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イスラム教徒とユダヤ教徒の違いについて考えてみた

4年近く暮らすマレーシアは、イスラム国家です。
イスラム圏の中でも東南アジアは緩いですし、特に他宗教を認めているマレーシアは、私たち異教徒があまり意識しなくても生活する術はあります。
ボルネオ島は、イギリス領地だった頃に宣教師が入っていたので特にクリスチャンが多いのが特徴ですが、イスラム教の友達ももちろんいます。

たまたま、ユダヤ教徒について調べることがあり、元々は同じとも言われるこれら2つの宗教を比較してみたいと思いました。

イスラム教徒とは

これは、聖地エルサレムのモスクですが、イスラム教徒は現在のサウジアラビアのメッカという地で、ムハンマドがアッラー(神)の掲示を受けたのが始まりです。
イスラム教徒にはアッラーの神が唯一の神で、これらの教えを説いた「コーラン」に従っています。
私たちの言うコーランは「クルアーン」と呼ばれ、聖典という意味を持ちます。
そして、さまざまな決まりがあるのです。
これらは、ムハンマドの言葉や行動として「ハディース」記載されているのです。

ムスリムの決まりごと

イスラム教徒が豚肉を食べない、お酒を飲まないのは知っている人も多いでしょう。

主なタブー
①ハラールの食べ物や行為以外は禁止
②アルコール
③1日決まった回数メッカの方角に向かってお祈りをする
④露出の少ない服装
⑤断食月がある

ハラールとは

ハラールとは許されたという意味で、ノンハラールは反対の許されてないものという意味です。

食べ物だけではなく、行動も含まれているんですね。

豚肉や豚エキスが入ってるものはもちろん、水にもハラル認証があるんです。

ハラール店と認められてる店には看板も掲げられています。

ちなみに、豚肉を調理したフライパンを共有するのもダメです。

他にも、リスとか爬虫類とか細かな規定があるんですよ。

ハラールはイスラム法で合法、なおかつ、健康的で清潔安全、高品質で栄養価が高いものと定義づけています。

死肉は禁じられているので、ハラール屠殺にのっとった方法になります。

アルコール

アルコールは禁止です。実際飲んでいる人がいるのも確かですが、神の教えに従ったかどうかは自分が1番よく知ってます。
秘密警察などもいるので、アルコールを提供している店や、飲んでいる人が捕まることもあるのだと思いますよ。

お祈り

これは、スンニ派とシーア派で回数が違いますが、メッカの方角に向かってお祈りをするのは同じです。
シーア派は3回なのに対して、スンニ派は5回です。
そして、シーア派は「タスビー」という数珠のようなものと「モフル」と言う土の塊りを使って礼拝します。

①ファジュル:夜が明けから日の出前まで
②ズフル:正午から次のお祈りまで
③アスル:夕方から日没まで
④マグリブ:日没から次のお祈りまで
⑤イシャ:夜日の光がなくなってから次のお祈りまで

「これじゃ何にもできないよ」と思いがちですが、モスクに行かなくても良いし、お祈り時間の長さにに決まりはありません。
イスラム圏のショッピングモールやホテル、空港にお祈りの部屋「スラウ」がありますし、お祈りの時に敷く絨毯もあります。
実は一度バスマットと間違えて使いそうになった事があります。

なので、仕事をちょっと抜け出して10分くらいお祈りも可能ですし、時間を合わせて2回分一緒にやってしまう、なんて事もあるそう。
昔、ジャワ島を案内してくれたガイドさんは、お祈りしなくていいのか?と聞くと、「朝いっぱいやってきた」と答えていました。
決して推奨されないでしょうが、信仰度合いにもよるのでしょう。
ただし、金曜日は聖なる日なのでこの日のアスルは特別です。モスクに出向く人が多いです。
イスラム圏の金曜日はお昼休みが11時30分から2時30分くらいまでと長く設定されています。公共機関は要注意ですよ。金曜と土曜が休みで日曜は普通の日というところもあります。
休憩時間は決まっていても、お祈りから戻ってきていないと閉まったままですからね。
これに伴い、金曜日はめちゃくちゃ道が混みます。
金曜のお昼前後のお出かけや観光は、思わぬところで渋滞に巻き込まれるのです。
ちなみに、太陽の位置でお祈り時間が変わるので、場所によっても時間が変わります。
大きなモスクだと、世界時計があり、いくつかの地域のお祈り時間が表示されています。

