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愛は会社を救う 〜 中央タクシーの神対応 その①

「愛しあってるかい?」

これは、言わずと知れた忌野清志郎のお得意のフレーズでした。私はこの「愛しあってるかい?」の問いかけが今の企業に必要とされているのではないかと考えるのです。

「何いってんの?」と思うかもしれませんが、まあ、聞いてください。マジな話です。

企業が利益を上げて生き延びていくためには、他社との差別化が必要です。しかしながら、これだけモノやサービスが溢れている現代は、差別化をどうやって図るかが、とても難しくなっています

たくさんのモノやサービスがあり、値段と質に大差がない場合、あなたは何を基準に一つの会社を選択をするでしょうか? おそらく、応援したい会社やなんとなく好きな会社を選ぶのではないでしょうか?

そうなんです。この「応援したい」や「好き」という感情を顧客に持ってもらうことが重要なんです。つまり、「愛される会社」になるんです。

では、どうすれば、「愛される会社」になることができるのか?
まずは、「愛される会社」の実例を紹介しましょう。

長野市で1975年に設立された中央タクシーです。従業員は約200名のこの会社、とにかく長野市民から絶大な人気を誇っているんです。売上は13億3000万円(2019年度)と長野県トップのタクシー会社です。

この中央タクシーには配車依頼が殺到(9割が電話による配車)するため、長野駅前のタクシープールにはほとんど姿はないのです。そして、30分でも1時間でも待ってもいいから、とにかく中央タクシーに乗りたいという熱烈なファンが多いんです。

人気の理由は、運転手の対応がとてもきめ細かく、サービスが行き届いているからです。そしてもはやそのサービスのレベルは、伝説として語り継がれるほどです。

例えば、車椅子のお客さんから、病院へ行きたいとオーダーを受けたときの話です。運転手が自宅までお迎えに行くと、車椅子が大きすぎで車に入らないことが分かりました。普通であれば、そこで乗車を断るのが当たり前です。ところが、運転手は、工具を取り出し、1時間もかけて車椅子を解体したのです。そしてそれを車に乗せ病院まで行き、到着後、また車椅子を組み立ててあげました。もちろん、いただいたのは走行料金だけです。

こんなエピソードもあります。観光で長野を訪れた夫婦が中央タクシーを利用したときの話です。ご主人が車に酔って車内で吐いてしまい、着ていたセーターが汚れてしまいました。目的地のホテルに着くと、その夫婦は、汚れたセーターを捨ててもらうように運転手に頼みました。

翌日、夫婦がチェックアウトしようとすると、ホテルのフロントから預かり物があることを告げられました。なんとそれは、きれいに洗濯されたセーターだったのです。運転手が自ら洗ってホテルへ届けてくれたのでした。
(その②へ続きます)

参考資料:『ダントツ企業「超高収益」を生む、7つの物語』宮永博史著 (NYK出版新書)


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