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中国に向いている人、向いていない人

新型コロナウイルスのワクチン接種が世界中で始まり、国を跨いだ人々の往来に向けての動きに、少しずつ光が見えてきました。

そんな中、海外に留学したい、働いてみたいという人が活発に動き出すのではないかと思っています。その選択肢の一つに中国を入れている人に向けて、どんな人が中国に向いているのか、逆に向いていない人はどんな人なのか、ということを書いてみたいと思います。

向いているのは、変化やトラブルを楽しめる人

中国においては何事もこちらの期待している通りにはなりません。仕事の予定も、水道管の修理も、なかなかスムーズにはいきません。習慣の違いというレベルを超えて、何かが思い通りに進むということは、まあないと考えた方がいいでしょう。

重要なのはそういった「思い通りにならないこと」に対して、いちいち腹を立てず、むしろそれを楽しむ姿勢です。トラブルに対して「はいはい、またいつものやつね」と予測をつけた上で冷静に対処する、「ほほう、そう来ましたか」と余裕を持って受け止める、といった能力に自信がある人は、中国に向いていると思います。

何度か書いていますが、中国の人は問題に対して事前に対処することにはからっきし弱いものの、いざ問題が起きてからはそれに腹を括り、(その場当たり的な対処に辟易することはあるものの)実際になんとかしてしまう能力について、とてつもないものを持っています。中国に来るなら、このような姿勢を大いに学んでみてほしいと思います。

向いていないのは、「同化」に無防備な人

当たり前ですが、中国と日本では「こうあるべき」という規範が全く違います。

それがどのように違うかということは抜きにしたとしても、中国の人はこの「規範」に対して意外にも頑なで、自分がこうあるべきと感じたならそれをどこまでも貫き通そうとするきらいがあります。そして、言い方は悪いですが他者の「規範」に関して鈍感で、「同化」を求めてくるようなところもあります。

短期ならまだしも、長期的に中国にいて何かをするのであれば、この「規範」に対する「同化」を迫られるような場面が必ず出てきます。それは時にアイデンティティを切り売りさせられるような、辛い作業になることもあります。

完全に中国の側の文明、文化に帰依してしまえるのならそれもアリかもしれませんが、それができる人はそう多くないと思います。これも何度か書いていますが、生まれ育った国が自分の考えや行動原理に与えている影響は、想像よりもずっと大きなものです。日本人としての自分を変えることは、そう簡単ではないのです。

この「同化」の営みに対して適切に距離を取ったり、柔軟に自分を変えたり、あるいは変えなかったりすることに自信がない人は、中国に向いていないと思います。これができなければ日本人としての自分が邪魔をしていつまでも孤独なままか、逆に過剰適応して自分を見失ってしまうことでしょう。

最終的には向き不向きではない

これまで書いてきたことをひっくり返すようですが、その国に来るかどうかは、別に向き不向きで決めなくたっていいと思います。やりたいことがあったり、とその国の何がしか(料理でも文化遺産でも、言葉でもドラマでもなんでも)に興味があれば、とりあえず来てみればいいのです。

僕自身、上に書いたようなパーソナリティや資質を持ち合わせているとは全く言えません。何か問題が起きればイライラ、ヒヤヒヤしっぱなしだし、中国的な規範との付き合い方もいまだに全くわかっていません。おかげでずっと低空飛行ですが、それでも5、6年は生き延びてこれたし、中国での諸々をnoteに書いたらみなさんにそこそこ面白いと思っていただけたりもしています。人生、何がどうなるかわからないものです。

中国に関して何かを思ったなら、とりあえず来てみましょう。お待ちしています。

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