ターゲットの心を徹底的に掴む!原作作家・和泉杏咲先生のロジカルな創作と「推し活」愛
9月25日(水)LINEマンガにて配信開始したSTUDIO ZOONオリジナル作品『推しの一途すぎる執着を、私はまだ知らない』。本記事では、原作・和泉杏咲先生と、担当編集である竹内のインタビューを掲載。「推し活」への深い愛、原作作家としてのロジックを語っていただきました!
「推しの一途すぎる執着を、私はまだ知らない」
Web:https://manga.line.me/product/periodic?id=S145408
App:https://app-manga.line.me/app/viewer/B00165366662?_appstore=0
作品を通して推し活好きが集まる場所を作りたい
竹内 本日は9/25よりLINEマンガにて配信されるSTUDIO ZOONのオリジナル作品『推しの一途すぎる執着を、私はまだ知らない』(※以降『推しまだ』表記)の公開記念として、編集の竹内と作家の和泉先生で、作品について色々とお話しをしていこうと思います。どうぞよろしくお願いします。
和泉先生 「先生」って呼ばれるのすごいドキっとしますね。(笑)「さん」付けでいいですよ!
というのも、仕事でのトレーナー歴が長くて、文章のトレーナーをやっていた時期が3年ぐらいあるんですけど。「先生」ってそのときに呼ばれていたので「先生」って呼ばれると「やばい!研修準備しなきゃ!」という気持ちに駆られるんです。(笑)
竹内 (笑)では、普段通り、「さん」付けでいきますね!
和泉先生 それでいきましょう!
竹内 さて、ついにLINEマンガで公開されましたが、今の心境をお聞かせください。
和泉先生 この作品を通して、推し活好きの友達ができたら嬉しいです!!
竹内 「推し活」というのが、今作の大事なテーマですよね。
和泉先生 真面目な話をすると、企画を作った時も、LINEマンガのコメント欄に推し活好きが集まるようにしたいなと思っていたんです。推し活好きの人が集まってくれて、その人たちとわちゃわちゃしたいっていうのが最初の目的でした。個人的には、“推し活好きな方々とお友達になるために企画を作りました”っていうのは意外と最初のコンセプトでしたね。
竹内 たしかに、ずっとそうおっしゃってましたよね。
和泉先生 やはり推し活が好きな人って熱量が強いと思うんです。「推し活」という言葉がいつから始まったか分からないんですけど、私自身はオタ活と呼ばれてる時代から熱心に推しを応援し続けていました。私としては、そういった人たちと語り合いたいんですよね!お友達になってくれる人がいたらいいな。(笑)
竹内 今回はLINEマンガでの配信なので、コメント欄がありますよ。
和泉先生 ちゃんとコメント欄は見ていますよ。ただ私がコメントを書くのは違うと思っているので書き込みはしないです。
許されるなら、作品の公式Xアカウントで会話みたいなことはしてみたいですね。
あらためてLINEマンガの面白いところはコメント機能だと思うんですよね。
一方通行のメディアではなくて、双方向のメディアで読者参加型で、
読者さんも『推しまだ』を作るメンバーになっていただいて、一緒に盛り上げていただきたいなというのは思っています。
竹内 『推しまだ』でコメント欄が盛り上がったり、『推しまだ』きっかけで友達ができたりっていう、一種のコミュニティになっていったら嬉しいですね。
和泉先生 作品によってコミュニティができていくのは面白いと思いますし、それが『推しまだ』だったら、より嬉しいですよね。
ペルソナマーケティングの話なのですが、今作のターゲットやペルソナはかなり限定的ではありますが、「絶対共感しているでしょっていう人たち」のことを、私は分かるんですよね。なぜなら自分が推し活を熱心にする人間だから。
そういった方たちが楽しくいられる場所を、原作の立場で作っていきたいっていうのは最初から変わらないですし、それはずっと続けていきたいなと思っています。
