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映像制作ブック#001 企業が動画制作をプロに頼む理由


〜狭いコミュニティーに気づけない動画担当者〜


こんにちは、記事に興味を持っていただきありがとうございます。

某企業でインハウスクリエータをしながら、フリーランスにて企業、個人店舗を中心に、広告、映像制作、写真カメラマン、クリエイティブ関連の仕事をさせていただいております。

ピクチャー制作の観点から、広報や、経営者、マーケティング担当の方に向け、動画、写真撮影の観点からお役に立てる情報をお届けしていきたいと思います。

今回はYouTubeなどの企業動画の内制化における、プロに依頼する理由を少しだけお伝えさせていただきます。

先日、プロポーザル案件のプレゼン時の質問で「お金をかけてプロに依頼する理由は何ですか?」といった質問もあがりましたので記事にさせていただきます。

外注するべき動画と、内制するべき動画の棲み分け、整理方法のご参考にしていただけたらと思います。

動画制作に行き詰まっているご担当者さんに少しでもお役に立てたら幸いです。

結論 : 動画制作は適材適所!目的に合わせて外注しましょう!


まずは、結論から先にお伝えします。

「動画は誰でも手軽に簡単に作れる。小学生でも作れる!
が、しかし、ハイクオリティーな動画が手軽に簡単に作れる訳ではない」

まずは、この点に注意して下さい。
動画も料理と一緒です。

インタントに作れる冷凍食品で美味しいものもあれば、一流シェフの技術、食材のこだわりが詰まった高級なコース料理まで、価格帯とクオリティーは様々です。

顧客(視聴者)が見たい物は何?
求めているものは何?

まずはターゲットが動画で求めるものを考慮して企画を考えてみてください。

一流シェフじゃないと作れないのか?
それとも手弁当で作れるのか?

社内のチームでディスカッションしてみてください。

動画は簡単に作れる!は危険!?
インスタント動画とハイクオリティ動画


今時、お金をかけなくても動画なんて子供でも簡単に作れるでしょう?写真だってスマホカメラで十分!

と思われる方、外注する事にシブる経営者の方もいらっしゃるかと思います。

そこで、大まかに用途別に動画を2通りに分けてみます。

①簡易動画(インスタント動画、社内制作)
◾️配信先メディア
SNS、TikTok、Instagram、Facebookなど

◾️内容 : 親近感、共感、友達、インパクト

◾️用途:若年層へのアプローチなど、タイムセールなど今すぐに発信したい情報
(社内マニュアル、社内告知なども制作可能)

◾️主なターゲット
・10代、20代
・まだ商品やサービスを知らない、未認知、たまに視聴するライト顧客
・または、社内向け

◾️施策
・作り込みは逆効果の場合も!
目線をSNSアプリプレイヤーに合わせ、同じレベル感で手を繋ぐことがてきる事が重要

・撮影技術や高額なカメラよりもiPhoneで誰でもできる動画!がベター

・商品よりも人を全面に出すのが効果的!(ダンス動画、やってみた系など)

・商品よりも、人柄、社風を見せる

・社内資料などの場合は、情報が伝わればOK
デザイン性に時間を使わない。

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②ハイクオリティ動画(洗練された動画、外部業者制作)

◾️配信先メディア : TV、YouTube、ホームページなど

◾️内容 : CM、Web広告、PV、コンセプトムービー、インフォマーシャルなど

◾️ターゲット
社外向け、株主、既存客、常連、コアファン、一般顧客

◾️施策
・作り込んだ動画、企画、ストーリー
・高度な撮影スキル、撮影機材
・高度な編集スキル、CG、アニメーション、効果音など、入念に作られた動画

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しかし、当然ながら②についてはお金がかかります。

なぜなら、制作には必ず複数人が関わります。
人が労働したら工数に対して必ず対価は発生します。

制作費用は、関わる人数、作業の内容、作業時間によって数万円から数百万まで大幅に変ります。

ですので、費用は動画尺だけでは計れません。
内容の深度に大きく左右されます。

①にするか、②にするかを見極めるポイントは?

