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シナリオプランニングの現場から

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起こり得る未来の可能性を考えて、それを元により善い未来を創るためのシナリオプランニングという手法。まだまだ十分には知られていないこの手法について、いろいろな角度から紹介していきま…
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2019年5月の記事一覧

シナリオプランニングを活かすためのコミュニティという仕組み

昨日、プロを育てるためのコミュニティについて考え始めるという投稿をした。 これはいきなり出てきたわけではなく、「プロを育てる」というのは最近になって出てきた問題意識。元々は「コミュニティ」の方に関心を持った。 そう考えたきっかけは、シナリオプランニングに取り組んでいく中で生まれたものだということを今日はまとめてみようと思う。 シナリオプランニングを、単なる手法として使うだけでなく、それを活用して変化する環境に柔軟に対応していける(レジリエントな)人や組織をつくっていくた

不確実な時代の学び方

シナリオプランニングに関する文献を読んでいると「不確実性」という言葉を目にすることが多い。 それもそのはず、シナリオプランニングは「不確実性」に対処するための手法だからだ。 しかし、そのような手法を知り、身につけたから安心というわけにはいかない。 単に道具としての手法を身につけて安心するのではなく、その道具を使う、私たち自身の頭の使い方も変えていかなければいけない。 中でも、これだけ世の中が不確実になってきている今、「学ぶ」ことの意味が変わっていることに目を向けること

考える幅を「点」から「線」に広げてみる

先日、お世話になっている方に、ある勉強会に連れていってもらった。 参加者の人は、これから起業するという方が多く、起業することについてのいろいろな想いやそのための準備の話しを聞くことができた。 中には「自分も起業っていいなぁと思うようになってきました」と発言していた人もいた。その人は、当初、自分で事業をするなんてことをまったく考えたことがなかったけど、イベントに出て、自分の考え方や意識が変わってきているそうだ。 わたし個人としては自分で会社を立ち上げて良かったと思ってるか

未来についての対話から起きる変化

昨日はすごい雨が降る朝の東京を移動して、お客さんのところでシナリオプランニングのワークショップをやってきた。 大きな変化に見舞われている業界の企業として、今後の自社の方向性を検討するためにシナリオプランニングを活用している。 とても重みのある機会で緊張しつつのスタートだったけど、メンバーの方の雰囲気も良く、初日のワークショップは無事に終了。想像していた以上の良い場になった。 ワークショップの最後に、今回のプロジェクトの設計から細かい調整までを担当している方からの言葉が。

2030年の世界の食糧システムシナリオ 【シナリオプランニング事例集 001】

ここ最近、打合せ続き。 先日、シナリオプランニングの導入を検討しているというお客さまのところに行き、いろいろ話しをしていたところ、「確かにシナリオプランニングは良い手法だなぁと思うけど、これって実際使われてるんですか?」というようなことを言われた。 というわけで、以前に投稿した「エネルギー転換に関する地政学シナリオ」ではないけど、noteでもシナリオプランニングの事例をいろいろ紹介していこうと思う。 2030年の食糧システムを考える4つのシナリオ今日取り上げるのはWor

まことしやかな未来を想像する力を鍛えてくれたマンガたち

シナリオプランニングをやっていると、冗談交じりに「妄想を仕事にできて良いですねぇ」と言われることがある。 念のために、シナリオプランニングをご存じない人向けに書いておくと、シナリオプランニングで描くシナリオは妄想ではない。 たしかにシナリオプランニングは未来のこと、それも普段なら考えない比較的長期の未来のことを考える手法だ。ただ、好き勝手に未来を描くわけではなく、いま起きているさまざまな外部環境要因が、今後、どうなっていくのかを見極めて、そこから起こり得る未来の可能性を描

エネルギー転換に関する地政学シナリオ 【シナリオプランニング事例集 002】

シナリオプランニングはいろいろなテーマでつくられていますが、よく目にするテーマはエネルギーです。 これは、シナリオプランニングの起源がロイヤル・ダッチ・シェルで始まった「長期研究」プロジェクトであることと関係はあるでしょう。 それに加えて、今回紹介するように、エネルギーの未来を考えるには、直接関連する技術だけではなく、地政学的な影響など、さまざまな外部環境要因を考慮しなくてはいけません。そのため、複数の外部環境要因が影響し合う未来を考えやすいシナリオプランニングが合ってい

センセーショナルを捨てよ、ファクトを見よう

近々始まるシナリオプランニング案件の準備として、医療関連の情報をいろいろと仕入れている。 書籍にもいろいろあたっている中で、あらゆる人が読むべきだなと思ったのがこの本。 タイトルだけを見ると「自分の今後の人生を考えよう」みたいな本だと思ってしまう人もいるかもしれないけど、これはこれからの日本を考えるための本だ。 著者はメディヴァ代表の大石さん。メディヴァは、医療機関、行政、企業、介護施設などのコンサルティングやオペレーションを行う会社。 この本がどんな本かわかってもら

新しい目をもつためのwhat ifという呪文

ゴールデンウィークが明けて、通常営業がスタート。 休み明け早々、なんだか重い話しがドカッときたり、しっかりした打合せがあったりして、ぼやっとしてられない毎日に舞い戻る。 今日の打合せでは、次にやるワークショップの内容を詰めた。今回はシナリオプランニングそのものをやるのではなく、シナリオプランニングのエッセンスを抜き出して、いわば「シナリオプランニング思考」を体験して、事業開発につなげてもらうことを目指している。 じゃあ、「シナリオプランニング思考」って何?となった時に思

シナリオプランニングとTRIZ「9画面法」

今日は自分のメモ的に。 「読書猿」という独特なタイトルと雰囲気を持つメールマガジンがある。読んでいると、この人、どれだけ本読んだり、勉強してるの?と思って、昔から唖然として読みつつも、刺激をもらっている。Gmailで検索してみたら、2005年に購読を始めている。 その読書猿さんは、今やblogで濃い記事をじゃんじゃん投稿しているし、そのノリをそのまま引き継いだ本も立て続けに出している。 未来をたぐりよせる技術「9画面法」長い前置きになったけど、今日はいろいろと調べ物があ

バフェットとシナリオプランニング

アメリカの農業関連の情報サイトAgWebに、投資家ウォーレン・バフェットについての記事が(なぜだか)出ていましたが、そこでシナリオプランニングも紹介されていたので、取り上げてみます。 記事中では、オマハの賢人バフェットとバークシャー・ハサウェイの株主総会での話しやバフェットの投資の特徴が紹介されています(どうやら、この著者は株主総会に参加したことがあるらしい)。 その最後の方に出てくるのがこれ。 Risk analysis and scenario planning a