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「恐怖のスマホ・PCチェック」で中国在住者の生活は変わるのか

こんなニュースが話題です。

中国政府は、スパイ行為の疑いがあれば、国家安全当局の担当者が、個人の携帯電話やパソコンを検査できるなど、取締りの権限を明確化した新たな法令を7月1日から施行します。

上掲記事より

反スパイ法がらみでまた新たな規定が増えたうえに、その内容から「スマホやパソコンなどを無差別にチェックされるようになるのでは」という懸念の声が上がっています。

せっかくなので、原文を確認してみました。今回施行される法令は2つあり、そのうち「国家安全机关行政执法程序规定」という法令にそれを規定している部分がありました。

第40条 国家安全機関は法律に基づき、関連する個人および組織の電子設備、施設、関連するプログラムおよびツールを検査する場合、その所在地の市レベル以上の国家安全機関の責任者の承認を得て、検査通知書を作成しなければならない。緊急の検査が必要な場合、執行官は当該地区の所在地の市レベル以上の国家安全機関の責任者の承認を得て、人民警察証または偵察証の提示により、その場で検査を実施することができる。

(第四十条 国家安全机关依法对有关个人和组织的电子设备、设施及有关程序、工具开展查验,应当经设区的市级以上国家安全机关负责人批准,制作查验通知书。紧急情况下,确有必要立即查验的,经设区的市级以上国家安全机关负责人批准,执法人员经出示人民警察证或者侦察证,可以当场实施查验。)

http://lawdb.cncourt.org/show.php?fid=157116より、翻訳は筆者

本来なら正式な手続きを経てから検査されるものだが、「緊急の場合」には現場判断でそれが可能になる、という部分に気味悪さや恐怖を感じる人が多いようです。緊急の場合というのがどのような場合を指すのかもわからないし、恣意的に運用されるのでは、という懸念もあります。

中国に暮らしているものとして、この法令が始まったことで何か生活に変化が出るかな? と考えてみた結果を、以下に書いてみたいと思います。法律に詳しいわけでもなく、特に何かしらの専門家でもないただの中国在住者の思ったこととご理解いただいた上で、以下をお読みください。

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