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『フライング・ジョーズ』感想

大きな鮫がワニと人を食う映画

午後のロードショーで観た。
劇場映画ではなく、テレビムービーだし、低予算のポップコーンムービーにブーブー文句言っても仕方ないのだけれど、余りにもお粗末な脚本と編集。何が撮りたいかわからない撮影。

オープニングで、転がってきたタンクに二人潰されて土手に血の染みを作るのだけれど、別アングルのカットだと、あるはずのその死体が綺麗さっぱりなくなってるとか、そんなののオンパレード。
恐らく、潰される死体はCGで作ったので、別アングルの時に、書き足し忘れたのだと思う。

ワニ祭りで盛り上がる田舎町の湿地帯に、密輸で運ばれた巨大鮫が放たれてしまい、サメとワニのダブル攻撃という恐ろしさに、皆がドタバタする映画になるはずだったのだが、誰が何を思ったか、ワニを殆ど鮫に食わしちまうのである。結果、ワニに対する恐怖はかなり薄れることになって良かったね、なのだが、ホラー映画としてはどうしてそんな愚かな選択をしてしまうのか首を捻らざるをえない。恐らく、ワニの分のCGや模型を作るのが大変だったので、やめたに違いない!

で、まあ、そんな風に話が進むので、物語のクライマックスとなるはずの、ワニ祭りの当日も、全く人がいないという有様。
合計で8人くらいしか客が映らない。
8人! 皆が楽しみにしてた祭りじゃないのか。

でもまあ、ワニは食われていなくなってしまったので、そんなところに人が誰も来ないのは当然と言えば当然であり、むしろそこはリアルに描いているとも言える。
でも多分、予算がなくてエキストラが集められなかっただけ。

なので、人がいっぱい集まったところに鮫が来て皆が食べられたり青ざめたりする、というシーンを撮影するのは不可能に近いというか、どう工夫しても無理なので、早々にそういうシーンは諦められ、結果、映画の前半と殆ど変わらない、主人公たちと、でかいんだか小さいんだかわからない(水面から見えるヒレの大きさと、人を食べる時に見せる全体の姿とのバランスが全然違う)一匹の鮫との、緊張感のない戦いが繰り返される。
で、『ジョーズ』に対する気の効かないパロディのギャグなどを挟みつつ、主人公たちは鮫に勝って、うやむやに終わる。

こういう「暇潰しにギリギリなるかならないか映画」に文句言ったところでこっちが愚かに見えるだけなのであまりしたくはないのだが、何が一番ダメって、こういうモンスターパニック物は、襲われる側の人間が元々抱えてる問題が、外の世界に登場して鮫や化け物の姿となって暴れており、そいつを倒すことがそのまま、主人公の抱える問題を同時に解決することになるところに、物語の面白味があると思うのですが、この映画には、まったくそういうことはなかったです。
だから誰が食べられようがピンチになろうが、どうでも良いんだよね。

フライングって言ってもこの程度なので、これでは普通に水面から飛び出す鮫だ! タイトルも『普通のジョーズ』に変えろ!

でもブーブー文句いいながらも最後まで観たので、楽しんでるんですよ。
本当に文句言いたくなるような映画の場合は、何も書く気がなくなりますから。

#映画 #映画レビュー

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