服装

目立つところで、女性は肌と髪を出さないのが決まりです。
耳もだめですね。
ヒジャブ(マレーシアではトゥドゥン)と呼ばれるスカーフを被ります。

男性も基本は露出度の低い服装が好ましいので、普段でも短パンの人は見ません。
モスクに行く時は異教徒でも短パンはタブーです。
暑い国が多いのに大変ですよね。
ちなみに、イスラム教徒は髭を生やしている人が多いですが、髭を生やすことが推奨されているのだそうです。
ただ、実は推奨されているのは顎ひげだけなのだとか。決まりではなく、推奨されていることをスンナと言います。

断食

ラマダンと呼ばれる断食月があります。
イスラム教徒は1ヶ月間断食をします。断食と言っても、日の出から日没までで、日没後は食べて良いのです。とはいえ、かなりキツイです。半日しかしませんでしたけど、血糖値が下がってるのが分かるほど。
水も不可。厳しいところでは唾も飲み込めないので、水を口に含んで吐き出します。これは何度も目撃していて、酷いと車の窓を開けて水を吐く人も。
タバコも飲んではダメですね。

イスラム教徒は日の出前に朝食をとるため、この時期は4時ごろから起きて食事の支度をします。
そして、日没後は家族揃って食事をします。
そのため、イスラム圏は労働時間や店の営業時間が変わることもあります。
マレーシアは、ムスリムだけ4時まで、といった職場が多いよう。
日が高いうちに家に帰り、テーブルを囲んで日の入りを家族で待つのです。12時間ほど飲まず食わずなため、外で食事をする人も多く見かけます。

では、ラマダンはいつなのか?というと、イスラム暦第9月に行われます。
新月から新月の28日間ですが、専門家が肉眼でチェックして日にちを決めるそうです。
マレーシアは他の宗教の人もいるため、日にちで区切ってますが、厳格な国は月の状態によって変わるそうですよ。

ハリラヤプアサ

プアサとは、断食のことを指します。断食明けのお祝いが「ハリラヤプアサ 」です。
この日は2日間の祝日となり、断食が終わったことを祝い、家族で集まって食事をしたり、オープンハウスでたくさんのゲストを招待します。
王宮はこの日のみ一般の人が入れることも多く、無料で食事が振る舞われます。

じゃあ断食なんてしなけりゃいいのに、と思いますが、精神を鍛えて悪魔の誘惑と戦っているのだそうです。
何を指すかは想像してくださいね。
でも、欲に満ち溢れた世界で、欲を抑えるのはムスリムだけがやっていることではありません。
修行僧もやりませんか?お坊さんは毎朝お経を唱えますよね。お勤めもあります。
イスラム教徒の人たちは、皆修行僧だと思ったら理解できるのではないでしょうか。

話はそれますが、タイの男性は人生で1度は僧侶にならないといけません。これをすることで家族に得を積むのです。
期間は定められていないようで、1年でもいいし、仕事の都合で1週間という人もいるのだとか。

