見出し画像

minimumArea 4: ストックイラストの大型ベクター画像用にAi/EPSを複数サイズで書き出す Illustrator スクリプト(アプリ)

ストックフォトサービスShutterstockにベクター画像(EPS)を寄稿する際、幅×高さで算出する寸法が4MP(メガピクセル)以上必要になります。

どれくらいの大きさかと言うと、幅2,000ピクセル × 高さ2,000ピクセル = 4,000,000ピクセル = 4MP 、ミリメートル換算では 幅700.56mm × 高さ700.56mm くらいです。ストックイラストをそこまで大きく描く方は少ないでしょう。さらに言えば上限もあり、大きさは25MPです。

Adobe Stockでは、アップロードするベクター画像に15MPの寸法を推奨しています。以前はベクター画像と一緒につけるプレビュー用ラスター画像を拡大すれば済んでいましたが、今はベクターデータ自体を大きくすることになりました。

つまり審査に通すため、次のような作業が山のように発生します。

 Shutterstock用に、各Illustratorデータの大きさが4MP以上になる拡大率を計算し、実際に拡大したあとEPS保存する
 (推奨通りの大きさにする場合)Adobe Stock用に、各Illustratorデータの大きさが15MP以上になる拡大率を計算し、実際に拡大したあとAiまたはEPSで保存する

今回紹介するのは、まさにそのためのIllustratorスクリプトです。


スクリプトのあらまし

おもにShutterstockやAdobe Stockへのベクター画像アップロードのため、事前に指定した複数のサイズ・フォーマットにて自動的にIllustrator書類をリサイズ・書き出しするIllustrator用スクリプト、minimumArea 4.0です。

寸法が4.5MPになるよう自動リサイズしEPSとして書き出す、元のサイズが何であれ500%に拡大してAiとして書き出す、などの指定ができます。

元のファイルには手を加えず、編集後のファイルは新規フォルダにまとめて別名保存します。

便宜上スクリプトと呼んでいますが、実際はTauriと言う技術で作られたmacOS・Windows両対応のマルチプラットフォームアプリケーションです。インストーラはそれぞれのOS用に分かれ、2つあります。

macOS用(app)
macOS 10.14以上に対応。macOS 10.14/10.15(Intel)、11.6/12.7/13.6/14.3(Apple Silicon)で動作を確認
Illustrator CS6、またはそれ以上のIllustratorに対応。CS6、CC2015.3〜2024で動作を確認

Windows用(exe)
Windows 10以上に対応。Windows 10/11で動作を確認
Illustrator 2023以上に対応。2023〜2024で動作を確認。それより古いバージョンでも動作する可能性が高い

使いかた

アプリのウインドウにファイルをドロップする、あるいはメニュー File > Export… を実行し、ファイル選択ダイアログを開くなどして対象のIllustratorファイルを指定するだけです。ファイルは複数まとめて渡せます

初期設定ではShutterstock用に4.5MPのEPSを書き出す設定だけが有効になっていて、スクリプトは下記のように働きます。

1 ファイルを複製しIllustratorで開く(元ファイルは変更されない)
2 アートボードを基準にして幅と高さを測り、4.5MPのサイズになるよう拡大・縮小率を出す
3 大きさが4.5MP以下なら4.5MPに拡大、24.5MP以上なら24.5MPに縮小する
4 Illustrator 10 EPS(プレビュー・サムネールなし)で別名保存する

4.5MP・24.5MPはそれぞれ、Shutterstockのサイズ下限4MP・上限25MPから0.5MPの余裕をもった数値です。この動作はminimumArea 3までのバージョンと同じです。

動作は後述する環境設定で変更できます。

Adobe Stock用のサイズも追加したいかたは、画像の通りに 書き出し設定 > 書き出し項目 の上の2つのセットを有効にしてスクリプトを実行してください。そうすれば、Shutterstock用に加えAdobe Stock用サイズのAiファイルも書き出すようになります。

動画で見たい

インストール方法

macOS用にはdmgファイルで、Windows用にはexeファイルでインストーラを用意してあります。ダウンロードして開けば指示が出るので、それに従って進めればOKです。

インストールが済んだらminimumAreaアプリを開いてみてください。ウインドウが出てきたら成功しています。

起動しない/動かない

セキュリティの関係でOSやセキュリティソフトが動作をブロックすることがあります。いくつか例を挙げますのでご対応をお願いします。【解決】ストックイラストの大型ベクター画像用にAi・EPSをリサイズしたい!に、より詳しく情報を書きましたのでそちらもどうぞ。

macOS
インターネットからダウンロードしてきた、開発者未登録のアプリケーションはユーザーが起動を許可する必要があります。右クリックして、コンテクストメニューから[開く]を選ぶと簡単にできます。

minimumArea.appがIllustratorを利用する許可を求められることがあります。システム設定 > プライバシーとセキュリティ > オートメーション と辿り、minimumAreaの項目のAdobe IllustratorをONにしてください。

Windows
セキュリティソフトがminimumArea内蔵のdoscript.exeをウイルスとみなし、隔離することがあります。doscript.exeを復元して元の場所に戻し、ウイルス検出対象から外す設定に変更してください。

