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中国の高速鉄道がチケットレス化して、本当に楽になった

先日、所用で高鉄(gāotiě、新幹線のような高速鉄道)に乗りました。30分に満たない、わずかな区間でしかなかったのですが、コロナ禍もあり最近は遠出することがめっきり減っているので、こういう機会があることはうれしいです。

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さて高鉄といえば、少し前までは外国人にとってはチケットを巡るあれこれが非常にめんどくさいことで知られていました。

中国には12306(全国鉄路客戸服務中心)によるサイトやスマホアプリをはじめ、WeChat内のミニプログラムやCtripなど、さまざまなプラットフォームから高鉄の座席予約ができるようになっています。そのおかげで、予約自体は外国人でも簡単に行うことができます。

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しかし、外国人にとっては長らく不便なことがありました。それは、中国の一般の人はチケットレスで乗車できるのに対し、外国人はどうしても紙のチケットを発行しなければ乗車できないということです。

そもそも中国の鉄道チケット販売は転売やキセルの防止などの観点から実名制となっており、身分証とチケットを結びつけて購入する仕組みになっています。中国の人は二代身份証という身分証明カードに記載されている個人番号を、外国人の場合は基本的にパスポートを紐付けなければチケットが購入ができません。

言い換えれば、鉄道会社の側は全ての車両、全ての座席に誰が座るかということを身分証ベースで事前に把握できるということです。これを活用して、以前より中国のICチップ入りの身分証を持っている人は自動改札などでそれを読み取ることで、紙のチケットを発行しなくても高鉄に乗車できるシステムが出来上がっていました。

しかし、購入情報をパスポートと結びつけている外国人はこのシステムを利用できず、紙のチケットを発行しなければ乗車できなかったのです。

パスポート対応の自動発券機があり、それを使えば外国人でもそれほどストレスなく発券ができるのですが、この発券機はよほどの大きな駅でもなければ置いておらず、やむなく人工(réngōng)、つまり駅員が立っている手動の窓口に並ぶことを余儀なくされます。

この窓口が厄介です。どういうわけかチケットレスで乗れるはずの人民のみなさまが高い確率で列をなしており、かなりの時間を食われてしまいます。一人一人の処理速度が異様に遅く、慌てた人民の割り込みとか、ネットからチケットを買えなかった人民の粘り(ゴネ)なども頻繁に発生するため、後ろから見ているとイライラすることこの上ないのです。

あと2、3人というところまでやっとたどり着いた時に駅員の人員交代が発生したり、ヘタをすると駅員が飯を食いにいくため窓口自体が閉じ、隣の列に並び直しになって憤死しそうになったことも少なくありません。

かくして、外国人が高鉄に乗り遅れないようにするにはこの窓口に並ぶ時間を考慮して大幅に駅に前乗りしなければならず、多くの人の悩みの種となっていました。安全を見るなら、だいたい高鉄の出発時刻の1時間くらい前には駅に着いている必要があるイメージでしょうか。

スケジュール的にどうしても前乗りができなければ、街のチケットセンターで余分な費用を払ったりしてでもチケットを取得せねばならず、ストレスが強いものでした。

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しかし現在では、先ほど説明したようなチケットレス乗車の仕組みがパスポートからも利用できるようになり、外国人も晴れてチケットを発券しなくても高鉄に乗車できるようになりました。こちらの記事によると2020年の4月からのようです。

これによってチケット取得にかかっていた時間がなくなり、無駄な前乗りが必要なくなったことで、本当にラクになりました。

具体的な手順などは上の記事で解説されているのでそちらを読んでいただくとして、せっかく高鉄に乗る機会があったのでそのチケットレス乗車の時に利用するパスポート読み取り機の写真を撮ってきました。こちらです。

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駅に入場するときと、実際に乗車プラットフォームに向かう時にこの自動改札を通ります。小さくてわかりにくいですが写真の中央に読み取り部分があり、ここにパスポートの顔写真ページを読み込ませたら画面に購入情報が表示され、通れるようになります。

ただこの機械でもうまくパスポートが読み込めない場合があり、そんな時は傍に立っている駅員に入れてもらうことになります。これとは別の機械で読み込んでくれてOKになる場合もありますが、購入情報などを駅員に見せる場合もあるので、あらかじめチケットを購入したときの車両や座席、氏名がわかる画面をスクショして準備するなどしておくといいでしょう。

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この身分証のあるなしによって外国人が被る(被っていた)不便、在中邦人の一部では「身分証ブロック」と呼ばれている現象には他にもいろんなものがあるのですが、それはまた別の機会に。

ともあれ、外国人でもチケットレス乗車ができるようになって本当によかったと思います。

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