見出し画像

#21: 機材沼アカペラーがガチでオススメするオーディオインターフェース【予算ごと】

こんばんは、もりーです。
突然ですが2020年の春頃から学生アカペラ界隈は大きく変わりました。
変わらざるをえなかったというのが実情ですが。
先日書いた記事「#20: アカペラサークルこそデジタルミキサーだ!」でも言ったとおり今のアカペラは「作品」でバズる時代です。
MIXされた綺麗な音源、カットが入りまくったスタイリッシュなMV、そしてそれらを飾るバンドロゴ、といったような「作品」が高く評価されるようになりました。
そしてそれは相対的にiPhone1台でサークル棟の空き部屋で撮った一発録りの演奏動画の価値を大きく下げました。
僕のような技術屋からしてみると嬉しいものですが、それと同時に大学1~2年の頃あぁでもないこうでもないと試行錯誤していたノスタルジックな時代を真っ向から否定されているようで少しアンビバレントな気持ちになります。

前置きが長くなってしまいましたがアカペラーも宅録する時代なんだなぁとしみじみ思いつつ機材沼にハマった僕がアカペラーにガチでオススメしたいオーディオインターフェースを紹介します。

最初に選び方の基準、その機器の特徴、そしてそれはどんな人にオススメしたいのか、というような内容を交えて書きますのでそもそもオーディオインターフェースって何?って方は一瞬ググってきてもらうと話がスムーズです。

もちろんサークルでデジタルミキサーを所有している場合などはそれを使うのも手ですが、家で簡単にレコーディングできるのは圧倒的なメリットです。
落ち着ける場所で緊張せずに好きなだけ録り直せるのは人に見られながらレコーディングすることに比べると時間効率が良い気がします。

また、事前に忠告するとこの記事ではマイクについては触れません。とりあえずAT2020買えばいいです。

DTMは金がかかる、覚悟しろ。

最初に言いたいのはこれです。オーディオインターフェースにしろマイクにしろ、100円ショップで買えるようなものではありません。SM58ですら1万円する世界です。新品のコートを買うときの金銭感覚が一番近いのでそれをイメージしながら読んで下さい。それじゃ早速いきますね~

予算で選ぼう

この記事では予算に応じた価格帯でガチでオススメしたいオーディオインターフェースを書いていきます。財布と相談しながら買ってください!その予算で一番良いのをオススメします!
予算の都合上プリアンプが2発付いているものを対象にします。(基本的に4発以上のものはその下位互換製品が2発であるので)

1万円以下

このクラスは選択肢がないです。

BEHRINGER UM2

学生の味方、ベリンガーです。特に言うことなし。安い、ただそれだけ。
とにかく「良いもの」ではなく「安いもの」が欲しい方向け。

Native Instruments  KOMPLETE AUDIO 1

1万円以下で買うならこれですね。
録れ音は悪くはないし音源も付いてくるのでバリューは高め。
これを1万以下で売ってくれるサウンドハウスって奴に感謝だ。

この価格帯はちょっと色々と厳しいです。基本的にモニター音も不鮮明、録れ音も微妙という安かろう悪かろうの価格帯です。

1万円台

初心者の激戦区です。結論から言っておくとあまり大差ないのでどれ買っても大丈夫ですが確実に1年以内に新しいものが欲しくなります。
1万円台のオーディオインターフェースを買う人は自分がMIXするわけでは無いことが多いので録れ音重視でいきます。

TASCAM US-1x2HR

1万円台ではこれと後述のAUDIENTの2強です。プリアンプがやたら上品な音します。CubaseLEも付属しているのでDAW込みで欲しい方はこれ一択です。

AUDIENT evo4

か、カワイイ~!って思うくらい小さいサイズなのに録れる音はしっかりパワフルです。プラ筐体なので軽く頑丈なのでサッとリュックにしまってスタジオに行っちゃいましょう。このオーディオインターフェースの特徴として自動でゲインを取ってくれる機能があるのでマイクのセッティングに不安がある方には特にオススメ。レイテンシー(音の遅延)も許容範囲で下手な2万クラスのオーディオインターフェース買うならこれ買えって自信を持って言えます。コスパの鬼。
CubaseLEも付いてるからもう録音したい人はこれでいいです。

2.5万円~4万円

ここからは沼です。忠誠心が問われ始めます。フルバージョンのDAWを持ってない方はここから先立ち入り禁止です。ここの価格帯から一気に「オーディオインターフェース」らしくなります。
MIXもやるし録音もしたいという人はここから先の価格帯のものがおすすめです。録れる音と同等以上にモニターの音も大事になってくるのでそれらを両立できるオーディオインターフェースはここからになります。
かなりメーカー毎にピーキーな製品が出てくるので選ぶ楽しさが半端ねえよ。

MOTU M2

コスパの王です。とにかくプリアンプが良い。コンデンサーマイクのポテンシャルを活かせるプリアンプだと思います。
モニター音も満足度は90%です。僕はこれの上位版のMOTU M4を使っていますが満足度と最初の感動はデカかったです。
MIXの音がどうもよく聞こえづらい、エフェクトの効きが何故か全然わからないという方はまずオーディオインターフェースを疑ってこれを買いましょう。
またループバックも対応しているので、重ね取りしたい場合などはかなり便利です。

