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【解説付き】パチミレーを日本に紹介した男が選ぶ、パチミレー名作劇場

昨日のnoteでは、去年Twitterの一部界隈(10人くらい)に大きなムーブメントを起こした「パチミレー」についてその歴史とともに概観しました。

本日は昨日の記事で紹介しきれなかった名作パチミレーの画像を、僭越ながら私めが「パチミレーを日本に紹介した男」としてコメントを加える形でご紹介したいと思います。

当時のパチミレームーブメントに明るくない方のための参考として、またムーブメントをよく知る人々に懐かしんでいただくためにご用意いたしました。ご笑覧いただければと思います。

①ミレスピード

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それなりに原作再現度の高い「ミレ」のロゴから続けて突然の「スピード」。まさしくスピード感を感じさせる逸品です。その下の「まじめなおかし」を真似たような謎の象形文字、そして迫真の「美味し…かった!!」など、細かいところにも職人の業が光っています。

②おまえうまそうだな

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商品名と思わしき「こけこっこビスケット」の絶妙なダサさもさることながら、やはり注目すべきはその下の「おまえうまそうだな」という文言です。まるでジャンプ漫画の序盤に出てくるパワーだけが取り柄で知能の低い中ボス敵のようなセリフ。この場所に描かれる必然性がまったくありません。だがそれがいい。

③ワイルドアームズ

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なぜ初代プレイステーション時代の名作RPGのタイトルが、2020年を超えた中国において、しかもビスケットの名前として採用されたのでしょうか。このような不条理に出会うときこそ、怪しい日本語ハンター冥利に尽きる瞬間です。

④えさ

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一応は人間様の食べるもののはずですが、容赦のない「えさ」。人間などしょせんはケダモノにしか過ぎないという、メッセージ性の強い作品と言えます。下の「ミしービスケット」という「レ」と「し」のスタンダードな間違いや、なんか妙にエロい「新しい誘惑を伝え、舌先のおいしさを味わう」という謎の文言も評価点です。

⑤美味をやわらげる

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「美味をやわらげる」ということは、ちょっと美味しくなくなるということではないのか? そんなツッコミをしてはいけません。ちなみにこれも実際に購入し、ある方にお会いする時に手土産として持参したのですが、たいへん不評でした。

⑥麦をふかす

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ビスケットは小麦粉を焼いたものであって、決してふかす(蒸す)ことによって作るものではないと思うのですが、パッケージには力強く「麦をふかす」とあります。そんなに言うのならふかしたのでしょう。議論の余地はありません。上下に帯状に書かれている「お父さん お父さん」もホラー感があっていいですね。

ちなみに箱タイプのパチミレーは割と珍しいので、見つけたらぜひ保護をお願いします。

⑦北海道オノヘイロウ

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中国においてはなぜか北海道が絶大な人気と知名度を誇っており、日本についてよく知らない人でも東京・大阪と並んでなぜか北海道は知っているという人が多いです(ドラマの影響と聞いた気がしますが、詳しくはわかりません)。

そのような背景から、このようなお菓子の名前などには日本っぽさの演出のために投げやりな感じで「北海道」が付されるケースが後を絶たないのですが、これはそのような「投げやり北海道」とパチミレーデザインが融合したケースといえます。商品自体もビスケットじゃなくて「せんべい」と言い切ってますが、実物はせんべいですらなくクラッカーのようなものにも見えます。「オノヘイロウ」も意味が分かりそうでわからないし。だがそれがいい。

⑧一口一口又゜一口 圆゜形゛小饼干゜

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最後はインパクト部門大賞です。漢字に濁点やら半濁点やらをつけてしまう——これが果たして日本人に思いつくでしょうか? これこそ日本人の発想にはない日本語の運用です。

ちなみに濁音・半濁音の無茶な運用は他にも例があります。顕著なのは使い捨てカイロで、「ぽかぽか」っぽいフォントで訳のわからない場所に半濁音が付けられていて、大変愛おしい気持ちになります。

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こういう言葉を失うようなインパクトに出会うことこそ、怪しい日本語ハンティングの醍醐味なのです。あなたもぜひ。

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以上、ある意味では僕の原点でもあるパチミレーについて、2日間にわたってご紹介いたしました。

これからはおそらくどんどん目減りしていくであろうこれらの怪しい日本語ですが、僕は最後の一人になろうともハンティングを続けていく所存です。

今後とも僕の活動にご期待ください。

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