見出し画像

【好きな作品】スーパー戦隊を40作観た人の「バトルフィーバーJ」感想

Youtubeにて配信されていたバトルフィーバーJ
前回の配信が2015年だそうでなんと8年ぶりの再配信。

自分はゴレンジャーからキュウレンジャーまでは全て視聴済みなのでその時の気分次第で再視聴したりしなかったりする。
さすがにバトルフィーバーはうろ覚えの部類だったので改めて視聴したのだが、これが記憶より面白かった。
せっかくだから感想あげようと思った次第。


予備知識

バトルフィーバーは戦隊の一作目?三作目?

スーパー戦隊の歴史のおさらい!


ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊と続いた訳だがこの2作はスーパー戦隊に含まれない時代もあった。
例えば超獣戦隊ライブマンは10周年記念作品だがゴレンジャーではなくバトルフィーバーJを一作目としてカウントされているなど。

というのも前2作は仮面ライダーやサイボーグ009の石森章太郎原作による「戦隊シリーズ」、バトルフィーバーJ以降は八手三郎が原作名義の「スーパー戦隊シリーズ」と区別・認識されていたから。他にもバトルフィーバーから戦隊ロボが導入されたり。

今なおクレジットされ不老不死みたいな謎の人物八手三郎、アキバレンジャーではがっつり本編に絡んだりもしたがその正体は昭和ライダーなどを担当した平山亨プロデューサーのペンネーム。
退職後もプロデューサー集団の共同ペンネームとして使われている。

その後1990年代に入るとやんわりと前2作もシリーズに含まれるようになり、未来戦隊タイムレンジャーでは最終回後のスーパー戦隊を振り返る特別編において明確化された。
特撮の歴史でもおもろい変遷だよなーと思う。


黒船マーベル来航

キングオージャーの主題歌の人だったかが無知故に炎上したがスーパー戦隊の歴史とマーベルは密接に繋がっている。…というかあれはそもそもクリエイターとして幼稚なのでリスペクトだ無知だ以前の問題なのだが…


ウルトラマンやライダーと違って戦隊には休止期間が存在しないように思えるがそんなことはなく、2作目のジャッカー電撃隊の後に早くも途絶えている。事実上打ち切りになったからだ。

その後東映とマーベル・コミックの3年間お互いのキャラクターを自由に使っていいよ!という契約が結ばれたことで生まれたのがあの東映版スパイダーマン。
「地獄からの使者!」
「キノコ狩りの男!」
などの特徴的な口上を筆頭に、ネット上ではニコニコ動画を発端にネタ的な意味合いで愛されてるあのスパイダーマンだ。

恥ずかしい話が東映版スパイダーマンはちゃんと視聴したことがない。
先に挙げた契約期間の問題だとか日本国内では2000年代に一度だけBOXセットが発売されたのみで以降ソフト化は一切されてないのだそうな…そりゃ観れる機会がないわけだわ…

スパイダーマだなんて茶化され10年以上前に戦闘シーンだけの転載を見かけ視聴したのだがこれがすごい力の入れようだった。

スパイダーマンらしいアクションを!と壁をよじ登るなど見られたがしっかりした命綱ではなく簡易的なロープのみで支えていたそうな…


原作のスパイダーマンから逸脱してはいるがストーリーはかなり重いらしい。これもネットの情報でしかないので悔やまれる。

マーベルの原作者スタン・リーは東映版に怒るどこか絶賛していた。楽しげに語る動画を見たことがある。


東映版スパイダーマンが制作されたのは分かったけどそれと戦隊がどう関係あるの?という話。

ありのままのスパイダーマンを制作したところで果たして視聴者が食いつくかわからない。
なので原作準拠せず自由にやろう!と思い切った設定が次々生み出された中の一つが巨大ロボのレオパルドン
何とスパイダーマンが巨大ロボに乗って戦うのだがそのレオパルドンが好評だったのを受けて戦隊でも導入された、と語り継がれている。言うなれば戦隊ロボのきっかけだそうだ。

当時のデザイナーは「レオパルドンが好評だったから継承した」というのを否定しているらしい。
とはいえバトルフィーバーで唐突によし!巨大ロボを出そう!なんて発想になるとも思えないので、少なからずレオパルドンによる影響はあったはず。


東映版スパイダーマンだけが由来している訳ではない。
先に挙げた「3年間マーベルのキャラクターを使って良い契約」の猶予を見越して制作されたのがバトルフィーバーJ。

企画段階ではキャプテンジャパンというタイトルであのキャプテンアメリカのモチーフだったがマーベル側の事情で使用不可に。
代案として提示されアレンジを施されたのがミスアメリカ。なのでマーベルにも同名のミスアメリカというキャラクターが存在するそうだ。

元のミスアメリカから引用されたのはアメリカの象徴である星条旗ぐらい。
マスクやタイツは近年実写化もされたミズ・マーベルから影響を受けているそうな。

そんなわけでバトルフィーバーJはマーベルとの契約がなければ生まれなかったかもしれない戦隊。
もしかしたら戦隊はとっくに途絶えていた可能性も…?

