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知れば知るほどわからなくなっていくみたい。トランス女性と女性専用スペースのこと その4

なるほど、少し理解が進んだ気がしました。トランス女性の女性専用スペース利用の問題は、女性差別の問題と関係が深い。

女性がどんなふうに差別されてきたのか、女性差別を解消するために今までどんな働きかけがあったのか、その差別はどの程度解消されているのか、ということも平行して考える必要がありそうです。

女性専用スペースは女性差別のある社会にある中で、女性を主に性被害から護る目的で作られてきました。もし差別を受けていない人にまで解放した場合は、男性に比べ物理的にも筋力が弱く社会的にも弱い立場におかれている女性が自衛の権利を行使する手段として、やっと得られた「合理的配慮」を明け渡すことになってしまう。それで、どんな人を「女性」って捉えるのかって議論を内包しているんだなと理解しました。

この問題を考え始めたころに私が書いたツイートで、とても非難を受けたものがありました。

女装した男性から性被害を受けた女性からの相談で、「男性的な特徴があるトランス女性を見ると加害者を連想して恐怖を感じる。差別をしたくないがどうしたらよいか」という相談に対して女性の支援団体が示した回答に不満を感じて投稿したものでした。

質問者は女装の男性とトランスジェンダー女性は違うことを知った上で質問しているのに、回答者は加害者の女装男性とトランスジェンダー女性の違いを、「質問者に性被害を与えるか与えないかの違い」と答えているように読んだからです。

いや、おかしくないですか。それなら女装が趣味の男性だって基本的には性被害は与えないです。反対に女性だと主張するトランスジェンダーの中にも女性に加害する人もいるかもしれません。

同性からの性被害だって事件にならないだけで珍しくないですから。女子校育ちの私にも、無理やりキスしようとしてくる同級生とか、一緒に入浴した友人のバストや陰毛の形を吹聴する女性とか、思い出せる範囲でも結構います。

だから回答としては、男女の区別なく性被害を与える人は加害者で、それ以外の人は全員加害者でないよ、ということになると思います。それと、質問者がフラッシュバックしてしまうことへの対処法はまた別の話です。

この時に私は、「その3」に書いたように、女性スペースを利用する人を別の区分けで周りからも確認できる方法がないか考えていました。性器の形状やいわゆる「パス度」で女性スペースの利用を制限すると、これらの条件を満たしていない女性は排除されてしまうのが良くないと思っていました。

そうしたところ「見分けたい」とは許せない。トランス女性は女性なのに女装男性と一緒にするとは差別発言だ、との抗議でした。

あれ?っと思いました。女性であるかどうかなんて関係あったかな、女性に危害を加えないかどうかがポイントではないのかな、って。

女性スペースの「安全地帯」としての機能を維持しながら、他者から女性と認識されていなくてもその場所を必要としている人が利用できるようにする方法を考えているのかと思ってました。でも違ったみたいです。

「誰が女性なのか」の区分けが個人ごとで違っている。自分が女性だと考ている属性を女性として処遇しない人を差別主義者だという主張がある。反対に自分は合理的配慮が必要な女性の範囲と考えていない属性の人までもが不当に女性としての配慮を求めてくるので、相対的に配慮が必要な人の権利が侵害される、という主張もある。被差別者として護られる女性の資格はどの範囲の人に適応されるかってことが論点。

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この中の誰が「女性」としての処遇を受けるべきかっていうのが、主張している人によって随分違うみたいなのです。

この他に、他人が外側からみて女性と認識されれば女性として処遇される。本人の自認とか周りからどう扱われたいかの希望は関係ない。という意見もありました。トランス男性が自分は男性だと主張しても、女性だと認識してくる男性から性被害を受ける現実があるよね、という趣旨。

なるほど。これはかなり奥の深い話なんだ。さらに興味関心が高まりました。

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