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システムアーキテクト 合格秘訣・合格体験記

本記事ではシステムアーキテクトの合格秘訣をまとめます。勉強を始める方、受験予定の方、合格まで今一歩だった方に参考になれば幸いです。


はじめに

はじめにご報告ですが、令和5年春のシステムアーキテクトに合格いたしました!

筆者のシステムアーキテクト試験結果

午前IIは楽々通過でしたが午後Iは余裕点数が4点だけでした。
合格ラインは60点なので、合格は合格ですが、ギリギリ通過とも言えます。午後IIはランクAをもらえたので合格ですが、余裕の合格だったかギリギリの合格だったかは試験結果だけからは分からないですね。

なお受験直後にも振り返りのため記事を書いているのでご参考ください。


合格体験記

私の場合、システムアーキテクトは情報処理技術者試験で取得していなかった資格の中で最後のものでした。

受験回数は4回。

過去、不合格でその後別の区分の試験を受験したこともあるので、年数と一致していませんが、挑戦の年数は6年です。

3回の不合格の理由は、午後I不合格・午後II不合格・午後II不合格です。
午後Iも常に余裕を持った通過では無かったので、毎回主に午後I・午後IIを中心に対策をしていました。

勉強時間は合格した時の年は80時間程度(週に5時間×4か月)、4回挑戦しているので述べ320時間といったところでしょうか。
※時間が空いているので忘れている知識も多いですが


対策の中心は上で述べている通り午後I・午後IIです。
難しかったところは、マネジメント系の知識とテクニカル系の知識両方が求められるので、何を設問で問われているか把握する必要があるところです。


午前Iの合格秘訣

午前Iは今回免除であったため受験しておりません。
過去、別区分ですが免除期間が失効して午前Iを再受験して合格したこともありますが、その時の経験で言うと、対策は
「過去問を解く」
に尽きると思います。

過去問から同じ問題・類題が一定数出るので、5~6年分を解いておけば十分突破できると思います。


午前IIの合格秘訣

午前IIの対策について述べます。
午前IIは25問中15問正解すれば通過です。


1. 過去問対策

午前Iと同様、過去問から対策するのが最も効率が良いです。


令和5年の場合、4割は過去問(令和4,3,1年、平成30年)の再出題でした。

  • 問1 アシュアランスケース:令和3年 問1

  • 問2 DFD:令和1年 問1

  • 問5 オーバーライド:令和1年 問4

  • 問6 GoFデザインパターン:令和1年 問2

  • 問7 チューリングテスト:令和1年 問12

  • 問9 スプリントレトロプロスペクティブ:平成30年 問13

  • 問14 WTO政府調達協定:令和3年 問15

  • 問17 共通鍵暗号:令和4年 問15

令和1年からの再出題が最も多いですね。


以上より、8問くらい再出題されますので、4回分くらいは過去問を解いておきましょう。15問中8問が取れるとしたら大きいです。


2. 頻出傾向の問題

午前II試験は周辺の他区分の問題も出題されます。
システムアーキテクトの場合、頻出される他区分の問題についてイメージを画像でまとめました。

午前II・システムアーキテクトの頻出の他区分問題(イメージ)

IPAシラバスによれば問題はテクニカル系・マネジメント系・ストラテジ系の3つに分かれます。

システムアーキテクトでは、テクニカル系の出題としては応用情報技術者やデータベーススペシャリスト寄りの問題が多い印象です。
具体的には、可用性計算やアクセス速度などが応用情報技術者寄りで、データベースの2相ロックやトランザクションログなどがデータベーススペシャリスト寄りであると言えます。

マネジメント系・ストラテジ系の出題としてはプロジェクトマネージャーやITストラテジスト寄りの問題が多い印象です。
システムアーキテクトは設計を主導するのでプロジェクトマネージャーやITストラテジストと連携して活動することが多いことからも妥当な傾向であると言えるでしょう。


3. システムアーキテクトにおけるジャンル

システムアーキテクトを勉強するに際しては、様々な技術やフレームワークを理解する必要があります。
多岐に渡るフレームワークや技術を理解するには、どのフェーズで利用されるかをジャンルとして整理するとよいでしょう。

ジャンル(フェーズ)別の技術/フレームワークの整理(例)

上図に列挙した各フェーズの代表的な技術・フレームワークは、ざっくりでもいいので理解しておいた方が良いでしょう。


午後Iの合格秘訣

午後Iの対策について述べます。

午後Iは記述式試験であり90分で4問中2問を選択します。100点満点中60点で通過です。


1. 過去問を解く

まずはどのような問題・設問が出るのか理解しなければ始まりません。
4問目は例年エンベデッド系(組込みシステム系)の問題が出題されます。

またデータベーススペシャリスト寄りの問題、ITストラテジスト寄りの問題も出題されます。

前者はテーブルや関係スキーマの図表が多く、後者は企画や戦略プロセスから導入が始まり主に要望・機能・設計を対応付ける問題が問われます。


実際に過去問を解いてみて、どのタイプの問題が取り組みやすいか見極めておきましょう。


2. 速読・即答テクニックを磨く

午後I試験は時間との勝負でシステムアーキテクトも例外ではありません。
時間内に完答するには問題文構造を手早く理解し速読し、必要な材料が揃った時点で回答を記述します。
問題文を全文読んでから設問1から順に対応するようでは時間は足りなくなるでしょう。

