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スマホのおかげで中国でも気兼ねなくメシが注文できる話

超スマホ社会である中国。老人に優しくない、多数のスマホ中毒者を生んでいるなど批判の的になることもありますが、ものすごく便利であることには違いありません。

そしてこのスマホ社会は、外国人にとっても多くの利便性をもたらしています。

中国語が読めなくてもKFCでらくらく注文

外国人がスマホ社会の恩恵をもっとも感じる時、それはメシの注文をする時です。

中国は語学的な意味で、普通のメシを注文するハードルが異常に高いのです。いったいどいうことか、中国でも広く普及している外食チェーンであるケンタッキーフライドチキン(KFC)を例に見てみましょう。以下はKFCのメニューの一部の写真です。

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なんでKFCなのにメニューがお粥なんだよ、という在住者にとって一週遅れのツッコミは置いておいて(ちなみに中国KFCのメニューは大幅にローカライズされています。その話はいずれまた別の記事で)、注目すべきなのはそのメニューの名称です。

たとえば一番上の「雪菜笋丁鸡肉粥」。すべて拼音表記にすると「xuě cài sǔn dīng jīròu zhōu」。普通話ネイティブにとってはなんてことはないでしょうが、これら一つ一つの漢字に対応する拼音を全て知っていて、すらすらと読める中国語学習者がいったいどれほどいるでしょうか。読み方を知っていても、キレイに発音できるとは限りません。

このように、基本的に表意文字である漢字しか使わない中国語においては、そもそもその文字の読み方を知らなければ、なんとなく発音を想像して読むことすらできません。また、料理名に使うような単語・漢字には、初級段階では学習しないものが意外と数多く存在します。

結果として、口頭でメシを注文するハードルが非常に高くなってしまうのです。通し番号をつけたり英語の併記でもしてくれれば助かりますが、そんな気の利いたお店ばかりでもありません。僕も中国に来た当初はこの辺でかなり苦労しました。初めて「猪脚飯」を「啊?」と言われずに注文できた時には、けっこうな達成感がありました。

それが今や、数多くの飲食店ではスマホからの注文が可能です。上述のKFCにしても、WeChatやAliPayからミニプログラムを起動し、メニュー名が読めなかろうが写真を頼りに食べたいものを選ぶだけ。ややこしいセットメニューの注文だって思いのままです。

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支払いまでスマホ内で済ませたら、あとは番号が呼ばれるのを待って取りに行けばいいだけ。なんだたったら家までデリバリーしてくれます。初めてこれを体験したときには、「もうメシの注文でワチャワチャしなくていいんだ!」と感動したものです。

奶茶の注文に怯えなくてもいい

注文でワチャワチャ、といえば最近日本でも流行りの奶茶、つまりミルクティーも注文ハードルが高いものの一つです。

たとえばチーズ入り奶茶ブームの火付け役とも言われる「喜茶」では、ややこしいメニュー名に加えて温度、氷の量、甘さの加減など無数のオプションを選ぶ必要があります。口頭だと、どのようなオプションがあるのかを知った上で一つ一つに的確に答えなければなりません。弱小中国語学習者にとって口頭での注文は、まるでシューティングゲームをやっているかのような緊張感なのです。

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それもいまや全てスマホでピッ、ピッと選択するだけ。我々日本人は漢字文化圏に属するため、読めば意味は楽勝でわかります(非漢字圏の人はこれも大変そう)。なんだったら店に行く前に注文して、出来上がったらスマホに通知までしてくれます。極度のプレッシャーに苛まれなくても奶茶にありつけるのですから、ありがたい話です。

また、いつだったか奶茶を口頭で注文する時、そのようなオプションの意味がわからずに戸惑っていると、店員に「普通話(標準中国語)がわからない人」認定されたうえで広東語(方言)でまくし立てられ、さらに詰んだこともありました。「なんだよコイツ普通話も広東語もわかんねえのかよ、どっから来た田舎もんなんだよ?」とでも言いたげな、店のネエちゃんの訝しい顔が思い出されます。スマホ注文のおかげで、もうあんな惨めな思いをしなくて済むのです。

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かくて、中国のスマホ社会は中国語がおぼつかない外国人が生活することにも多大な利便性をもたらしている、というお話でした。

そういえば最近日本にいる中国人留学生と話したとき、「UberEatsがあるおかげでめちゃくちゃ助かっている」と言っていたので、このような流れは世界中にあるのでしょうね。

便利な世の中に感謝しつつ、今日も奶茶を飲んできます。それでは。

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