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性別の分類と回転寿司の例え 意図せず炎上
イスラム教徒の多いインドネシアで「味の素」が豚の酵素の使用を明記しておらず社長が逮捕されたことがある。女性専用施設も利用者にどのような人が含まれるのか明示が必要でしょう。戸籍上の女性以外は利用者に含まれないと認識している人に対して「気づかないならいい」とはならないよ。
— zita (@PrayformeSt) August 10, 2021
別の例示を思い起こしました。スーパーマーケットなどで原材料の状態では明示しなければならない魚の正式な名称を回転寿司など飲食店で調理済みのメニューでは別の呼称を使っても許されていますが、不誠実ではないかとの指摘の対象になっています。こちらの例と同様に捉えるのはいかがでしょうか。
— zita (@PrayformeSt) August 10, 2021
これから先、トランスジェンダーについての理解と議論が進んだ結果、Xジェンダーやオートガイネフィリアや女装好きなども含めた色々なトランスジェンダーのうちで、どのような人が女性専用スペースを使うのか使わないのかを法律や条例で決められるかもしれない。でも社会全体が合意できる着地点を見つけるにはまだまだたくさんの時間が必要そう。
その前に民間レベルでも混乱を緩和する方法はないかな、と考えてて思いつきました。
そうだ、設備を設置する管理者が「この設備の使用者はどんな人を想定してます」って説明書きをしてくれたらいいんじゃないかって。
例えばジェンダークリニックの入っているビルのトイレなら「移行を希望している性別側のトイレを使ってください」で良いかもしれないし、性犯罪被害者女性の相談窓口がある施設のトイレなら「性被害が心配な女性は窓口の位置から職員が出入り口の様子が確認できる個室トイレを使ってください。反対に男性は距離の離れた場所にある男性用トイレを使用してください。」とかって。
ショッピングモールみたいな場所でも「LGBTフレンドリー」を掲げる施設は「トランスジェンダーは自認する性別のトイレを使ってください」としたら売上が上がるかもしれないし、反対に「出生時の性別に合わせたトイレを使ってください」とする施設があってもいい。
少なくとも、使う側の人同士が他にどんな人が使うことになっているか知らされてないっていうのは、私はちょっとモヤッとしてるんです。
でも、このモヤっとする感覚を言葉で説明するのが難しいと感じて、何か似たようなもので例えられないかなあ、って考えました。で、上記のふたつの例え。
見事に伝えたかったことは全く伝わらず、ただただ炎上しちゃった。人間を食べ物に例えるなんて不謹慎、っていうご批判が多かったです。特に回転寿司の例えは、使用している魚本来の名前とメニュー表示が異なることを「偽物」とイメージして、トランスジェンダーの女性を「偽物の女性」というとはけしからん、という反応が結構ありました。それで、私が潜在的にトランスジェンダーを偽物の性だと思ってるんじゃないか、無自覚なトランスフォビアだ、とお願いしてもいないのに勝手に心理分析してくれる方までいて、これはちょっと凹みました。
伝えたかったことをわかりやすく伝えるための例えなんだから、全くその役目は果たせていないです。その点、反省しています。
でも、なぜ私がその例えを選んだのか少し弁解します。そして、読んでいただいた上でやはり私の考えに問題がある部分はご指導いただければありがたいです。
まず前提として、食品の原材料表記はかなり細かくルールが決められています。特にぱっと見ただけでは確認しにくい食品添加物やアレルギー物質の含有、それから消費期限や賞味期限は購入前に念入りに確認する人も多いです。食品は直接体内に取り込んで健康状態を大きく左右するものなので当然ですよね。
じゃあ、健康状態に影響する部分以外はどうでしょう。有名産地とか銘柄とか。こちらの表記も購入をするか決める際にとても影響してきます。特にお惣菜やお菓子なんかは美味しそうだったりおしゃれっぽいネーミングだと私は食べてみたくなります。外食だともっとメニューの名前に食欲をそそられて注文しています。
そこで、例に出したお寿司のネタ表記のことを考えてみます。