注意点

スケール形式にMPを選んだ場合は最大サイズが24.5MPに制限され、それより大きい場合24.5MPになるように縮小されます。%を選んだ場合は最大サイズに特に制限はなく、Illustratorのカンバス内に収まればOKです。

このスクリプトではアートボードを基準としてサイズを計算します。ShutterstockやAdobe Stockの審査ではバウンディングボックスを基準にするので、オブジェクトとアートボードの間に余白がある場合はアートボードと同じ寸法の塗り・線なしの四角形を配置してください。

スクリプトは拡大処理をする前に自動でレイヤー/オブジェクトのロックを解除し、非表示を表示に変更します。

拡大処理は手動でするときと同じように、すべてを選択、拡大・縮小ツールで拡大、という順序で進みます。これにより、不透明マスクがついてこないなどスクリプトにありがちなトラブルを避けられます。また、線幅や効果、パターン、ライブコーナーなどは比率に応じて変更します。ただし、Photoshop効果のぼかし(ガウス)など、リサイズに追従しない効果もあるので注意してください。

環境設定

アプリを起動した状態で、メニューのPreferences…(macOSのバージョンによってはSettings…)を選ぶと環境設定画面が開けます。ショートカットはmacOSではcommand+K、Windowsではctrl+Kです。環境設定では保存方法の指定・自動編集処理の追加・表示言語の変更などができます。

書き出し設定
Illustratorの[スクリーン用に書き出し]のような操作で、書き出す書類の大きさとフォーマットを指定します。1行分が1つの書き出し項目セットになっています。

設定の変更は即時適用されるため、環境設定ウインドウを開きっぱなしにして、今使いたい書き出し項目セットだけ有効にして書き出し処理を実行すると便利です。

(1) 書き出し有効: 書き出し項目セットの有効/無効(書き出すか書き出さないか)を切り替えるチェックボックス。ONで書き出し有効・OFFは書き出し無効
(2) セット名: 書き出し項目セットの名前。この名前で自動でフォルダができ、ファイルが保存されていく。フォルダ名として使える文字のみ指定可能
(3) スケール値: 拡大・縮小に使う数値
(4) スケール形式: 拡大・縮小形式。MPのときはスケール値で指定したメガピクセルを目指してリサイズし、% のときはスケール値で指定した百分率で拡大・縮小する
(5) フォーマット: 保存フォーマット。AiとEPSを指定可能
(6) 編集: 編集設定で指定した自動編集処理を実行するかどうか。ONで実行する・OFFは実行しない
(7) このセットを削除: その行の書き出し項目セットを削除
(8) 書き出し項目セットを追加: 書き出し項目セットを末尾に追加。自分の好きな設定を追加で作れる

(9) メニュー: 書き出し項目メニュー。次の機能を利用可能
初期設定に戻す → 書き出し項目をアプリ出荷時状態に戻す
プリセットを読み込み… → 書き出し項目プリセットのJSONファイルを読み込み、適用する
プリセットとして書き出し… → 現在の書き出し項目の状態を、JSONファイルのプリセットとして保存する


保存オプション

おもに保存フォーマットごとのオプションを指定する項目です。minimumArea 4ではIllustrator書類を必ず別名保存するため、書き出しの際にはここの設定が使われます。AiとEPSがあります。

編集
書類ごとに自動で実行する編集処理の内容を指定する項目です。ON/OFF切り替えは書き出し設定でします。

アピアランスの分割がONの場合、書類上のオブジェクトを全選択した状態で[オブジェクト->アピアランスを分割]を実行します。分割できるアピアランスがある場合はただのオブジェクトに変換され、ない場合は何も起こりません。アピアランスが残っていることが原因の不合格を避けられるのがメリットです。

ドロップシャドウや光彩などのラスター効果は画像化されるので注意してください。それはそれで不合格の一因となります。

アートボードサイズの四角形を自動作成がONの場合、アートボードと同じサイズで塗り・線なしの四角形を自動作成します。対象のレイヤーは次の四角形配置レイヤーの設定で決まります。

minimumAreaは規定サイズかどうかをアートボード基準で計算しますが、ShutterstockやAdobe Stockの審査ではオブジェクトのバウンディングボックスを基準にします。そのためオブジェクトとアートボードの間に余白がある場合は、アートボードサイズの四角形が必要です。ONにしておけば手作業から解放されるうえ、微妙にサイズや位置がずれるミスを防げます。

[アートボードサイズの四角形を自動作成]がONのとき、四角形配置レイヤー名で設定した名前のレイヤーに四角形が配置されます。もし該当レイヤーがなければ、書類の再背面に新規レイヤーが追加されます。

Language
環境設定画面の言語を変更できます。Japanese(日本語)とEnglish(英語)から選んでください。初期設定は日本語です。

もっと詳しい説明

トラブルシューティングや環境設定など、詳細はリンク先を参照してください。
【解決】ストックイラストの大型ベクター画像用にAi・EPSをリサイズしたい!

旧バージョンの情報はこちらです。

買う

macOS用/Windows用アプリをセットで販売しています。ぜひ購入していただき、下のリンクからダウンロードしてください。バージョン4.0.0・4.0.1がダウンロードできます。

ここから先は

100字

¥ 3,000

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?