見出し画像

知れば知るほどわからなくなっていくみたい。トランス女性と女性専用スペースのこと

私の立場:40代女性 LGBTのどこにもたぶん属さない。そういうのを「シスヘテロ」って言う言い方もあるようですが、自分がそれかどうかも深く考えることなく暮らしてきました。

LGBTの議論の中で特に女性専用のスペースをトランスジェンダーが使用することについて、ツイッター上の色々な議論を興味深く読んでいます。そして、自分自身はどのような行動をすべきか考え中です。

きっかけは2021年1月下旬に参加した、キリスト教とLGBT差別の関係について考えるZoom勉強会でした。その中で全寮制の学校でトランスジェンダーの女性が女子寮にも男子寮にも入寮できずとても困った、本人は女子寮に入りたがっていた、というエピソードが紹介されました。LGBT当事者の方が多く参加されていた会でした。主催者の方はトランスジェンダー当事者の性別を性器の形状で判断することは当事者の尊厳を深く傷つけるのでやめてほしいというご意見でした。

その話を聞いた私は直感的に感じたことをシェアして反感を受けました。

「もし私が入寮している女子生徒だとしたら、新入寮の可否判断に性器の形状は気になる。だって、その新入生が本当に男性器を持っているだけの女の子で、他の入寮者と性的なトラブルにならない人物なのかは入寮前に判断がつかないし、トラブルが発生する場合は未然に防ぐことができず取り返しつかないから。なんらか心理鑑定のような証明が欲しいし、そのように他の入寮者に影響する身体の特徴を申告しないのは不誠実ではないか。」といった趣旨を発言し数名の参加者の方から非難されたのでした。

ちなみにこれ、新入生が私で先輩トランスジェンダーが入寮している場合はあまり気にならないです。入寮前に他の入寮者とトラブルがないことが確認できているし、もしトラブルがあるなら自分が入寮を止めることができます。

この学生寮の例では、このトランスジェンダーの女子生徒は一人で離れた場所にある別館に住むことになり、物理的な不便と共にコミュニティから排除された疎外感のため大きな苦痛を感じたそうです。この部分に対しては私自身もたいへん共感と同情の感想を持ちました。

もし私がその新入生の立場だったら自分用の場所を用意してもらう物理的なことより、自分が属したいと思うコミュニティに入れてもらえない疎外感のほうがダメージを大きく感じそうです。例えば、同じ料金を支払っても白人しか入会できない高級ゴルフクラブとか、相撲の土俵に女性は上がってはダメ、とか、ちゃんと家賃は払うのに生活保護受給者には貸してくれない賃貸住宅、とか、片親家庭の子供は入学できない私立幼稚園とか。そういう類と同じような理不尽を感じるでしょう。

この感覚って、トランスジェンダーの方々にとっては学生寮だけに限らず色々な場面に当てはまりそうです。その中でも身近で誰もがイメージしやすい場所が男女別のトイレと日本特有の文化背景もある温泉や銭湯といった公衆浴場なのでしょう。その他だとスポーツジムやプールの更衣室や電車の女性専用車両なども例示にあがっていますね。あとは制服に着替えるような職場のロッカールームについての議論も目にしました。

考えはじめてみると、かなり多くの場面で性別によって区切られた施設がありますよね。その中には「面倒なことになるぐらいなら行かないよ」と言って済む施設もあります。温泉とか、銭湯も日常でほとんどの人は清潔のためよりレジャー目的だと思いますし、女性専用車両も別の車両に女性は乗れないということはない。

ある程度個人が特定できるような職場とか学校の場合は、仮に性別としては「どっちなのかなあ」と思われていたとしても「女性専用スペースを共有しても他害はない人」と同僚たちに認識されていれば、トイレやロッカーは女性用を利用して問題にはならないでしょう。実際、私が今まで一緒に働いたトランスジェンダーの同僚たちとはトイレやロッカーを共用してましたし、その人が性器の手術を受けていたかどうかを私が気にしたことはなかったです。

ただ、それじゃ困るかもな、って思う場面も想像しました。

例えば災害があったときの避難所のお風呂が男女別しかない場合とか、刑務所とか収容所みたいなところに入所しなくてはいけなくなったときとか。

もしそんなふうに希望してるわけではなくてもその施設を使わなくてはいけない立場になった場合、性器の形状によって単純に利用先を男女に振り分けられると、女性として生活している人が男性用施設に振り分けられる場合に、深刻に困ることになりそうです。

これは大変な人権侵害になるからなんとかしたい、と思い始めたわけです。

つづく



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?