先の契約云々の経緯があるので何とバトルフィーバーJの世界は明確にマーベルのマルチバースの一つ、アース-79203として設定されているそうだ。
アメコミ誌上に出る日がいつか来るかも。


バトルフィーバーJ感想

アドリブを効かせた盤石な構成

さて本題の感想。
最初に観たのは少なくとも8年以上前、その時は特撮でありがちな消化的なワンパターンの構成に思えてあまりのめり込まなかった気がするのだが改めて観たらこれがすごい面白かった。



長々書いたように戦隊初の巨大ロボ
なのに放送段階ではスーツの制作が間に合わず本格的に登場したのはなんと1ヶ月経ってから。

それまで巨大ロボは建造中、敵組織の秘密結社エゴスは世界征服…ではなくまず巨大ロボの完成を阻止する作戦を実行する。1話だけでなく数週に渡ってだ。

案の定作戦が失敗に終わり巨大ロボが完成した後は中盤までバトルフィーバーの正体を暴く作戦を実行する…合理的な作戦展開が多い。

特撮でありがちな丸一年ずーっと世界征服!が目的の作戦ではなく焦点を絞った暗躍、かつ戦隊側はそれをうまくかわし続けるような防戦の展開が珍しくて夢中だった。


バトルフィーバーは戦隊で唯一?レギュラーのメンバーが2人も交代することでも有名。
昭和の特撮では前置きない突然の後任就任が定番だが、ちゃんと丸々一話分使って交代回を設けている。丁寧なのも珍しいと思った。

スケジュールの都合であろう、バンク映像と化した鉄山将軍やヘッダー指揮官の謹慎処分といった工夫もおもろい


エゴスの特異性

先にも挙げた作戦展開が堅実な秘密結社エゴス
王道な地球征服を目論む軍団…ではなく噛み砕いて言えば宗教団体。かなり異色だと思う。

首領のサタンエゴスを神と崇めるエゴス教を信仰。
人間関係などを破壊させることで社会の混乱を招き、人間の内なる欲望を晒しエゴス教の信者を増やして現代文明の破壊を目的としている。


似たような組織として仮面ライダーBLACKの暗黒結社ゴルゴムが挙げられるが権力者や科学者が作戦指揮も務めていたのに対し、実は隣人がエゴスを信仰する信者でそこからねずみ算式に…と一般市民を起点に作戦を進行させるのでかなりタチが悪い。

どでかい爆発や事件があってからではなく転々と怪事件が起きてから新聞を読んでバトルフィーバーが怪しむ、何ならメンバーがエゴスの仕業だと察知できないことも多々あり事後的な立ち回りになるのも厄介極まりない。


特に東映特撮では序盤では大それた作戦なのに途中からネタが切れたのか急に回りくどかったり小規模な作戦が展開されるので、秘密結社という特異性に沿って違和感ない作戦規模なのも上手いと思った。


今作から巨大ロボが導入されるので必然的に巨大戦が設けられる。
等身大で戦っていた怪人が巨大化するのが戦隊では多いが、初の巨大戦にして怪人とは別で同型のロボットを建造しているパターン。
なので等身大戦と同時に巨大戦を展開する珍しい光景も見られる。

等身大怪人の弟・妹にあたるらしく、怪人が退場する際には「弟or妹よー!」と爆散、サタンエゴスが「兄or姉の仇を討て!」と憤るのも珍しい。


基本的には終始厳格なサタンエゴスだが割と部下思いだったりシュールなギャグのような茶目っ気があるのも観てて面白い。怪人を尊重する上に冷酷非道でもないので組織全体に仲間意識のような雰囲気があるのもどことなく微笑ましい。



魅力的なバトルフィーバー隊

そんなエゴスに立ち向かうのがバトルフィーバーJ。作中ではバトルフィーバーだとかバトルフィーバー隊と呼称が複数あったりする。


昭和らしい正義感に熱い真面目な戦隊!…かと思いきや序盤ではパトロールの一環としてインベーダーゲームだとかパチンコに興じるなど意外にも不真面目で長官ポジの鉄山将軍がブチ切れる場面も。

最近はどうだか分からないが漠然と抱いていることで、毎年5人も主役がいるのだから1人は影が薄いキャラクターが明るみになってしまうこと
戦隊ならではの懸念点だが後任も含むと7人もいたのに個性がはっきりしているので極端に影が薄いメンバーがいなかったのが珍しい。



