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NHKラジオ・不適切発言中国籍スタッフの件に感じる恐怖

(2024/8/29)事件に関する追加情報が出てきたので、追記しました。

中国界隈で大きな話題といえばこのニュース。

NHKの国際ラジオの中国語ニュースで、原稿読みを担当する中国籍の男性がニュースを読んだ後、突如として原稿外の内容を発言し始めました。しかもそれは、「尖閣諸島(中国での名前は钓鱼岛diao yu dao)は中国の領土である」という、日本政府の公式見解とは大きく異なる政治的立場に立脚するものでした。

男性は外部委託団体のスタッフで、NHK側は団体を通じて本人に抗議。団体はこの男性の解雇を検討中です。反面、中国のSNSでは男性を称賛し、英雄扱いするようなものも一部(というにはちょっと多いのですが)に見られました。

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中国の人々が国外で自国の政治的立場を大々的に表明したり、その手段としていささか過激な方法が取られる事例というのは、近年多くなっています。

たとえば僕のマガジンでも扱った、靖国神社への落書き&放尿事件です。明確な器犯罪ですが、この犯人は日本をさっさと脱出し、中国で普通に活動しています。なんだったら日本のメディアのインタビューまで受けています。

直近ではこんなこともありました。パリのホテルに来た中国人がロビーに飾られている万国旗の中に中国の国旗がないことに抗議し、自分で買ってきた国旗を飾ってくれと頼むも拒否され、最終的には宿泊をキャンセルしたという話です。これは話が大きくなり、ホテル側が声明を出すなどしました。

NHKラジオの件も、こうした「海外愛国中国人」の過激な愛国の発露の一つ……とも言えるのですが、個人的にはこの件には他の事件とちょっと異質な部分があると思っていて、それに少しばかりの恐怖を感じています。

といってもそれは日本の一部右向きメディアや政治家がいうような、「中国の影響力工作だ!」とか「中国のスパイではないのか!」という話ではありません。

これが政治的工作だとしたらあまりにもやり方がアホすぎるし、スパイとかたいそうな話ではなく、個人の暴走と見るのが適切でしょう(といっても安田峰俊さんの『戦狼中国の対日工作』を見れば分かるように、中国の対外工作というのは驚くほど粗雑で、後先を顧みないものであることも事実ですが)。

僕がNHKの件を異質だと感じるのはむしろ、本当にこれが「個人の暴走」でしかないのではないか、という点です。

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