令和5年問3「融資保証システムの再構築」を例に具体的に説明します。

ご参考:IPA過去問


問題用紙を開いたらまずは各段落の章タイトルを把握します。

例の場合、

〔融資保証の概要〕図1あり
〔現在の業務と現行システムの概要〕
〔新システムへの要望〕
〔新システムの方針〕
〔新システムの設計〕表1あり

という5パートに分かれていることを把握します。

次に各パートを横串で通すようなキーワード(要件名や業務名)をざっくり把握します。

例の場合、

(1)申込
(2)承諾/審査
(3)融資
(4)返済/残高管理
(5)代位返済

といったキーワードを把握します。

多くの場合、カッコ数字((1)など)のタイトルになっています。


問題文は隅々まで読まずに設問文を読み、キーワードを識別したら、各パートのそのキーワードが書かれている部分を読んで回答材料を探して記述します。

例の場合、設問4は「融資残高管理機能」について問われていますので、各パートから関連の部分のみ読めば回答材料が揃います。

例外もありますが、基本は関連部分のみで記述することができ、隅々まで読む必要はありません。


なお、上記の点は三好康之様の下記動画で詳しく紹介されております。


3. 問題選択の基準を明確化する

早く問題に取り組む方法として、4問から2問を選択する際の基準を明確化しておくことをおすすめします。

重要なのはよりご自身にとって正答率の高い問題を選ぶというよりは、問題選択で時間を取られ過ぎないようにすることです。

具体例として、私は令和5年春の受験時は以下の基準で臨みました。

  • ITストラテジスト寄りの問題を選択する

  • 図表の多い問題は選択しない

  • 公共系の問題は選択しない

  • エンベデッド系(問4)は選択しない

上記くらいのざっくりとした基準で十分です。

根拠も、過去問を解いていてより自分の相性がよさそうだったからぐらいのものです。

実際に全ての問題文を時間をかけて読み進めてから選択することの無いようにした方が良いでしょう。

※今年からエンベデッドスペシャリストの出題様式が変わることから、令和6年からは問4についての傾向が変わるかもしれません。


午後IIの合格秘訣

午後IIの対策について述べます。

午後IIは論文試験であり120分で3問中1問を選択します。論文評価A~Dのうち評価Aで通過、晴れてシステムアーキテクト合格です。


1. 求められる姿勢について理解する

システムアーキテクトが求められる姿勢について理解しましょう。

プロジェクトマネージャーやITストラテジストとは異なり、どのように設計するか、実装するかといったテクニカルな知識をアピールする必要があります。

一方、データベーススペシャリストや応用情報技術者とは異なり、実装面やタスクの遂行だけをスコープとするのは足りず、主体的にステークホルダとコミュニケーションをとり要件を定義したり機能の提案をしたりする必要があります。

まとめると、企画/プロジェクトといったマネジメントと設計/実装といったテクニカルを橋渡しするような振る舞いが求められるでしょう。


2. 傾向を分析する

実際に過去問を確認しどのような傾向があるか分析をしましょう。
従来は要件定義・設計・テスト・移行などのフェーズ別のテーマが順繰りに出題されていた印象(特に要件定義・設計が頻出)ですが、令和に入りDX(デジタルトランスフォーメーション)を意識する問題も増えてきました。

令和5年問1はまさにDXをテーマとする出題でしたが、趣旨としてはDX推進のためにシステム連携やデータ統一などの調整を主体的に行う姿勢が問われていました。

また令和3年問1はアジャイル開発の現場でスクラムマスタとして振る舞うことが求められていました。

スクラムマスタはプロダクトオーナーなど他の専門役割と適切に連携する必要があることから、周辺のアジャイル用語/知識も頭に入れておくことが求められます。

まとめると要件定義・設計といった従来の区分の他、DXやアジャイルといった上流寄り・ITストラテジスト寄りの問題も出題されています。
ご自身にとって相性のいい問題を選びましょう。


3. 知識を強化する

システムアーキテクトは情報システムを中心に論述しなければなりません。
特に基幹システムを題材とする場合は基幹業務の知識が必須でしょう。

また情報システムと業務の関係を混同してはなりません。
論述が要件なのか機能なのか実装なのか、明確にして論述しましょう。

実際の現場で工夫した点を論述する際に、論文試験の経験が少ないと誰でもつい詳細に書きすぎてしまう傾向があるように思います。

一般的に通用しない内輪だけの機能名称なども使わないように、システム開発の常識に沿った用語での論述に慣れましょう。


4. 論述テクニックを学ぶ

システムアーキテクトに限らず論文試験は設問ア~ウのセットで出題されますが、各設問の関連や整合性が重視されます。

例えば設問アで情報システムの概要を論述した場合、設問イ以降ではアで述べた情報システムの概要を踏まえて論旨を展開する必要があります。

論文試験では受験者の経験を評価するので、一般論を組み合わせただけの論述は評価されません。

よって論述を始める前に設問ア~ウで書くべき骨子を設計する必要があります。


論文試験は骨子の設計がメインといって過言ではありません。
具体的には本ブログでも過去問対策として論文の書き方を記事としてあげているので参考にしてください。

ご参考:システムアーキテクト対策記事


おわりに

いかがでしたでしょうか?

システムアーキテクトを目指して勉強を始める方、受験予定の方、合格まで今一歩だった方に参考になれば幸いです。
特定年度の過去問の分析記事もあげているので合わせてシステムアーキテクトカテゴリの記事からチェックしてみてください。

知識・スキルアップ、合格の一助になることを祈っています。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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