ターゲットにどういう言葉を発信するか?を突き詰める
竹内 今作は、和泉さんがSTUDIO ZOONで以前作った作品(『暴君の妃に転職しました』)や、他の作品と全く雰囲気が違いますよね。
和泉先生 そうなんですよ、作品で目指すゴールが違うからなんですよね。
竹内 おそらく読者さんは、和泉さんの作品だって気づかないだろうな。って思いました。(笑)
和泉先生 むしろそういうスタイルが好きなんです。私の作品を読んで、私の作品だって気付く人がいないような作家になりたいと思っていますね。逆に言うと私の名前で検索した時に、「この作品は好きだけどあの作品は好きじゃない」というのが出てくるのは至極当然だと思っていて。
ターゲットをかなり絞って、どういう言葉を発信したらその人たちに届くかということを、これまでやってきた仕事のために研究し続けてきたんです。
竹内 なるほど。和泉さんの作品は、ターゲットの解像度がすごく高い気がしていましたが、お仕事を通じた経験があったからこそだったんですね。
和泉先生 なので後から調べたら、「この人が作ったのか!」と驚いてもらえるような作家を目指したいなとは考えています。
今作の『推しまだ』でも自分のスキルや好きを惜しみなく発揮していると思います。絶対このキャラクターにこのセリフを言わせたら同類が集まるだろうなっていう確信はあります。(笑)
竹内 刺さる人にはかなりどっぷり刺さるっていうのはすごくわかります。私も推し活勢なので…(笑)
和泉先生 その人たちだったらこの作品を一緒に盛り上げられると思ったし、私もその人たちのために自分のスキルを最大限生かせると思いました。論理的に、かつ自分の好きを敷き詰める、という両軸で作った作品ですね。
推し活好きを一生懸命応援する作品を目指した
ーーすでに『推しまだ』の話題になっているので、そのまま掘り下げていければと思いますが、そもそも『推しまだ』はいつ頃から作り始めていたんですか?
和泉先生 実は人生で二番目の企画書だったんですよ。
ーーえ…!そうだったんですか!
和泉先生 そうなんです。誰かを一生懸命応援する企画を作りたいと思って自分が一番分かる人物って誰だろうって考えた時に、「推し活をする人」だったんです。私自身、推しを追いかけてきた人間だったし、かつ周りにそういう人が多かったので。しかも自分の周りにいる推しを追いかけてる女の子たちがすごくかわいいんですよね。行動とか思考とか全部かわいいので、こういう人たちをヒロインにした作品を作ってみたいし、この子たちを幸せにする作品っていうのをやってみたいなっていうのが動機ですね。
竹内 何かに夢中になっている人って素敵ですよね。
和泉先生 やっぱり目がキラキラしていてかわいいし、話も面白いし、「何でこれが好きなんだろう」って考える時間も好きなので飽きないんですよね。(笑)だから、何かに夢中になっている女の子のある種の分かりやすさが「推し活」なんですよ。
竹内 それでいうと、今作は表情もすごく肝になってると思うんですよ。変顔だったり(笑)
和泉先生 たしかにそうなんですが、そこはネーム作家さんと作画作家さんの二人がいてこそなんですよね。私は言葉では書けますが、一つの言葉に対してどうアウトプットするかっていうのは、私じゃどうにもできないところではあるので。そういう意味では本当にネームの方のベースがあって、線画作家の方の肉付けがあって、「すごい!」「これなら読者さんに喜んでいただける!」といつも思っています。
和泉先生が考えるSTUDIO ZOONのカラー
竹内 先ほど作品によって雰囲気が異なるという話をしたんですが、今作『推しまだ』はかなり和泉さんの顔が浮かぶと言いますか。テーマも相まって和泉さんのパーソナリティにかなり近い作品ですよね。
和泉先生 そうですね。(笑)なので身近な友達にも読んでもらいたいなと思ってます!
ーー和泉さんカラーが出ている理由ってどういうところにあるんでしょうか?
和泉先生 STUDIO ZOONって、企画に誤魔化しがきかないんですよね。
ーーそれはどういうことですか?
