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『讐 〜戦慄編』『讐〜絶望編』 感想

女子高生が女子高生に殺されたり殺したりする映画。

白石晃士監督お得意のPOV方式で撮影されている第一部では、有名進学塾の教室に殺人鬼と化した女の子が襲撃に来るところから始まります。

アイドル映画だからと言って舐めてるとその容赦のない暴力描写に緊張感が高まる。

金槌一本持った可愛い女の子が躊躇なく頭とか顔とかガツンガツン殴ってくるから恐ろしいです。

で、第一部では金槌少女に命を狙われた優等生美少女が、ひえーと怯えたりズーンと落ち込んだりして挙句にお母さんまで金槌少女に殺されちゃって、もう怒ったぞ、あいつら殺してやるんだから! と今度は復讐の鬼と化すのです。

いけいけやれやれ!と応援したくなるのですが、所々でどうもこの優等生は昔に何かしらの酷いことをしたらしいぞ、ということがわかってくるのです。

でもそれが何かは明かされぬまま、第一部は決闘シーンをバッチリ描いて終わっちゃいました。あれれ。

で、エンドロールが流れてその後、時間が戻って金槌少女が有名進学塾に入学したシーンが映されて終わり。二部に続く!ってことです。

どうなるのだろう。

第一部の謎が明かされる映画。
第二部だけ観てもどんな話かはわかるんですが、それじゃあやっぱり意味がないし味気ないよね、ということで続けて観る事をオススメします。

で、第二部では時間が戻り、金槌少女が有名進学塾に入学してくるところから始まります。

第一部でも少しだけ触れられていたのですが、この進学塾は異常です。

なんか気持ち悪いし、生徒たち使って詐欺まがいのことしてるというのがわかり、金槌少女は嫌だなあ、と思います。

だけど誰もそんなこと言わないし、皆先生に褒められて喜んでいる。

どうすんべ、と思ったところにばばーん、と遥というショートカットのこれまた美少女が金槌少女に手を差し伸べるのでした。すぐに二人は仲良くなる。良かった良かった。

ところがそれを面白く思わないのがあの優等生美少女でして、彼女は塾の先生に褒められることこそがアイデンティティみたいに思ってるので、遥みたいな塾のシステムに意義を唱えるやつが嫌いなわけです。憎んでると言ってもいいくらい。

で、どうするかというと、チンピラ二人を用意して、遥に酷いことをたんまりとするのです。あーひどい。

金槌少女は遥の顔に痣があるのを見つけて心配するのですが、遥は敢え無く自殺してしまうのでした。かわいそう。

で、事の真相を知った金槌少女は、優等生美少女達に遥の復讐を誓うのでした。

と、第二部を観ると、第一部では気狂いの殺人鬼にしか見えなかった金槌少女こそが良い奴で、悲劇のヒロインに見えていた優等生美少女こそが極悪非道であることがわかるのです。

なるほど、そういうことだったのね。
で、そこからは復讐の炎をメラメラと燃やす金槌少女と、相棒となる謎の復習代行人のナイフ少女による復讐劇が始まり、無事に第一部の冒頭へと繋がるというわけです。

で、この映画が面白いのは、第一部ではPOVの手ブレぶれぶれ映像だったのが、第二部ではキッチリと固定カメラによる普通の映画になるんですよね。

これはつまり、第一部の物語があくまでも一方からの視点でしかない、ということを表してるんですね。

第二部の第三者的カメラワークは物事を他方から観ると、同じ物語もまるで違って見えてくるということを実にわかりやすく表現しているのだなあ、と感心しました。

そういうお話だしね。

暴力描写が容赦なくて実に楽しい映画でした。オススメです。

あと、アイドル映画なので、可愛い女の子がわんさと出てくるのでそこもすごく良いです。

演技はみんな本職ではないはずなのにそこが気になって集中が切れるということもないです。

白石監督の演出力の凄さですねー。

#映画 #映画レビュー

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