目的とペルソナ設定をきちんと整理することです。

①と②を比較した場合、レベル感と目的は大きく異なります。

①では簡易的な撮影機材、ソフトウェアーでも完結できるのでリスキリングなどで、社員育成は可能なので比較的制作チームを作りやすいです。

しかし、
②を制作する場合には当然、機材面、技術面、共に、プロの人件費と時間がかかります。

これらは決して安いものではありません。
かといって、自社でプロを育成するのは現実的ではありません。

制作に関わった人と時間の分だけコスト(費用)となります。

規模が大きく、難易度が高まるほど制作に時間がかかり、関わる人数も増えてコストも増します。

費用対効果をよく考えて、動画で解決したい「目的」「用途」「効果」に合わせて外部制作会社へ制作依頼しなければならないのか、内部制作で間に合うのか見極めるように心がけてみてください。

1, 動画担当者の育成 〜確証バイアスのワナ〜

社会のコミュニティー 「子供達から得た人間の本能?」〜

少し話はそれますが、日々人間観察をした経験の中から、確証バイアスに陥る担当者についてのお話をします。

私達は、毎日の生活の中で、会社、学校、地域、自治体、などコミュニティーには触れなければ生きていけません。

先日、休日に娘を公園で遊ばせている時にこんな出来事がありました。

となり町の公園で、ちょっとした出店のあるお祭りがあるということで娘を連れて遊びに行った時のお話です。

マンションに囲まれた都内の公園の一角で、地元の酒屋さんと新日本プロレスのレスラーの方がヨーヨー釣りや、スーパーボールすくい、水鉄砲でお菓子を打ち落とすゲームなんかがあり、地元の子供達で賑わっていました。

一通り楽しんだ3歳の娘は、公園で遊んでいた地元の子たちと遊びたかったようで。
仲間に入れてもらいたかったんでしょうね〜

「いーれーてー」と5歳くらいから小学校低学年くらいのお兄さんお姉さんの中に飛び込もうとしました。

しかし、その子たちは「なんだこいつ!きもーーー!」ってなるわけですね。ショック!!

その光景を見て悲しくなり、動揺を隠せない私はすぐに抱っこしてその公園を後にしました。

娘「なんでお兄ちゃんお姉ちゃん入れてくれないの〜」と泣きじゃくる。
娘を抱きながら、人間社会の嫌な部分を目の当たりにしました。

地元の子供達にとっては自分達のコミュニティー以外からの突然の侵入に戸惑っている。

地元の子供達の言動は、小さなコミュニティーの「村社会の構図」それを垣間見た気がしました。

でも、これは正に人間の本能と言いますか、邪気の無い子供達の行動なので動物的な無意識の本能でもあり「ありのままの姿」なんでしょうかね。

この出来事はマーケティングにもつながるなぁと「なるほど!」と勉強になりました。

よく考えれば自分の子供の時もありましたね。
「お前どこ小だ?」「お前どこ中だ!」「どこの町会だ!」
「お前隣の町会のやつか?この公園は俺らの町会の公園だぞ!」

自分たちの「日常」「縄張り」「遊び場」を壊されるのが嫌で、新たな侵入者を阻害しようとする心理・・・

なんなんでしょうね〜人間てやつは・・・

〜狭い価値観に囚われない〜

この出来事が動画制作と何が関係するのか?って思われますよね。

あなたも気付かぬうちに狭い価値観になっているという事に気づかなければなりません!っという事です。

あなたが今までにしてきた経験、見てきた出来事、知識や常識というものは、狭いコミュニティーや経験で培われた「ちっぽけな価値観」なんだと、まずは自覚できる事が動画企画者にとって最初に行わなければいけない事だと思います。

私がまず動画担当者へお伝えしているのは、「凝り固まった確証バイアスを壊してください」とお願いしています。

多くの人へ伝えるフラットな価値観を取り戻すために、まずはそこから初めてみる事をお勧めしています。

「凝り固まった確証バイアス」を壊していく。
それが、なかなか難しいんですけどね。。。

自分は素人なんだ!と言い聞かせて、些細なことでも大きなヒントにならないか?
アンテナの感度を敏感にしてます。

2,社内動画を私物化する 「確証バイアスに犯された担当者達」

さて前置きはそのぐらいにして・・・
映像を作る上で、自分の企画、発想が、社内、業界内の狭いコミュニティーにいることが把握できないまま確証バイアスに気づかないまま、企画コンテを書いている人をよく見かけます。

その映像がニッチトップを目指すものなら有効なのですが、「一般大衆に知ってもらいたい情報を発信する」という目的のメディアなのであれば、その道の専門家である感覚は捨てなければいけません。

