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海外在住日本人を悩ませる「OKY」(お前・ここ来て・やってみろ)問題

昨日、中国の人はバンバン客を自分で選びながら、効率の悪い客は「切って」いく傾向が強い、というようなことをnoteに書きました。

こちらの記事に関して頂いた感想の中に、こんなものがありました。

こういうのって、日本で指示出してる上司には伝わらないんですよね…

これを見た瞬間、稲妻のように脳裏に浮かんだ言葉があります。国外在住で日本の本社や客先とやりとりしながら仕事をしている人ならおなじみ、「OKY」問題です。

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現地事情を知らない日本の客先や本社から無茶振りが来て、悶々とさせられる在外日本人の例は枚挙にいとまがありません。

先の僕のnoteの例で言うと、注文数も少なく要求ばかり厳しい日本の会社が疎ましがられているという事実も知らずに「中国において日本向けの仕事ができるということは栄誉なことである」と都合の良い過去のことばかりを信じ、相も変わらず一方的な要求を曲げようとしない、とようなことでしょうか。僕自身もこのような日本側(主に客先)と、話を聞いてくれない中国工場側の間に立たされ、辛い思いをした覚え何度もがあります。

他にも「できる」と言っていたはずのミッションが納期直前になって全く進んでいないことが発覚したり、出荷直前の製品に初歩的な問題が発生していることに気づいたり、政府部門の気まぐれでよくわからない費用・待ち時間が発生したりすることもあります。

このような、日本ではまず起こり得ないようなことが発生した時にも、「土地勘」のない日本側からはなぜそんなことが起こるのかが分からず、それがどの程度まで解決可能な問題なのかも想像できないため「そんな問題が起こるわけないだろう! 今まで何をやっていたんだ! いいからなんとかしろ!」という不毛な詰めが始まったりします。

そんな時、まったく現地側の事情を考慮してくれない日本側に対して憎悪の念とともに発せられるのが「OKY」、すなわち、

O(お前)

K(ここ来て)

Y(やってみろ!)

なのです。

ああ、世界中の在外日本人の賛同と、「それそれ!」という心の叫びが聞こえた気がする。

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この「OKY」という言葉は在外邦人、特に日本から派遣されてきた日系企業の駐在員の間ではそれなりに定着しているようで、Googleで「OKY」を検索してみると「OKYとは」のような解説記事などが多数見つかったりします。

個人的にですが、この「OKY」問題は解決が非常に難しい問題であると考えています。

人間の想像力や寛容さなどには、しょせん限界があります。住んだこともない国の事情など、基本的には知りようがありませんし、日本で起こり得ないようなことを突然受け入れろ、といってもなかなか難しいでしょう。僕自身、中国に来る前には想像しなかったような問題がたくさんありすぎて、「そういうものだ」と受け入れられるようになるまでにはずいぶん時間がかかりました。

なので、これからも世界には無数の「OKY」が生み出されていくことでしょう。ただ耐え忍ぶしかないとは絶望的な気持ちになりますが、なんとかやっていくしかありません。できることがあるとすれば、自分はなるべく相手に「OKY」を感じさせることがないように心がける程度のことです。

もしこれをお読みの在外日本人(または海外在住経験アリ)の方々、よかったらあなたの「OKY」エピソードをコメント、Twitterなどでお寄せください。せめてネタにして供養しましょう。お待ちしております。

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