ユダヤ教徒とは

一方でユダヤ教徒はどうでしょう。
ユダヤ教と言っても大きく分けると下記のようになります。

①世俗派
②正統派
③超正統派

正統派まではなんとなく分かりますが、超正統派って何?と思いませんか?
ユダヤ教については知識が乏しいのですが、調べてみました。

ユダヤ教は、古代中近東で始まった信仰で、唯一の神をヤハウェとしています。

キリスト教の旧約聖書を「タハナ」と呼び、重要な聖典としています。

ユダヤ教徒の決まりごと

①カシュルート
②ジャッバート
③ヒェヒター
④ヘデルを勉強する
⑤服装に決まりがある
⑥超正統派の仕事
⑦断食

何やら聴き慣れない言葉が並びました。

カシュルートとは

カシュルートとは、ユダヤ教の食物の清浄規定のことを指します。
早い話が、カシュルとしてら認められているかいないかです。
こちらも細かく定義があります。

4つ足の動物でひづめが分かれているか否か等で異なり、条件を満たしていない、ラクダ・イワダヌキ・ウサギ・ブタは食べてはいけないのです。

魚介類にも区別があります。ヒレと鱗のあるものは食べてもよいが、エビやカニなどの甲殻類・貝類・タコ・イカなどは食べられないのです。
鱗が目立たないという理由から、ウナギもダメなのだそうですよ。
鳥の中や昆虫も事細かに決まっています。
カシュルートの食事を出すのは女性の務めで、迷ったらダビに指示を仰ぐのだとか。

ジャッバートとは

安息日を指します。この日は一切の労働をしてはいけません。
仕事を休むだけではなく、ボタンを押したりすることも労働とみなされるのだそうです。
そのため、安息日はエレベーターが各階止まりになったり、階段を使用するそうですよ。もちろん携帯のボタンなんて持っての他!
超正統派が多い、イスラエルは安息日があるため、自動捜査出来るものが多いのだとか。IT先進国のようです。
この安息日は、金曜の日没から土曜の日没までを指します。
金曜、土曜にイスラエルに入国している場合は注意が必要ですね。
ちなみに、人命救助のようなものはOKとなっているようです。

ヒュヒター

ヒュヒターは、食べる生き物の屠殺方法です。
外傷で死んだ生き物は不可となっているので、死肉は食べられません。
敬虔で知識のあるユダヤ教徒が、可能な限り痛みを与えず、屠殺します。
首の部分にナイフが当てられるのだそうですよ。
これはムスリムも同様ですね。

ヘデルとは

ヘデル自体は教室という意味ですが、ヘブライ語やユダヤ教の教えを学ぶ場所です。
国により学校外で行われている場所もありますが、イスラエルは全日制の学校とされていて、超正統派の子どもはここに通っています。

ちなみに、イスラム教もイスラム学校はあります。
コーランのアラビア語が読めるように、勉強する人も多いです。

服装のきまりとは

写真のような黒づくめは男性の正装となります。
普段からこの格好です。髭も剃ってはダメですし、もみあげも切らないようです。
女性は、こちらも肌を出してはいけません。鎖骨や手足は隠すのだそうです。
そして、結婚した人は髪の毛も見せてはいけません。
そのため、スカーフを被ったり、中には全部剃る人もいるそうです。
男性を魅了するもの、とされているみたいですね。
しかしながら、カツラはokなようです。でも、このカツラも派手すぎるとダメなのだそうですよ。

また、ユダヤ教徒は避妊を禁止しているので、子沢山なのも特徴です。

ところか!ユダヤ教超正統派の男性は収入を得る仕事をしないのです。

超正統派の人々のお仕事

彼らは宗教を極めることを仕事としています。
そのため日々、研究に励んでいます。
そんなことをしているから、これはどうだ?あれはどうだ?と議論が持ち上がり決まりが増えていくのではないかと思うのですけどね。
でも、収入がないと暮らしていけません。ただでさえ子沢山ですからね。
そこで、外に働きに出るのは女性なのだそうですよ。
また、イスラエルでは給付金がもらえます。正直、イスラエル以外で超正統派をやっていくのは厳しいでしょうね。
ネットを使うのも良いとされておらず、仕事をしている人も地元密着型の仕事をしている人が多いそう。

断食

「ヨム・キプール」という大事な日があります。

新年の日から10日間を「反省の10日間」し、神に自分の行いを悔い改めるのだそうです。
日本人なら、年が明ける前の10日間を反省の日にしそうですが、とりあえず明けちゃってから反省なんですね。

ヨム・キプールの前の夜の食事を最後に翌日の夕食まで、食事と一切の水分を絶ちます。歯磨きもダメなのだとか。

断食を行う宗教はたくさんありますが、
呼び方や暦が違うだけで、かなり似たところがあると感じませんか?

両宗教共、結婚前の男女が一緒に歩いたりするのも、良しとしておらず、公共の場では部屋などが分かれています。
代表的なのが、お祈りの場所です。
どちらもイスラエルのエルサレムを聖地としている宗教。興味深いですね。


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