性障害特例法で戸籍変更した人と出生届が「女」である人。
困りそうなこと:性同一性障害と診断されて手術を受けて戸籍変更した後でも自認する性が揺らぐ人はいる。でも手術の結果は元に戻せないし、戸籍重視か出生時重視か判断が定まらない。(戸籍の性別の再変更が認められた判例はある。)外国人など日本の戸籍を持たない人は判断ができない。性同一性障害であっても戸籍変更の要件に当てはまらない人(他の疾患があって手術が受けられない人など)は「女」に入らない。


③形成手術によるものを含めて女性器を持つ人。
困りそうなこと:身体的雌雄の差は性器の形状以外にも多々ある。例えば女性器があって乳房はなく髭が生えている人や男性らしい声域であったりする人も「女」、反対に性器の手術だけしていなくて性自認が男性で乳房の切除をして髭を生やした男性的外見の特徴の人も「女」に入る。


④他人から見て「女」に見える人。パス度の高い人。(どのぐらい表現する性別に見えると他者に認識されるかを「パス度」と言う。)
困りそうなこと:出生届時も戸籍も性自認もすべて「女」の人でも、例えばとても背が高いとか男性的な外見の特徴が強いと「女」に入らない。同一人物でも服装やホルモン治療など外見を左右する治療の中断や加齢が原因で「女」になったりならなかったりするから、昨日まで「女」だった人が今日は本人も知らないうちに違うことになるかもしれない。「女」に見えるかどうかは判断する人によって大きく個人差があり標準化が難しい。基本的に本人が表現しようとしている性を尊重した反応を返そうと忖度する人が多いから、パス度の評価を本人が正確に把握することができない。


⑤世間一般で「女性らしい」とされる服装をしている人。
困りそうなこと:女性らしい服装は誰でもいつでも容易にできるので、性加害の目的で女性スペースに侵入したい人がたやすく入場資格を得られてしまう。全裸になると判別不可能になる。


⑥自分自身を「女」だと認識している人
困りそうなこと:自分の認識を他者に説明しない場合は違う認識をされることもある。説明を行なったとしても他者の考えは操作できないので異なった認識を改めてもらえないこともありうる。


⑦男性による性暴力から特に護るべき妊娠する可能性のある人。(妊娠の可能性のない同性間の性暴力よりも被害が深刻だとみなす。)
困りそうなこと:閉経後の人、初潮前の人は「女」に入らないから、社会的弱者である児童や高齢者への性暴力が成人女性へのものより軽んじられる。


⑧「女を捨て」ていない人。(女性的な魅力とされる立居振る舞いをしない人、職業上の理由などで女性として庇護されない条件に自ら同意している人は「女」として扱わない。)


※「女を捨てる」には「がさつ」「不品行」といった意味の侮辱語としての意味もあるけど、この場合はそれ以外の意味も含んでいます。


私自身の経験から:10代後半から20代前半のころ、友人が作る自主映画やファッションショーに自ら希望して出演していました。その際に専用の更衣室が用意されることはあまりなくて、男性の仲間と同室や車中での着替えが日常的にありました。特にファッションショーの際には「プロのモデルはバックヤードで全裸になることは厭わない」「モデルであることの自覚を持って女としての羞恥心は捨てろ」と仲間内で語られていて、そのように振る舞うことがかっこいいと私も肯定していました。今思うと、素人なのに何を言っているのかって恥ずかしいのですけど。でも当時の私は大真面目だったんですよ。

同様のことが俳優やタレント業でもあるようですし、漁業や林業、土木、建築現場で従事する女性に専用スペースの配慮がされにくい現状もあります。こちらはさしずめ「男の職場」に入ってくるのだから女は捨てろ、という考えでしょう。また、性風俗産業に従事する女性への性暴力やセクハラは軽視され、女性として安全を護られにくい傾向があるようにも思います。一般女性に対するものが「強盗」であるとするなら、性的サービスを提供する職業の女性に対しては「万引き」や「カフェに置かれた砂糖を多めに持ち帰る」程度の感覚で話す人には少なからず出会ってきました。


困りそうなこと:「女を捨てた」環境や条件でない時間も「女」でないと誤認されやすい。当人は条件に同意していない、もしくはその不利益を理解していないにも関わらず同意していると誤認されやすい。

ざっと思いつくだけでもこんな感じ。この認識を大多数の人ですり合わせて「常識」を決めるのはかなり大変なんじゃないかな。というか、無理なんじゃないかな。

それなのに、今の公衆トイレとかの女性専用スペースってどの「女」が利用対象なのかなんにも説明書きがないよ。看板には謎の絵がついてるだけでさ。

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