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『P2』 感想

クリスマスの夜、ストーカーに地下駐車場で監禁されてすごく困る、て映画。

ホラー映画界の若き天才、アレクサンドル・アジャ脚本・製作作品。

クリスマスの夜、彼氏もいない美人OLのアンジェラは、セクハラ上司の誘いも断り、一人淋しくオフィスで残業。
その間にも姉家族からはクリスマスパーティーの誘いの電話がひっきりなしで、アンジェラは「早く仕事終わらせてすぐに行くから」なんて言っている。

ようやく仕事を終えたアンジェラは地下駐車場の自分の車の所へ。
エンジンかけて出発だ、と意気込むも、エンジンはプスンプスンとかかる様子がない。
「参ったなこれは」とアンジェラが頭を抱えていると、ビルの警備員であるトムがやってきて、「災難ですね。私が直してみましょうか」と優しく声をかけてくれる。

だけれど車は直らず、姉家族を待たせているアンジェラは、「もうタクシー呼ぶから良いよ。ありがとう」なんて言ってタクシーをコール。

ビルの玄関のところで待ってると、タクシーが到着。
アンジェラがビルから出ようとするとあれれ、ドアが開かないではないか。
せっかく呼んだタクシーは、「いたずらかよ質悪りいな」といった感じで、ブーンと走り去ってしまう。
困ったアンジェラは取り敢えず地下駐車場に戻り、地下入り口から外に出ようとするのだが、なんと地下駐車場の明かりが一斉に消えてしまい焦る。

すると暗闇の中、背後に警備員のトムの顔が浮かび上がり、アンジェラは気絶させられてしまうのだ。

アンジェラが目を覚ますと地下駐車場の警備員詰所の中。
何? ここどこ? 更に困惑することにアンジェラはセクシーなドレスに着替えさせられているではないか。
なんなのこの服、もうやだー。
と、そこへ現れたのは警備員のトム。

トムはニコニコしながら「一人もの同志、クリスマスを楽しく過ごそうじゃないか。そうするべきだよそうしようチキンもケーキも買ってあるよ最高だと思わない?」とベラベラ。

全く最高だとは思わないアンジェラだったが、トムは頭がおかしいというか、警備員室から監視カメラでアンジェラのことを見つめているうちに、彼女にふさわしい男は、そう、この僕! と思い込んでしまってる困ったやつなので、あまり刺激させるような事もできないし、さてどうすればこの地獄から解放されるのであろうか? と頭をフル回転させる。

挙げ句の果てに、アンジェラにセクハラしてきた困った上司はトムに捕まっていた。
縛られて泣き叫ぶ上司の背後に回ってトムはニコニコと「こいつって超許せないよね。君もムカついてだろ? さて、今からこいつをどうすると思う?」と、アンジェラにとっても上司にとっても全く正解が知りたいと思えないうんざりするようなクイズを出題するトム。
「さーて正解はですね」と、トムの狂気は加速を続ける……。

ごく限られた空間で、ごく限られたキャストしか出てこないのに、ものすごく面白いという傑作サスペンスホラーです。
主要キャストはアンジェラとトムの二人だけで、後は脇役が全部で四人くらい。それと犬が一匹、て感じです。

場所もビルの中の数フロアと地下駐車場の中のみ。
よって殆ど会話劇になるのかな? と思いきや、中盤からは殆どがアクションシーンになるのです。
限定された空間で限定された人数のみで、いろんなアクションシーンを描くのは、相当演出力とアイデアがないと飽きてくるのですが、その辺のハードルは難なく飛び越えてくれます。

終盤で「逃げてばかりじゃ生き残れない」と覚悟を決めたアンジェラが反撃に回るようになり、ラストの直接対決のシーンなんかも、「久しぶりに決闘を観た!」といった感じで大変血が熱く燃え上がるのでブラボー! です。

単純で息を付かせないストーリーにハラハラアクション、突如現れる残酷描写など、万人にお勧めできる優秀作品なのですが、一点だけ、犬好きの人にはちょっとお勧めしにくいシーンがあるので、そこだけ要注意です。

でもヒロイン・アンジェラを演じるレイチェル・ニコルズの、セクシードレスから今にもこぼれそうになるおっぱいは特筆すべき素晴らしさですので、おっぱい好きには断然お勧めです。
そこだけはトムを褒めてやっても良いかな、と思えるところ。

『ダイ・ハード』『グレムリン』『バットマン・リターンズ』に続く、新たなクリスマス映画の定番として、後世に語り継いでいきたい名作となっております。

#映画 #映画レビュー

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