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イエスが最も嫌悪した罪

「あなた方は,『然り,然り,否,否』とせよ」(マタイ伝5-37)
 



写本の比較


 この箇所には,写本によって二つの言い回しがあります。一つ目は,聖書が採用している上記の文章です。多くの主要な写本(シナイ写本・バチカン写本・ベザ写本など)が支持しています。二つ目は,紀元2・3世紀のギリシャ教父(ユスティノス・クレメンス・オリゲネス)が支持している文章です。以下に,ギリシャ語原文を並べておきましょう。

①  聖書が採用している文章
「ναι ναι,ου ου」

②  ギリシャ教父が支持する異読
「το ναι ναι και το ου ου」

 ギリシャ語原文において,非常に似ていることがお分かりになると思います。しかし,意味としては正反対です。
 ①の意味は,「然り,然り,否,否とせよ」です。二度反覆するのは誓いの表現ですから(タルムード),これは誓う行為を意味しています。
 一方で,②の意味は,「然りは然り,否は否とせよ」です。つまり,「然りが真に然りを意味するように行動せよ,神に対して誠実であれ,己の主義主張を実践せよ」と述べているのです。
 イエスは,この箇所の前文(マタイ伝5-33~36)において,「誓うな,偽るな」と説いています。よって,②の異読が本文だと思われます。

キリスト教の偽善


 イエス・キリストは,激しく偽善を嫌いました。信仰と行為,思想と生活が乖離することを,誰よりも嫌悪したのです。では,後世のキリスト教は,キリストの精神に則って生きてきたでしょうか?

「右の頬を打たれたら左の頬も向けなさい」(マタイ伝5-39)

「自分の敵を愛し,迫害する者のために祈りなさい」(マタイ伝5-44)

 イエス・キリストは,暴力を徹底的に否定しました。しかしキリスト教及びキリスト教国家は,暴力を肯定してきました。安全保障の名の下,陸海空軍を備え,核兵器によって相手を威嚇し,素手にはナイフで,ナイフには銃で,他民族を暴行してきたではありませんか。愛の教えを信じながら,実際には暴力を肯定した欧米諸国の偽善。この世に,キリスト教国家など存在しません。欧米諸国は異教国なのです。

結論


 欧米諸国の罪,それは偽善です。キリストは,互いに愛し合い赦し合うよう教えました。しかし,欧米諸国は,互いに憎しみ合い殺し合ってきました。信仰と行為の乖離,信念と生活の乖離,これを偽善と呼びます。もし欧米諸国が「私たちは異教国です」と称すれば,偽善の罪から逃れられたでしょう。しかし厄介なことに,彼らは自分たちをキリスト教国と信じてやまないのであります。
 一切の暴力を否定し,愛と赦しによって生きることを説いたイエス・キリスト。そのキリストを信奉する人々が,聖地回復の名のもとイスラム教徒を虐殺し(十字軍),経済的繁栄のためにアジア・アフリカ諸国を植民地化し,富と権力を求めて世界大戦を引き起こし,広島・長崎に原爆を落として無辜の民を抹殺し,現地住民(インディアン)を皆殺しにして領土を私物化し,石油欲しさにいちゃもんをつけて他国をメチャクチャにし(湾岸戦争),独りよがりの主義主張(クジラの捕獲禁止やLGBT法案など)を押しつけて異文化を排斥してきました。


長崎への原爆投下



 暴力の上に成り立つ欧米諸国は,キリスト教国ではありません。異教国です。ガンディーが率いたインド以外は,すべて異教国です。キリスト教国が己の偽善を認めぬ限り,彼らの心に福音の光は永遠に射さないでありましょう。
 

以下は、参考書籍です。


バルテマイ著「キリスト教の嘘」


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