職業柄、ある有名企業の社員が作成したYouTube動画の企画書を見る事もあるのですが、内容がかなりマニアックだったり、マニュアル動画のような、工程を書いただけ、パワーポイントを動かしただけ、どれも資料動画になりそうな企画書になりがちです。

そこには、一般大衆が楽しめる「エンタメ要素」は皆無といっても過言ではありません。

既存客やファン、マニアにとっては有効なコンテンツでしょう。

それでは、興味の薄い一般の客さん「見込み客や潜在顧客を取り入れたい」という目的には当てはまりません。

【とある担当者とのやりとり】
確証バイアス
に囚われた担当者の例として、私と担当者との会話のやりとりの様子です。
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私:この部品はどこのメーカーなんですか?日本製なんですか?

動画担当者:この部品はこのメーカーなのは当たり前ですよ?
そんなの知らないんじゃヤバいですよ。

私:無知なものですみません。。。失礼しました。
私のような無知な一般人でも楽しめるように、「この部品、実は誰もが知る日本の○○○が作ってるんですよ、意外でしょ?」と言った方がへ〜そうなんだ!って一般人はなりませんか?

動画担当者:え?そんなの今更感があるんですけど、、、
やっぱりそこから説明しなきゃダメですか?
あなたは、無知だからこの程度の内容でもわからないのでしょうけど、普通は知ってますよ?
うちの動画作るのだったらちょっとは勉強してきてください。
プロでしょ?

私:すみません。。。
でも、それって、私のような素人の視聴者に、無知なことを馬鹿にしている結果になることに気づきませんか?
お客様を馬鹿にする企業にファンはつきませんよ。
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と言った水の掛け合いが始まります。。。
大袈裟な例ですが、嘘のような本当の話です。

完全に確証バイアスに取り憑かれてしまっている社員の例です。

その世界では当たり前のことなのでしょうけど、一般の人から見たら未知の世界で興味がありません。

「そんな事より今日の夕飯はなにかな?」です。

慣れない企画書制作に頭を悩ませて、時間をかけて一生懸命作ったのにダメ出しされたらそれは辛いと思います。

決してその担当者の方を批判している訳ではありません。

逆に尊敬しています。

プロとしてその仕事に真面目に取り組んできた結果であって、敬意を払うところです。

マニアックになる事こそが、真面目にコツコツ仕事に取り組んできた証です。

日本人の真面目な性格が故に陥る落とし穴の一つの思考だと思います。

自分の知識発信は一旦捨てて、お客様からの質問、教えて!を聞き出して、消費者目線、特にまだ知らない人に向けて企画を考えてみましょう。

〜企画時に陥る2パターン「マニアックすぎる動画」「マニュアル動画」〜

前述したように、仕事への真面目さが裏目に出てしまったが故に起こりうる
2つのパターンを最近多く見受けられます。

①視聴者が知っている前提
マニアック、専門的用語で商品の説明をしている企画コンテを提出される事が多いです。

②資料動画
作業工程をそのまま時間軸に沿って並べられているマニュアル資料のような企画です。

これらの企画書を見た瞬間、その業界を知らない私にとっては
「これなんの話だろ??」
「この映像見て面白いと感じるポイントはどこにあるのだろう」

ググって予備知識をつけるところからのスタートとなってしまうんですね。
それだけで潜在客が視聴する機会を逃してしまうきっかけとなります。

よっぽど興味を持った人以外、一般の方は「早期離脱」するのみです。

せっかく動画までたどり着いてくれたのに機会損失は勿体無いですね。

マニアックな商品ならば、それを逆手にとって「マニアを育成するクイズ番組」などに思い切った番組にするというのもエンタメとして一つの手かもしれません。

また、違うタイプで「俺の知識をひけらかして、ドヤりたい!!」承認欲求が企画内に炸裂してこられる担当者の方もおられます。

こうなるともう完全にYouTubeの私物化が始まり担当者の趣味の世界に走り出しまてしまい大変危険です。

〜企画作りの勉強方法〜 動画担当者ならTV番組は絶対見た方がいい!

