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ネガティブな世界を想像するからこそ浮かび上がってくること

シナリオプランニングという手法では、普段なら考えない先の未来(例えば10年後)の可能性を複数描く。

具体的にどういうアウトプットになるのかについては、以前に書いた「2030年の世界の食糧システムシナリオ」を見ていただくと、イメージしやすいかもしれない。

先ほど「アウトプット」と書いたが、シナリオプランニングでは、食糧システムシナリオで見たような複数の未来を作成したら終わりではない。

作成して終わりではなく、作成したシナリオを元に対応策を考える。

対応策を考えるためには、作成したしたシナリオのひとつひとつの世界をよくイメージした上で、

【もしこの世界が現実のものになった場合に備えて、今から自社は何に取り組むのか?】

という問いの答えを考えていく。

ワークショップで実際にこの問いについて考えていく場面になると、いろいろな反応がある。中でもよくあるのが「ネガティブな世界のことは考えたくない!」というものだ。

例えば、自社の現在の事業が完全に不要になってしまうような未来なんて、考えたくはないだろう。

しかし、その世界が現実になる可能性がある以上、考えたくはないからといって考えないわけにはいかない。むしろ、そういう世界のことこそ、考えなくてはいけない。

ワークショップでは、そこであきらめずに考え抜いてもらうようにしているが、そうしてしばらくすると、状況が変わってくる。

それは「こんな世界になったとしても自社が提供できる価値は一体何だろう?」という考え方をする人が出てくること。

現在の延長線上でだけ考えていると、自分たちにとってはまったく機会がないような世界だったとしても、いろいろな可能性を考えることで、それでも対応できること、そしてそれを可能にする自社の強みが浮かんでくる。

自社にとってネガティブな世界を考えることは、現在の延長線上のことを考えているだけでは浮かんでこないような自社の根っこにある本当の強みや組織資源に気づくきっかけになる。

ネガティブな世界に目を向けるからこそ思い浮かぶ可能性に気づくことができるというのが、シナリオプランニングに取り組んでみる意義なのだ。

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Photo by JR Korpa on Unsplash

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