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ストレートの平均球速と分散と得点価値の関係

 先月の分析では、ストレートの投球数と平均球速と球速のばらつきの関係を分析しました。

 投球数が増えると球速にもばらつきが出てくると考えていたのですが、結果としては逆に回が進むほどばらつきは小さくなっていました。
 
 今回のテーマは、こうした球速のばらつきの大きさは投球成績にとって良いものなのだろうか?という点について検証してみたいと思います。
 
 素直に考えれば、パフォーマンスのばらつきが小さいほど、投球成績は良くなりそうに思えますが、どうでしょうか?

球速のばらつきと得点価値

  今回は分析に2022年のMLBのデータから、ストレートの投球数が先発では100球以上、救援投手では50球以上の記録のある投手を対象としました。
 
 彼らのストレートの平均球速と球速のばらつき(標準偏差)を求め、ストレートの投球価値との関係を比較しました。同程度の平均球速の投手の標準偏差の違いが得点価値の高低とどのように関わってくるかという所を見ていきたいと思います。
 
 まずは左の先発投手のデータを以下の図1-1に示します。

 横の軸に平均球速を、縦の軸に標準偏差の値をとっています。横に行くほど球速が速く、上に行くほど球速のばらつきが大きいことを意味します。そして、プロットの色で得点価値を表しています。
 
 得点価値は標準化された値なので、0が平均で、赤が濃くなるほど得点価値がプラスに大きく、青が濃くなると得点価値のマイナスが大きいことを表します。
 
 データを見ると、上の方が赤いプロットが多くなっており、球速のばらつきの大きい投手ほど、得点価値が高いことを表しています。
 
 この傾向は右の先発投手でも見られるかということで、データを以下の図1-2に示します。

 右の先発の場合、下の方に青いプロットが多くなっています。つまり、球速のばらつきが小さいほど得点価値がマイナスの投手が多いことを表しています。
 
 同様の集計を救援投手でも行ったものを以下の図2-1と図2-2に示します。
 

 救援投手では先発投手で見られたような傾向は見られません。図2-2の右の救援投手などは、球速のばらつきに関わらず平均球速の速い投手ほど得点価値が高くなっています。

まとめ

  以上、ストレートの球速のばらつきと得点価値の関係を集計しました。先発投手の場合、予想とは逆に球速のばらつきが大きいほど得点価値が高い傾向にありました。だからといって、故意に球速をばらつかせる必要はないと思うのですが、この関係の背景には何があるのか、もう少し掘り下げたいと思います。
 
 タイトル画像:いらすとや

データ

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