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中国式投資詐欺の魔の手は、すぐそこにまで伸びているっぽい

すさまじいnoteアカウントを見つけてしまいました。

とある日本人男性が受けた、投資詐欺被害の過程を克明に記録したものです。

詐欺は中国人女性からのメッセージを装って進められたもので、男性とのショートメールでのやりとりが生々しく記録されています(筆者の方は中国語駐在の経験があり中国語ができたので、やりとりはすべて中国語で行われていたようです。ちなみに翻訳もついています)。

最初は創作を疑ったのですが、被害者(筆者)のかなり上手だがネイティブのそれではない中国語と、それに対する加害者側からのメッセージに感じる妙なリアリティから、これは本当の話ではないかと判断しました。

著者のご本人は、詐欺被害に関する啓発・警鐘の意味も込めて一連のnoteを書かれているようなので、拡散のためにもここで取り上げさせていただくことにしました。

ご本人がいまどのような状況にあるのか詳しくわかりませんが、被害が補償され、平穏な日常が戻ってくることを心よりお祈りいたします。

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僕がこの記事を書いている現在、最新の記事ではまだ本格的な詐欺の手口や実態などは明らかになっていませんが、内容を読む限りでは近年世界中で見られるようになっているロマンス詐欺の典型例に見えます。

SNSのダイレクトメッセージなどのやりとりによって親密さを築き、信頼させたところで投資の話を持ちかけ、相手にお金を振り込ませるというものです。被害者は後ろめたさから被害を名乗り出ることが難しく、泣き寝入りをするケースも相当数あると言います。

この種の詐欺には確立したスキームがあって、組織的に行われています。その組織の元締めの多くは中国人とされており、東南アジアなどを拠点にした「産業」が成立しています。こうしたスキームを指して、殺猪盤sha zhu pan(豚殺し詐欺)という言葉までできています。

その被害者は主に中国国内の中国人で、その被害が深刻になるにつれ中国国内では注意喚起の声が毎日のように聞かれるようになっており、さらにここ最近では撲滅に向けた本格的な動きも見られます。

ただ、その被害は中国国内にとどまらず、在外の中国人やその他中華圏の人々にも及んでいます。以下はBBCによる、アメリカ在住の香港出身の女性が被害にあったケース。

この被害者は法学の修士号を持った会社経営者でありながら被害に遭いました。地頭やリテラシーなどとは関係なく、誰でも被害者になりうることがわかります。

そして、上記の日本人男性です。おそらく中国語話者の日本人男性が中国語で被害に遭うケースというのはかなりレアで、本来は日本国内に住む中国人および中華圏の人をターゲットにしたものなのでしょうが、どちらにせよ日本が対象になっていることは間違いないのでしょう。

こういう事実を知って、僕はとても他人事とは思えないな、と感じました。

普段から見知らぬ人からのメッセージには返信などしませんし、「こんにちは、セッ〇スパートナーを探しています」的な怪しい日本語のDMにも一切反応しませんが、導入が中国語の薬にも毒にもならなそうなメッセージなら、そのまま自然な流れで会話を続けてしまってもおかしくはありません。そうなってしまえば、あとは向こうの思う壺です。

ちなみに日本語も安全というわけではなく、明らかにこの「殺猪盤sha zhu pan」を下敷きにしたと思しき投資詐欺の話はすでに日本でも普通に聞かれるようになっています。ひょっとしたら中には、すでに元締めが中国人のものも相当数入り込んでいるのかもしれません。

あと通訳をやっている友人の話では、最近ではSNSなどに「金融関係」と称した怪しい日本語通訳・翻訳の求人などが出ていることも多いと聞きます。そういう求人が最終的に「殺猪盤sha zhu pan」の片棒を担いだり、最近流行りの著名人の名を騙った投資詐欺の広告に化けたりするのかもしれません。

いずれにせよ、「殺猪盤sha zhu pan」の魔の手は自分からそう遠くないところにすでに伸びていると考えた方が良さそうです。

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お読みの皆様も、気をつけてくださいね。こういうのって「自分が騙されるわけがない」という自信のある人ほど騙されるといいますし、何かあってからでは遅いですから。

今日はそんな注意喚起でした。ではまた。

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