SSL SSL2

MOTU M2がコスパの王ならばこれはコスパの女王です。
こっちのほうがアナログ感ある音で録れるので女性ボーカルはキレイかも。出音はMOTU M2よりこっちのが好きです。どちらもコスパの鬼であることは変わりないので大学生で背伸びする目標としては一番のスイートスポットだと思います。
本製品の特徴は4Kボタン。アナログ機材特有の倍音を付加してくれる魔法のスイッチです。これを利用してアカペラの録音を行うとコンプやEQ、リバーブの効きがめちゃめちゃ良くて伸び伸びとミキシングできます。
楽しくミキシングしたいならこれ。
こちらはループバックに対応していないのでMOTUとすごく一長一短の双璧なんですよね。この価格帯はほんとにこの2台が強い。

AUDIENT Sono

かわいい。AUDIENTのデザインセンスはまじで良いと思います。
オンボードDSP搭載なのでエフェクトの掛け録りができますね。
真空管プリアンプ搭載なため温かい音です。解像度はM2のほうがある気がします。
出音はちょっと硬め。コスパでいうとあまり優れていませんので番外編ということで…

4万円~10万円

ここからは趣味というか生きがいというか沼と言うか…な世界です。
音の好みとか、こういう録れ音で録りたいとかそういう話になってきます。
モニターに癖がなくなってくるのもこの価格帯から。
MOTUやSSLからのステップアップ先にピッタリです。

FOCUSRITE Clarett+ 2 Pre USB

Forcusriteの商品の真骨頂はScarletシリーズではなくこのClarettシリーズ。モニター音がこの価格帯ではずば抜けているのでとにかくいい音が欲しい方はこれと適当なプリアンプ1発買うと幸せになると思います。
また、この低価格ながらADAT光入力に対応しているためこのようなADATインターフェースを接続することでバンドや全体曲の一発録りにも対応できる強みがあります。
デザインも落ち着いた赤色なので無骨なスタジオのワンポイントにオシャレですね。

ANTELOPE AUDIO Zen Go Synergy Core

使ったことないのでわからないけど新製品です。デザインは近未来的でかっこいいですね。ANTELOPEがこの価格帯で発売したからにはかなりピーキーな性能な気はします。
目玉機能としてはやっぱりSynergy Coreでしょうか。DAWからのルーティングを行うことでアウトボードとしてAntelopeのエフェクトを利用できるためアウトボードを買うことを考えるとコスパが良い上に低スペPCでもガンガンエフェクトをかけることができるという感じです。


UNIVERSAL AUDIO APOLLO SOLO USB Heritage Edition

名家Universal Audioの数あるApolloシリーズの中でも入門用の最廉価モデルです。
実質Mac専用なのでWindowsユーザーの僕としては水と油です。
LUNAというDAWやUA 610-Bと言ったハイクラスなエフェクト、マーシャルのギターアンプシミュレーターなどオマケが山盛りです。
Unisonテクノロジー搭載のマイクプリ2基と、SHARCチップと呼ばれるDSP1基を内蔵している点が特徴です。
これらを駆使することで、何十万円もするヴィンテージアウトボードの挙動をシミュレートしたレコーディングができます。
サウンドの傾向としては少しきらびやか過ぎる部分が否めないので録音用には最高ですがMIXやマスターにはちょっと、という印象。

基本的にMOTUのハイエンド製品群は10万円以下なのでMOTUのサウンドは好きだけどもっと解像度が欲しい、みたいな方はMOTU UltraLite mk3 HybridMOTU UltraLite mk5あたりを見てみると良いかもしれません。厨ニ心をくすぐられるデザインですよ。

10万円~

僕も踏み入っていない未知の世界ですが、冬のボーナスが入ったらRME Babyface Pro FSを買おうと思っています。
この価格帯になると一気に初心者御用達のSteinbergやYAMAHA、BEHRINGERのようなメーカーは見なくなります。※ごく一部のフラグシップを除いて

RME、ANTELOPE、PRISM SOUND、APOGEEなどの超名門メーカーが出している本気の製品群なので「これが良い」とかじゃなくて「これが自分の作風に合う」みたいな選び方になってくると思います。
最近リニューアルした宮地楽器RPM(Recording Proshop Miyaji)に来店予約して試聴しましょう。

もはやこの価格帯のものに手を出すなら先にマイクやモニター環境、プリアンプ、プラグインなどに一旦回り道したほうがトータルで幸せになると思います。何もオーディオインターフェースだけがお金かかるわけではないですからね。

まとめ

録音に用途を限定するなら最低AUDIENT evo4、MIXまで持っていきたいならSSL2クラスのものは欲しいかなというところです。出音のクリアさはどうしても重要になってくるのでかなりお金がかかってしまいます。

どうしても録音環境を格安で構築したいという方はUM2AT2020の組み合わせ(約1.8万円)でデビューするのがいいでしょう。
Noahなどのリハーサルスタジオではコンデンサーマイクの有料レンタルを行っているので仮歌だけ家で安く済ませて、本テイクは機材持ち込みでマイクだけ良いものを使うようなライフハックもありますよ。

一人1台オーディオインターフェース。
作品でバズる時代の舵を切っていきましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメントや感想がある場合はTwitterで引用リツイートなどをしてくれるとモチベーションに繋がります。

ありがとうございました。もりーでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?