従来の戦隊の敵組織なら怪人特有の能力を主軸に作戦を展開するのに対し、エゴスは一般人を起点とした作戦を展開するので


怪人特有の能力→影響を受けた人々との交流→計画阻止、戦闘


と大体の話で一般人とのワンクッションが描かれる。それにより必然的にバトルフィーバー隊各々の持ち前の性格が浮き出るのが要因かなと思う。

一般人主体の事件に繋がることから連絡員など前線で戦う5人以外にも印象が残るのもポイント。

そして戦隊シリーズの長官・指揮官ポジの中でも人類最強と都度崇められているのが鉄山将軍

この時点で将軍という肩書きなのが現代に生きるやべえ侍感を醸し出してて面白い。死神博士や地獄大使などのショッカー大幹部を連想してしまうのもおもろい。

やたら最強だなんだ言われるけどいやオタク特有の煩わしい主語デカ発言でしょ…と思いつつ視聴を続けていたら、最後までバトルフィーバーの攻撃が効かなかった強豪怪人を基地から全力疾走で駆け付けた上で一刀両断。勿論生身の人間。
この時点で戦隊のメンバーよりも強いことが明確になって面白い。

その後も罠です!行ってはいけません!と散々忠告を受けた一騎討ちに臨み負傷するかと思いきやそんなこともなく圧倒していたりいくら長官ポジとはいえやりたい放題なのがおもろすぎる。

長官ポジといえば後の作品では今なお大人気のデカマスターことドギーやトリンのような前線にも出るタイプ、ピーボのようなロボットタイプなどあるが次回作のデンジマンはかなり意外性があったりする。初見では必ず驚くはず…


戦隊初のロボ!

さて記念すべき元祖戦隊ロボ、その名はバトルフィーバーロボ
本編未視聴のキッズの頃ブックオフでずらーっと並んだ歴代戦隊の超合金魂?を眺めるのが好きだったがその頃から妙に好きだった。

1号ロボでは唯一?後の作品で見られる変形合体が存在しない。
一体どんな内部構造やねんと突っ込みたくなる戦闘母艦のバトルシャークにマトリョーシカのように人型のまますっぽり格納されているので久々に見た時は笑ってしまった。


変形合体がない分角張ったデザインではなくプロポーションがより人間に近いのも戦隊ロボの中では珍しいと思う。昭和戦隊あるあるの似たような箱ロボばかりで見分けが難しいがまず起きない。


鉄山将軍の指揮の元建造されたからなのかモチーフは鎧武者。黒と赤を基調としているのでより引き締まって見えるし今見てもかっこいいデザインだと思う。


武装もこれまた特徴的。
剣を中心に武器を携える戦隊ロボだが斧に槍、盾に鎖と幅広い武装が備わっている。
バトルシャークから射出されたものを受け取ってすぐさま活用するのでまるで弁慶のような。次々と武器を受け取っては攻撃するのでどことなく容赦ない印象がある。


前半の必殺技はクナイ型のダガー:ソードフィーバーを相手に突き刺すクロスフィーバー、後半からは電光剣を用いた電光剣唐竹割り。途中からフィニッシュが変わるのも珍しく唐竹割りは剣が必殺技の戦隊ロボの元祖だろう。


珍しいのが搭乗人数。
戦隊ではありがちで初期は5人全員が乗らないと本領発揮できない、途中から2号ロボなどが登場して力量が備わったのかレッドだけが単独操作、残ったメンバーで別機体を操作するパターンがある。

バトルフィーバーの場合等身大怪人とは別で同型のロボットが暴れ回るので初期は怪人を倒してから搭乗、巨大戦へと移るのだが途中からパターンが増える。


リーダーのジャパン1人で搭乗、4人が怪人と戦っている間合体技の為にコックピット内から武器をぶん投げて怪人を倒しつつジャパン1人でロボットを倒してしまう流れに驚いた。

てっきり5人揃わないと怪人を倒せない!ロボットを倒せない!とありがちな板挟みの展開になると思ったのにそんなことはなかった。この辺の違いも面白いとこだと思う。

圧倒的な強さに大好きなデザインとバトルフィーバーロボはかなり好きな戦隊ロボなのでSMPとして商品化しないかな…と待ち遠しかったりする。


総括

特に昭和戦隊ではありがちで等身大の合体技からの巨大戦はほっっっとんどワンパターンなので飛ばしてしまうことが多々ある。
しかし必殺技だとか等身大戦と巨大戦の同時進行が珍しかったりと今回の再配信では珍しく飛ばすことなく完走した。

強いて言えば巨大戦の一進一退の攻防演出まだ弱く、とりあえず攻撃ぶっぱの手数増やしたもん勝ちが昭和戦隊の特徴。
とはいえバトルフィーバーはあっさり決着が着く分ドラマパートに尺を割いているので抵抗はさほど感じなかった。

戦隊でも異色な見た目ではあるが5人とも個性際立つ場面や一般社会に紛れる為より独特な怪人たちと珍しく退屈に感じず見入っていた気がする。
別に観なくていいや…と感じるような回もなくずーっと面白かった。

ゴレンジャーが戦隊の元祖と定まりはしたがバトルフィーバーがその後の流れを築いた、というのも納得だった。

来週からは順当にデンジマンの配信なのだろうか…同じくうろ覚えなので再視聴したいところ。

いいなと思ったら応援しよう!