和泉先生 おそらく本当に自分の人生をかけたものじゃないと、企画を通してもらえないんだろうなっていう。
竹内 そうかもしれませんね。
和泉先生 作風としては全く違うんですけど、前作『暴君の妃に転職しました』を含めて、軸は最終的に自分そのものを出すことになりましたね。私も裸で勝負してやろう、という気持ちでやっています。
なので、結果STUDIO ZOONで出した二作品は、私の色になってると思いますし、『暴君の妃に転職しました』は私にしか書けない内容ですね。
キャラクター像をPDCAする
ーー前作は「ヒーローをこう使い分けた」などとおっしゃっていましたが、もう少し詳しく伺えますか。
和泉先生 『暴君の妃に転職しました』は、例えば社会人で、普段上司に不満を言いたいけど言えないたくさんの人たちの代弁をヒロインにして欲しかったんですよ。
どういう上司に対して言いづらいのか?それに対して、どういう人間が言うとスカッとするのか?っていうところの構築から始まったので、まずはキャラクターの関係性を現代に置き換えました。
次に理想の上司とは何か?と考えた時に、部下の能力や言葉を信じるスタンスの方が部下は嬉しいと思ったんですよね。最終的にはそっちのほうに持っていくためのストーリー設計をしました。最初からそのゴールがあったので、雰囲気をロマンスファンタジーに置き換えるとどうするかという逆算をして作った結果、『暴君の妃に転職しました』になりました。
竹内 なるほど。すごく腑に落ちました。しかもそれは、和泉さんの社会人としての経験や知見がしっかりと土台になってるわけですね。
和泉先生 その点『推しまだ』は全く違うんですよね。考えのスタート地点は「課金させがいがあるキャラクターは何か?」ですし、「なぜそのキャラクターに自分が課金したいと思うんだろう?」というキャラクター像。
例えば課金したいキャラはいると思うんですけど、これも人によって理由が違うと思うんですよね、本当にこのキャラクターが好みだから、ですとか、そのキャラの人生を応援したいな、とか。
竹内 その様々な趣向がある中で、今作ではどのようにキャラクター像を作ったんですか?
和泉先生 アリア(ヒロイン)は教師という設定がある以上、生徒の夢や生徒の成長っていうところをずっと追いかけるキャラクターなので、大事にしたかったのは、アレキ(ヒーロー)も夢を追いかけて努力をしているという、その重なる像があるかどうかだったんです。
「なぜそのキャラクターに夢中になるのか」ということを非常に分かりやすくしたのが特徴なのですが、読者さんにどう共感してもらうかという、その共感の感情を先に設定してから、キャラクターやその相手役は誰か?というのを考えていますね。
話を作っていく以上、ある程度の軸がないと、話がぶれたり、世界観がずれるということが生じるので。全員がきちんと同じ方向を向いて歩けるようにする。これが私の責任だと思っているので、いつでも言語で説明できるように、準備をしています。
「なぜこのキャラはこの行動をしなきゃいけないのか。」「その行動を見て読者さんにどう思ってもらうのがベターなのか。」
もしズレた場合はすぐに修正をかけて、「じゃあ次の展開ではこういうふうにしよう。」など、そこのPDCAを回してますね。
ーーまさか作家さんから「PDCA」という言葉が出るとは。(笑)
竹内 まさしく和泉さんらしさですよね。このロジカルさにエモーショナルが乗ったときの増幅度がすごいんです(笑)
和泉先生 縦読み漫画の場合は複数人での共同作業というところもありますし、会社の看板を背負わせていただいている気持ちもあるので、その会社さんが出すにふさわしいものは何か?というところを逆算しなくてはいけないっていうのが、私の社会人経験の中で得た知見なんですね。
そうなると、この会社やこのチームが出すにあたり、最もふさわしい形は何か?というところに、自分が作品をゼロから作るからこそ責任を持って挑んでいます。なのでPDCAは大事だと思っています。(笑)
あとは、単純に竹内さんが喜ぶ顔が見たいからですね。喜んでくれたときはやっぱり感動があるので、それを見たいというのもありますし、それは読者さんも同じですね。
竹内 少し照れくさいですが、嬉しいです!
和泉先生 また、チームや作家さんの特徴や性質を見つつ、私の方で少し調整したりしますね。シナリオの書き方を変えます。もっと踏み込めば、もし私が同じチームの作画作家さんのことをもう少し知る機会があるのであれば、この作家さんを活かす演出は何だろうって考えたりしますね。
竹内 まさしく和泉さんの社会人としての経験が、作家業でも活かされているように思います。
ちなみに、物語作りにおいて和泉さんの「軸」はどういったところにありますか?
