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WHOから始めよ!

4月5日(金)に開催する「空海とソーシャルデザイン2019」キックオフイベントでは、ゲストにThinktheEarthの上田壮一さん、NOSIGNERの太刀川英輔さんをお迎えし、「ソーシャルデザインというテーマでいま話してみたいこと」をたっぷり伺おうと思っています。

僕も含めて3人×3つずつ=9つのキーワードをもとにトークを進めていく予定ですが、僕が出そうと思っているキーワードがWHOから始めよ!、0番目の場所、「やりたい」から「やらせていただく」へでした。

今回はそのひとつ、WHOから始めよ!について書いてみます。


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ベストセラーとなった『WHYから始めよ!』

TEDで4000万回以上再生され、世界的なベストセラーとなったのが、みなさんご存知の「Start with Why: How Great Leaders Inspire Everyone to Take Action」です。2012年には日本語版『WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う』が、2019年にはその続編となる『FIND YOUR WHY あなたとチームを強くするシンプルな方法』が出版されました。

そのメッセージはシンプルで、本物のリーダーたちはWHY(理由、大義)→HOW(手法)→WHAT(具体的にすること)の順番で思考しているということ。そして、人々を奮起させ、社会を巻き込むインスパイア型リーダーになるにはそれぞれのWHYを探し出し、最初にそれを語るべきということです。

僕が整理したソーシャルデザイン曼荼羅では、WHYは「ほしい未来」に相当します。『WHYから始めよ!』はリーダーシップの本であり、確かに仲間のやる気を引き出すためにはWHYへの共感は不可欠といえます。



WHYはどこからくるのか?

では、どうすればWHYを見つけることができるのでしょうか。ガイドブックとなる「Find Your Why」の原著では次のようなステップが紹介されています(少し意訳しています)。

Step1: Gather Stories and Share Them
私たちはもう無意識のうちにWHYを生きているかもしれません。自分の過去とつながってみましょう。

Step2: Identity Themes
相手に語りながら、自分にとって重要だと感じられるキーワードを探してみましょう

Step3: Draft and Refine a Why Statement
「TO _ SO THAT _ 」(◯◯するために、◯◯すること)という形式でシンプルにまとめてみましょう

つまりWHYを見つけるヒントは、自分がこれまで積み重ねてきた過去そのものなんですね。つまり自分は何者なのか=WHOがとても重要なのです。(ひとりではなく、誰かとのストーリーテリングを通じてWHYを見つけていくというのは「beの肩書き」とまったく同じアプローチといえます)


WHOに根ざしたWHY

WHOから始めるリーダーシップは、オーセンティック・リーダーシップとも呼ばれています。勉強家のワークショップシリーズ①「beの肩書き」は、まさにWHOのためのワークなのでした。

いくら大きなWHYを掲げてみても、それが本来の自分から湧き上がったものでなければ、時流によってWHYを変えるなど長続きしないものです。逆に言えば、WHOに根ざしたWHYは、本来の自分が人それぞれ多様だからこそ、誰にも真似できないユニークな価値となるはずです。

そこで僕が"精華モデル"として誰でも受講できるようにしているソーシャルデザイン演習でも、WHOから始めることを大切にしています。それはたくさんありすぎて迷ってしまうさまざまな可能性を自然と絞れるようになる軸となるからです。


WHOはどこからくるのか?

と、ここまできて「じゃあ、WHOはどこからくるのか?」という問いが浮かんだ方もいるかもしれません。これにはふたつの答え方がありますが、ここではひとつにとどめておきます(もうひとつは次の記事で)。

結局のところ、本来の自分と向き合うためにはこれまでの経験が欠かせません。しかたなく強制されたものであれ、自分で直感的に選んだものであれ、WHOもWHYも意識せずに、どれだけのWHATを重ね、それらを通じて気づきや学びを得てきたのか、これまでのストーリーの濃度が問われてきます。つまりWHOの質はWHATの量と比例するのです。

そういう意味では「WHOとかあれこれ口にする前に、まずはWHATしてみろ」といいたくなる場面も確かにあります。とはいえ、WHO(本来の自分)→WHICH(リソース)→WHY(ほしい未来)→HOW(デザイン)という順番があり、それらの4つが合わさると自ずとWHAT(やるべきこと)が浮かび上がってくるという見取り図を持つことは、ただガムシャラにやるだけよりも有意義なのではないかと思っています。


ということで、ひとつめのキーワードはWHYから始めよ!をパロったWHOから始めよ!でした。次回は0番目の場所というキーワードを通じて、WHOはどこからくるのか?のもうひとつの可能性について書いてみたいと思います。


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はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