『ウルフ・オブ・ウォールストリート』感想
ドラッグで自分を高揚させた男が株で成り上がっていって逮捕される映画。
ド最高でした。
個人的に映画、スクリーンで観たいものの殆どが詰まっていました。
2014年に観た映画でベスト2。
(ベスト1は『ゴーン・ガール』)
下世話すぎるパーティシーン一つとっても、巨匠スコセッシの手にかかれば格調も一つ高くなり、フロアを埋め尽くす人々の顔もしっかりと抑えていて「今このシーンで何が必要か」が観てるこちらにも浮き上がって観えてくるような気分になり、大層興奮しました。
会社のフロアにストリッパーや全裸の楽団が入場してきたシーンとか、天国と地獄の価値観は紙一重なのかもしれない、とさえ思ったり。
物語の冒頭ではまだ常識人であったディカプリオが、やがて人間性をなくしていくその切っ掛けになる男、マシュー・マコノヒーが、胸をドンドン叩きながら鼻歌を歌うあの眩暈がするようなランチシーン。
なんと、鼻歌はマシューのアドリブだそうです。
すげえ。
ラストでテーマ曲にすらなってたよ。
他にも凄いとこを揚げ連ねていけばキリが無い(なんせ三時間あるし)のですが、やっぱり『レモン』でグタグタになったディカプリオの帰宅シーンは素晴らしいの一言に尽きましたね。
俺が『ギルバートグレイプ』を映画館で観たとき、そこでディカプリオを始めて知り、即座に「あ、本当に障害持ってる人が役者やってるんだ」と勘違いした、あの驚異的な肉体のコントロール! 役者としての存在感! 説得力!
あんなの、普通できませんよ。
凄い。
で、そこからやがて庭先で事故を起こして血をおでこから流すシーン一連の素晴らしい物語運び。
何もかもを失った瞬間の描き方の残酷さ。
全くもって素晴らしい映画でした。
あ、あと勿論、地下鉄に乗るカイル・チャンドラーですよね!
あのシーンがある事で、物語の深みがグッと増します。
彼がディカプリオに始めて出会った船上シーンでの会話を思い出すと、余計にあの無言の地下鉄シーンが素晴らしいものになるんですよねー。
青空の下、何処までも行ける船。
陽の当たらない、レールの上を走る地下鉄。
思い出せば思い出しただけ良かったところしか思い出せない(なんだこの日本語は)素晴らしい映画でしたし、スコセッシ監督作品史上トップの興行収入というのも納得の傑作だと思います。
じゃあなんで満点じゃないのかというと、個人的な問題なのですが、人が独創性タップリに死ぬシーンがなかったからです。『インディ・ジョーンズ』シリーズとかみたいな。
惜しい!
あと、もうディカプリオはジャックニコルソンにしか見えない。
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