和泉先生 人の成長とか、人の能力を信じるというところをとても重視していますね。仕事と通じるところでもあります。自分のチームを持たせてもらっていて、チームの人たちの能力を信じて、その人たちがどうやったら活かせるかということを、私は毎日考えているので。そこは作品においても軸として持っておきたいですね。
フラットな目線で描くキャラクターを観察する
ーー二人の好きなキャラクターやシーンについても聞いていきたいです。
竹内 私はシトリンです。
和泉先生 シトリンかわいいですよね。線画作家さんが描いたキャラクターを見て「あっ、これはちょっといけるかもしれないな」と思って調子に乗った結果があれです。(笑)
竹内 着彩チームからもとても人気があるんですよ!
ちなみに『推しまだ」は三名体制でやってるんですけど。ネームの方はオニキス推しで、線画の方はシトリン推しです。
和泉先生 面白いですね。(笑)私自身は、自作ではあえて推しキャラを作らないように、割とフラットな目線で各キャラクターを見ていますね。キャラクターを好きになってもらえるようにするにはどうすればいいか?と、客観視するようにしています。とはいえ、アリアというキャラクターは、やはり一番想定読書に近いキャラで、想定読者は自分なので、読者に近いキャラになるように努力をしています。
竹内 確かに和泉さんと話していても「このキャラが好き」っていう話はないと思っていて。逆に「このシーンが好き」っていうのはすごくありますよね。
和泉先生 シーンにおける読者目線での気持ちの高鳴りは伝えるようにしてますね!他の作家さんもちゃんと見てますよ!テンション上がってますよ、というのは伝えたいですね。
ーー今回の「推し活」というテーマに対して意識しているところはありますか?
和泉先生 「推し活をしている自分も好きだ」という方がいらっしゃる一方、「推し活を秘密にしている」という方もいると思います。なので堂々と「推し活が楽しいです」と言える場を作りたいっていうのもありますね。
それが一般化すれば、自分という人間をもっと好きになるし、推し活というものを肯定できる。推し活をするということはどういうことか、というところまで深掘りをしていますね。
私が発信したもので、ご自身が自分のことを好きになるきっかけを作れる。そんな人間になりたいと思っています。
なので今回のテーマは、いろいろな背景があって「推し活」をしている方々が、自分のことを好きになるきっかけになれば嬉しいですね。欲を言えば、『推しまだ』のキャラクターを推しにしてもらえるなら、なおのこと光栄ですね!
竹内 今作はそんな「推し活」への深い想いを素晴らしい作品へと昇華していると思います!
ーーありがとうございます!それでは最後に読者の皆様へメッセージをお願いします。
和泉先生 社会で生きていくということは、大変なこともありますよね。例えば、辛いときや元気になれないときに、LINEマンガの作品のコメント欄や作品の公式Xに遊びに来て、一緒に元気になってやり過ごせる、そんな作品にしていきたいと思います。辛いことがあったら遊びに来てください!いつでも私は待ってます。
竹内 最高の締めコメントありがとうございます!ぜひ『推しまだ』こと、『推しの一途すぎる執着を、私はまだ知らない』を読んでみてください!和泉さんありがとうございました!
和泉先生 ありがとうございました!
〜〜〜『推しの一途すぎる執着を、私はまだ知らない』 あらすじ〜〜〜
恋愛ゲームに登場するアレキサンドライトを推すことを生きがいとしているアラサー教師の飛鳥。アニメ版でアレキが他のルートでは死ぬという事実を知り、あまりの悲しみで意識を失った飛鳥が目覚めると、なんとゲームの中のモブ令嬢・アリアに転生していた。アリアは推しの死を阻止するべく、ゲームのヒロインとアレキをくっつけようと悪役令嬢のフリをして暗躍するも、なぜかアレキはアリアに夢中で……!?胸きゅんたっぷりの転生推し活ライフを描く、ラブコメファンタジー開幕!
■『推しまだ』以外にも、STUDIO ZOONオリジナル作品多数公開中!
現在『推しまだ』を含め多数のSTUDIO ZOONオリジナル作品が、LINEマンガ/ピッコマ/Amebaマンガにて配信中です。ぜひご覧ください。
『ヒトグイ』
LINEマンガ:https://u.lin.ee/gdeTSqy/pnjo
『BLACK SURGE』
LINEマンガ:https://u.lin.ee/wSL3C6Z/pnjo
『頂点捕食者』
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『敗戦の剣士、勇者の子と暮らす』
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『ツイタイ』
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『たぶん、浮気じゃない。』
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『最強の勇者、魔王に恋する』
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『運転手とCEOが結婚する話』
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