『RUSH /プライドと友情』 感想
F1を通してお互いの人生を理解して行く映画。
元々『スノーピアサー』を観ようと思ってたんだけれど、雪で電車が遅れまくり、丁度良い時間の上映がこれしかなかったので、観た。
そしたら、予想以上に良い映画でした。
ハントは、悪ぶっていていつ自分が死んだって良い、と周囲には豪語してるんだけれど、本当は死を誰よりも恐れている。それは、彼がレース直前になるとゲーゲーゲロを吐くのでわかる。
ライバルのニキは、死ぬのなんて嫌だよ怖いよ、と言ってるのだけれど、本当は死よりもレースに参加することこそが自分のアイデンティティだと思って生きている。
結果、雨のレース場を前にニキはレースを中止しよう、と言うのだけれど、優勝を狙ってニキに勝ちたいハントはレースを行うことを主張する。
結果、レースは行われるのだけれど、そこで死よりも勝つことが本心だったニキは大事故を起こしてしまう。ニキはやがて死の淵から生還し、何とレースに復帰し、勝利する。
そこでようやく、勝負よりも大切な事に気付き、レースを棄権してしまうのだ。
片や勝負こそが自分の生き方だと信じているハントはレースを続ける。
二人が同じレースの途中で見る景色はまるで違う。
ニキは妻の姿を見、ハントはニキの姿を見るのだ。
結果、グランプリをハントは優勝する。
そしてそこで彼は人生をほぼ、終えてしまうのだ。
死を一度体験したニキは生きる喜びを知り、妻との人生を真面目にしっかりと謳歌して行く。
物語の始め、レースしかなかったニキと、レース以外も全て楽しんでいたハントはそこで逆転する。
ハントはニキに勝つこと、ニキはハントに勝つことをお互いに目標として、お互いの人生を高めあった物語の素晴らしさは、当人にしかわからないのだ。死と隣り合わせの職業であればなおさら。
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