お寿司のネタは従来から親しまれてる種類の魚が手に入りにくくなったりで、回転寿司の多くのお店では代わりに違う種類で味や見た目が似ている魚が代用されています。サーモンがニジマスだったりハマチがシイラだったり。
スーパーなどで売られている食品は表記の仕方に厳しいルールがありますが、外食のメニューはお店ごとに提供される「商品」の名前なのでお店が自由につけてOKです。ニジマスやシイラと書くよりサーモンやハマチと書いたほうがよく売れるなら、そのように書いてもいいんです。
でも、そのことを知ったお客さんの中には「てっきりハマチだと信じて食べてたのにシイラだったら食べたくなかった!」って怒る人がいるようです。「偽物だったのか、偽装された!」って。
あれれ、なんで怒るんでしょうか。シイラを使って調理された「ハマチのお寿司」の美味しさには満足していて、値段には納得していて、健康被害もおきてないのに。
シイラの立場にしてみれば「代用魚」とされてメニューに名前が紹介されないことが原因でなかなかその美味しさを周知されないのは悔しいぐらいでしょう。少なくとも「偽物」ではないです。シイラという名前の本物のお魚です。
けれども、そのことを表記しないお店のことを「不誠実」だと感じる心理が私にはあります。なぜシイラという美味しい魚を自信を持って仕入れているときちんと表記しないんだ、って。書かないのは店主がシイラはハマチに劣ると思っているからじゃないのか、劣ると思うような魚を仕入れて売っているのか、って。
私は、何かが「偽物」だとは言っていません。
トランスジェンダーの当事者やアライの方の中にはご自分の側がシイラに例えられていると受け取られた方が多かったようですが、ハマチがシス女性でシイラがトランス女性とか、そのようなことも全く言っていません。
そうではなくて、設備の運営側がその設備を使用する権利を誰に定めているのかをはっきり表記しないで、ぼんやりした定義の「女」ってしていることに対して言っています。「シイラのにぎり」って堂々と書かない回転寿司の店主を「不誠実」だと感じるのと同じモヤっとした印象を持つんです。
運営者がトランスジェンダーって何ですか?っていうぐらい知らないのであれば仕方ないです。でも、LGBTフレンドリーとかレインボーとか掲げてる企業や自治体の施設がしれっと何も表記しないで利用者同士の衝突を傍観しているのはダメじゃないですか?
次に最初に例に出した「味の素」。こちらに至っては、製品の味の素自体には全く豚の成分は含まれていないけれど、製造過程で豚由来の酵素を使っていることを公表していなかったことが、イスラム教徒の多いインドネシアでは違法と判断された事例です。
豚の成分は全く入っていないので日本での原材料表記のルールには抵触しないですし、どんなに摂取しても豚を体内に取り込む心配はありません。それでも宗教的な信条に対する重要事項を公表しないのはフェアじゃないよ、っていう文化も身近にあるってことを言いたかったんです。
これは前回に書いた「誰が女」って各個人が線引きしている線が異なることと、各々自分の線引きをかなり重要な信条だと考えていることを例示したかったのです。各人のアイデンティティに大きく関わる部分で、だからこそ譲れない部分でもあって意見が衝突してしまう。だから、設備の管理側が運営ポリシーを示さないといけないと思うんです。てっきり自分の信条に沿った「女」の専用スペースだと信じて使っていた人が、後から違っていたことを知ったらとても不快ではないですか。実際にそこでトラブルや被害は経験しなかったとしても。
自分が「女」だって思ってることの中には、女性差別を受けて悔しいという思いだけでなくて、女性同士のコミュニティで得た良い経験や誇りのような感情や、特別な性愛関係で得た楽しみや喜びの気持ちなんかも含まれていて、あまり「女」の自覚がなかった私にとってさえ侵害されたくない部分が結構あるみたいです。きっとそれぞれの人に大切にしたい線引きとその理由があると思う。
案外、自分は女性としての自分を大事に思ってるんだなってことが自覚できたのは、良かったかなと振り返ってます。
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