あっという間に2022年も終わってしまう。
大晦日は、毎年恒例、自分と自社のためのシナリオプランニングに取り組む日。
お客さまの未来のことは考えつつ、自社のシナリオはつくったことがないなんてなれば、それこそ紺屋の白袴。
今年、自分でつくったり、お客さまがつくったシナリオを思い出しながら、最後の最後に自社のためにどの軸を選び、どんな未来の可能性を描き、どんな対応策を考えることになるだろうか。
その前の年末のちょっと意識が高くなっているときに、久々にnoteを書いてみる。
本当に不確実
今年もたくさんのシナリオをつくったし、シナリオづくりの場にかかわった。本当にありがたいこと。
特に今年は難易度の高いプロジェクトをいくつもいただいて、この年末のいくつかの機会はその集大成のような感じで、自分のシナリオプランニングの取り組み方、つくり方を一段引き上げるような機会となったし、来年、さらに引き上げるために取り組みたいことも明確になって、そのための一歩もさっそく進め始めた。
取り組んだテーマもさまざまだった。時間軸も2025年から2050年と幅広かった。
地理軸も日本はもちろん、欧米、そしてアジアとさまざまな地域、国を見た。今年のシナリオがきっかけで、いつかインドネシア料理を食べてみたいとも思った。
考えるスコープも、ヤン坊マー坊じゃないけど、小さなものから大きなものまで、あらゆるものを取り扱った。
これだけいろいろなものに取り組むと、だんだんと共通点はなくなってくるけど、それでも変わらず共通しているのが「不確実」ということだ。
「そりゃあ、不確実な将来を考えるシナリオプランニングをやっているんだから、不確実なのは当たり前だろう」
という声も聞こえてきそうだ。
それはそうなんだけど、実際にお声がけいただいて、そのお客さまのビジネスモデルや業界動向を調べていると、「ん、このお客さまは、不確実なことなんて、ないんじゃないか?」という場合がある。そんなに多くはないんだけど。
「これは『シナリオプランニングに取り組まなくても良いのではないでしょうか』とお伝えすることになるか?」と思い、よく見ていくと、やっぱり、そんなことはなかったという経験もある。
そう、誰にとっても不確実なことは潜んでいるという、当たり前のことを再確認した年だった。
確実なことは「元には戻らない」ということ
世の中を見渡してみると、例えばSNS上での投稿や広告を見ていると、「元に戻りたい」という雰囲気を感じることがある。今年はそれが特に強くなったのではないだろうか。
みんなでワーッと盛り上がってとか、そこまででなくても、気軽に移動したり、友だちと会ったりみたいなことが、なんとなくやりづらいということは、そういうことが好きだった人はもちろん、そこまででもない人にとっても、多かれ少なかれストレスになるだろう。
だから「早く元に戻りたい」という気持ちになることはわかる。自分も、ふと、そう思ってしまうことはある。
ただ、「元に戻る」ということはない。残念ながらない。
別にこれは感染症がおさまることはないと言っているわけではない。
仮に感染症が落ち着いてきたとしても、わたしたちが感染症を強烈に意識した頃、例えば2020年4月から5月に緊急事態宣言が発出されてから、もう2年以上もたっている。
つまり、わたしたちが覚えている「元」の状況から、2年ないし3年の時間がたってしまっている。その分、わたしたち自身も、世の中も、2年ないし3年という時間を経ている。
その分、歳をとった分、酒に弱くなったとか、家族の関係で自由に飲み歩くことができなくなったとか、そういうことも起きるだろう。
そういう点で「元に戻る」ということはないということはあるんだろうけど、ここで言いたいのは、もうちょっと違うことだ。
変わり続ける未来に希望を見出す
たしかに、あの頃はよかったかもしれない。そうやって思いを馳せることが、精神の安定につながることもあるだろう。
でも、変わり続けていく未来に、過去の状態をそのまま再現することはできない。
ただ、変わり続ける未来で、過去に勝るとも劣らないより良い状態をつくろうとすることはできる。
なぜなら未来は不確実だからだ。不確実にはコインの裏表のように、「わからないから不安だ」という面もあるけれど、「わからないから今からどうとでもできる」という面もある。
そうであれば、「わからないから今からどうとでもできる」という面に目を向けたい。わからないことについての不安を完全に拭うことはできないけれど、そこに希望を見出すこともできる。
希望を見出すことができれば、不安も希望に向かうための原動力になることもある。
もちろん、不確実な未来に希望を見出したからといって、あとは闇雲に動いていけばどうにかなるというものでもない。
だからこそ自分はシナリオプランニングに取り組んでいるけれど、別にシナリオプランニングでなくたっていい。シナリオプランニングでなくたって良いけど、そこはできれば無手勝流ではなく、何か時の試練に耐えた方法論に頼るのが良いとは思う。
そうはいっても大切なのは方法論ではない。
方法論は、未来に向けて歩む際に大失敗しないやり方を教えてくれる。でも、未来に向けて歩んでいく原動力は与えてくれない。
未来に向けた原動力は、不確実な未来に見出した希望が生み出してくれる。
喉元過ぎれば熱さを忘れるがごとく、いつかは不確実なことがなくなるなんてことはない。どこまでいっても不確実なのだ。
だから、不確実に翻弄されることはないように、少なくても翻弄され続けることがないように、不確実な未来の中に希望を見出すことが大切なのではないか。
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