やまなしぐらし #3

台風から1週間、少しずつ復旧してきて、道路も電車もなんとか繋がり始めている。正常復旧までにはまだまだ時間が掛かるけど、みんななんだかんだ生活できている。

# 1,# 2と、山梨で暮らしていることへの不満を書いてしまったから、今回は、良かったと感じたことを書いておこうと思う。

・山梨に来て、よかったと思うこと

まずは、車が運転できるようになったこと(笑) 電車だけで生きてきた人間にとって、車を日常で使うことはハードルが高かった。配属当初は絶対買わないと心に決めていた私だが、1年経って限界を感じた。そして怖いことに、慣れてしまえば楽なもので、3か月くらいで車を乗ることに抵抗がなくなってしまった。ちょっと遠いカフェにも気軽に行けるようになったし、静岡と長野が意外に近いことも知ってしまって、行動範囲が格段に広がった。

今までは電車でどこまで行けるかだったのが、高速乗ったらどこまで行けるかに変わった。頭の中には、路線図だけじゃなくて高速や国道・県道も思い描けるようになってきた。車社会という知らなかった世界を知れた。

続いて、季節と農業が身近に感じられるようになった。山梨は言わずと知れたフルーツ王国だ。6月はさくらんぼ、それが終わったらすもも、そして7月は桃。夏の盛りを過ぎると葡萄で冬の目前には柿、と旬の果物は尽きない。職場にも友人がさくらんぼ農家、とか実家で桃育てる、という人が多い。その故、季節が過ぎるたびに今年の出来はああだこうだって話が日常会話の中に出てくる。

これまで、”食べ物の旬”は意識したことあったけど、天候によるその年の出来まで意識したことはなかった。「雨のせいで今年の桃は身は大きいけど甘くないんだよね」とか、「○○って品種のさくらんぼはいいけど、××は今年は美味しくない」とか。農業で生計を立てている人が身近にいるからこそ聞ける、その年の農作物へのリアルな評価や意見は、結構面白い。首都圏で消費するだけだと、こうした生産者側の生の声や肌感覚の話を聞くことってないなと気付かされている。

そして何より一番は、自分の時間がちゃんと確保できること。”田舎は何もすることがない”の裏返しになるけれど、自然と、自分の生活について考える時間が増える。飲んだら代行で帰らなきゃいけない山梨では、仕事帰りに飲みに誘われることはほとんどない。ついつい惹かれてしまう魅力的な場所もそんなにない。孤独な環境ではあるけれど、その分、自分の好きなことを勝手気ままにできるのは、結構満足している。

あとは、山梨の自然に癒される。冬の空気の澄んだ日に見る富士山とか、橋の上から見る綺麗な八ヶ岳の全貌とか、ふとした時に見る景色に惚れ惚れする。


半分くらい、山梨でなくても経験できる話だな。

まとめると、今まで知らなかったコトに触れて、新しい見方が得られたので、山梨に来て良かったと思えている。