興味のない人が興味を抱いてくれるような企画を書いてくれたらいいのになぁと思うのですが、なかなかプロの作家でもない限り、その「仕事」が理解ができない動画担当者が多いのも事実です。

面白おかしく、飽きさせずに構成を作り上げることができるのがプロの構成作家です。

実は、動画制作において「企画」が全体の8割を占めると言っても過言ではありません。
私は部下にそう伝えています。

TVの構成は凄く長けていて、情報番組などを見ていても興味ないことへも興味が湧いたり、クイズなどを盛り込んで視聴者を維持させたりと、様々な手法が盛り込まれています。

「TVはつまらなくなった」と批判的になるだけではなく、動画を扱うマーケターにとっては得られることの方が多いと思います。
番組制作の手法などはとても参考になります。

TV番組は視聴者目線に立ったエンタメです。
視聴者目線に立つことで、日本の番組「SASUKE」がアメリカで「Ninja Warrior(ニンジャ・ウォリアー)」として放送して人気が出たように、世界に販売されるフォーマット販売され世界で人気の番組になるのです。

最近は「TV見ない自慢」をする動画担当者がとても多く悲しいです。

それは理解します!!私もテレビよりも携帯折衝の方が多いです。

スマホアプリの世界観、それはそれで楽しいです。

しかし、YouTubeなどの番組を作る際にはTVの構成が一番勉強になります!

自分が楽しむためにTVを見るのではなく、プロの構成や手法など、参考になるからTV番組は是非見てほしい!!とお願いしているのですが、なかなか伝わりません。

TVの前でオンタイムで見てほしい!と言っているのではなく、今はTVerやYouTubeなどでも視聴できるので是非、参考にしてもらいたいです。

一つの番組を分解して、紙に書き出し構成を分析して羅列してみる、という事を私もよくやっています。

そこから得られるものは身となり血となり知識となりますので、こういう番組作りたいと思ったら、まずはその番組構成を分解してみる事を是非やってみてください。


3, 社内の当たり前は、一般人の非常識?

日々、会社で生活を送っていると、似たような考えの人と長時間行動を共にしています。

上司や同僚の言うことに共感し、世の中全ての人が我々と同じマインドで生きているのだ!とまで錯覚してしまうこともあるでしょう。

こういった閉鎖的コミュニティや環境にいると人は保守的になり、変化を好まなくなってしまうことにも繋がります。

自分の考えが正しいと思い込み、自分が尊敬する先輩の行動が正しい道だと信じ、それが一般社会への「一方的な主張」動画コンテンツとなって現れることもあります。

そうならないためにも、第三者の映像制作者の目が必要となってきます。
客観的に俯瞰した目線で「趣味」ではなく「仕事」として見ることのできる映像制作のプロのコンサルを入れることでそれらを解決できる、一つの手段となると思います。

まとめ:個人YouTuberと企業動画の違い

個人配信者は、主体的な自分発信から視聴者の共感を得てファンを獲得していくのが主な目的です。

一方、企業動画に必要な要素はデザイン力 = 問題解決だと思います。

企業主観では無くお客様目線でコンテンツを作る事を心がけましょう。

【AISAS理論】
消費者行動経済学でよく用いる理論があります。
AIDMAやAISASといった理論です。
商品を知り、興味をもつ、検索、購入、シェアーまでの行動を、クロスメディアでさまざまなメディアからコンテンツを配信する事で相乗効果が期待できます。
複数のメディアへ、各メディアへ適したコンテンツを制作し運用することが重要で効果的です。

企業のイメージ、商品のイメージ、実際に商品に触れて信頼を得る。
そしてファンになっていただき、ファンの方が、口コミしてくれる。

このサイクルを考慮した施策を考えてみるのもお勧めします。

おさらい:動画の棲み分け

①インスタント動画
スマホ一つでも完結できる(TikTok,Instagram)
・瞬発的なアテンション狙い
・親近感
・同じアプリユーザー、同じ目線
・共感、協調、同調
アプリ内で流行りの音楽に合わせて社員が踊ってみたりするのも有効でしょう。

②ハイクオリティ動画
作り込んだ動画、ロングテールで楽しめる。
企業ファン、信頼獲得
・オフィシャルのきちっとした動画
・長く使える動画
・絵力、ストーリー、言葉、全てに力を入れたものを制作
それを実現するのが、プロの「企画」「撮影技術」「編集技術」


長文お読みいただき、誠にありがとうございました!

今後もピクチャー分野における広告マーケティングの記事をお届けして行きたいと思います。


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