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中国から、ニュースとSNS越しに日本を見ていて思うこと

東京を含む4つの都府県に、3度目の緊急事態宣言が発出されることが決まりました。

同時にどこそこで聖火リレーが始まった、というようなニュースが流れてきて、これもうわかんねえなといったお気持ちです。

最近は正直、日本のニュースをあまり真剣に追わなくなっています。もちろん日本のことを知っておかなければならないという気持ちはあるのですが……「まん防」という言葉が出現したあたりから、なんかもう見ていると辛くなってしまうことの方が多くなってきた、というのが理由です。

いったい、何をやってるんでしょうか。

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Twitterを見ていても、これまでコロナ禍にあっても比較的冷静にことの成り行きを見守っていた人も、今回ばかりはという感じで怒りの声を上げるようになっているように見えます。酒類の提供禁止、灯火管制など、本質的でないように見えることばかりが謳われているからでしょうか。

あくまでTwitter上での話であり、現実の日本に暮らしている人の温度感は本当にはわかっていませんが、なんとなく「もう我慢できない」と思っている人が多いように思います。今回の宣言にも、さしたる効果がないんじゃないか、むしろみんな反発するようになって逆効果でさえあるんじゃないか、というように見えています。

メディアやSNSを通してしか、日本を見ていない人間の考え過ぎですか?

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中国に住んで中国人と接していると、「お前日本に帰らなくてよかったなあ! 中国にいた方がよっぽど安全だろ!」というようなことを、無邪気に言われることが増えてきました。

あはは、と乾いた笑いで対応しながら、内心ではいつも複雑な気分になります。

デリカシーねえなこいつ、と思うと同時に、彼らがそう言いたくなるのも無理もない、と思えてしまうからです。中国ではもうずっと感染者が抑制されており、クラスターが発生した地域以外では、生活上でウイルスのことを意識することはほとんどありません。

中国と日本(および他の国でもそうだけど)の感染対策・防疫措置を比べて、どちらが優れているとか間違っているとかいうことを軽々に言うことはできません。それぞれの国にそれぞれの事情と体制があり、できることとできないことがあります。

だから比べてはいけない、いけないのですが……正直、これだけの結果の差を目の当たりにしながら、中国で(少なくとも防疫の上では)なんの不自由もない生活をしていると、上述のデリカシーのない中国人がいうように「日本にいなくてよかった」と思うことが全くないかというと、嘘になります。

こんなこと、思いたくないんですけどね。

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実際の感染状況もそうですが、何より見ていて辛くなるのは、そして「日本にいなくてよかった」と思ってしまう理由は、国と国民が相互不信になっていく様子を見せつけられていることです。

国は「お前らはこうやってコントロールしてやんなきゃわかんねえだろ」ということを、はっきりとは言わないものの、そう言われているとしか思えないような「宣言」を出す。それに不信感を募らせた国民は反発し従わないか、しぶしぶ従う。とりあえず「宣言」の中で、できることをやる。しかしあくまで「自粛要請」だから、劇的な結果は出ない。自粛に従わないやつだけが得をしているようにさえ見える。

それを見た国はまた「なんでみんなが言った通りにしないんだ。やっぱり、こうしてやらなきゃわかんねえのか」と、まるで駆け引きのように「宣言」を繰り返す。国民は「またか」と呆れ、真面目に宣言に従う人はますます疲弊する。国への信用が削がれる。以後、不信のループが続く。誰かが明らかな悪意を持ってそうしているのではないのでしょうが、結果的にはそうなっているように見えます。

正直、この相互不信の中で気を揉むことが少ない(日本国民ではあるので、ゼロとは言わない)だけでも、いまは日本にいなくて幸運だったのかな、と思ってしまいます。

いやだから、こんなこと思いたくないんだって。思わせないでくれよ。

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ワクチン接種に関しても日本は先進国の中では周回遅れがほぼ決定的になったようで、次に日本に帰れる時はいつになるやらと考えながら、じゃあ実際帰れる時が来たとして、そのとき日本はどんな姿になっているんだろう、と不安ばかりが募ります。

一刻も早く、ウイルス禍が解決されることを祈ります。

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