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『ぐるりのこと。』 感想

とある夫婦と、その二人の周辺をぐるりと描いた映画。

何事にもきっちりしたい妻と、茫洋としながらも包容力だけは広い夫。
対照的な二人は、お互いの足りない部分を埋めるかのように生きているが、子供の身に起きた不幸をきっかけに、そのバランスが崩れていく。

それでも生きていかざるをえない。

やがて二人は周りの人々や事件、社会の移り変わり(ぐるりのこと)に関わり、時に離れながらも、その中でも大切なものに気づいていく。

ジャケットにもなっているシーンが、本当に素晴らしい。夫婦の距離感と幸せと儚さをとても上手に切り取った名シーンです。びっくりしました。

本当にこのシーンがあることで、俺は自分の周りにいる人の人生に気づくようになった、と言っても過言ではない。
すみません。過言でした。
でも、それくらいこのシーンは、他の人にとってみたらなんでもないただの記念撮影のシーンで、本人たちにしてみたらとても大切なシーンなのだ。

そしてその切なさは筆舌にし難い。
思い出しただけで泣いてしまう。

やがてタイトルにもなっている、ぐるりのこと、は、主人公二人の周りの人の事だけではなく、主人公二人もまた、誰かの、ぐるりのこと、になってるのだ、とわかってくる。

妻と夫、それだけでも社会は出来上がる。
そこに子供が出来ることでさらに社会は広がる。

更に彼らそれぞれは繋がる人々によってその社会はどんどんと広がっていく。

ぐるりのこと。は、生きていく上で避けられない全てのことなのだ。

この記事のトップにあるリリーフランキーさんの衣装は、ただのボーダーではなく、線が斜めに入ったりしていてぶつかっている。

全ては真っ直ぐいかない。すぐに他の線にぶつかるのだ。
それでも線は進んでいかなくてはならないのだ。

本当に名作。

#映画 #映画レビュー

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