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中国で起きていることは「洗脳」なのだろうか

昨日の記事では、先日起きた蘇州での日本人学校の送迎バス襲撃事件について扱いました。

その背景には、最近の中国において高まる日本へのヘイトがあったのではないかとされています。それが事実がどうかは別として、たしかに最近、ネットを中心に日本や外国についての排外的、かつ極端な言説が目立つようになっているのは事実です。

で、そうした中国におけるある種の異様な空気感をして、「中国の洗脳教育のせいだ!」というように、政治的な「洗脳」にその原因を求める言説がSNSなどには多数ありました。

個人的には、いまの中国で起きていることって「洗脳」なのかな? という思いが少しあります。いまの空気感が、本当に政府による誘導や恣意的な教育のみによって出来上がったのか、という違和感とでもいうのでしょうか。今日はそれを自分なりに紐解き、書いてみたいと思います。

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中国の政治が自国民に対して、恣意的な思想の方向づけを行なっていることは事実だと思います。客観的な事実に基づくと言うよりは、自国にとって政治的に都合のいいことを選択的に人々に伝えようとていることは間違いありません。インターネット等における言論統制や、去年の日本の「核汚染水」問題に対する態度などを見ればわかることです。

ただ、それらを「洗脳」といっていいのかどうかはちょっと疑問が残ります。もともと「洗脳」とは中国における知識人などに行われた苛烈な思想改造を指す言葉だそうですが、そこまで激しいことがいまの中国で起きているわけでもありません。

ニュースなどでは繰り返し日本への非難が流れることもありますが、そこに「日本鬼子」とか「靖国厕所」(靖国便所)みたいな下品な文字が踊ることはありません。「公式」のレイヤーでは、「反日」はまだしも抑制的なレベルにとどまっている面もあります。

では誰が中国の「反日」をエスカレートさせているかというと、僕は中国に暮らす人々自身ではないかと考えているんですね。

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