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おバカだけど心に残る映画 その2 『変態家族 兄貴の嫁さん』

今回お届けする映画は、『変態家族 兄貴の嫁さん』です。タイトルを見れば、ピンク映画ということが一目瞭然です。第一回目に引き続き、またもやお色気映画ですみません。

ただし、あなどってはいけません。この映画、あの『Shall we ダンス?』の周防正行監督のデビュー作なんです。周防監督といえば、他にも『シコふんじゃった。』や『ファンシーダンス』など、素晴らしい作品がたくさんあります。

で、この『変態家族 兄貴の嫁さん』は、ピンク映画でありながら、あの小津安二郎監督へのリスペクトとオマージュにあふれた作品なんです。

カメラワークもセリフも、すべて小津安二郎調に作られています。

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(ローアングルから撮影する小津安二郎監督)

また、小津監督と言えば、笠智衆のぼくとつとした演技が有名です。

その、小津安二郎映画の代名詞でもある笠智衆になりきる大杉漣(当時33歳)。まだ下積み時代の彼の演技は必見です。

笠智衆

(笠智衆と大杉漣)

ただ、残念ながら、私はこの映画のストーリーをほとんど覚えていません。というか、この映画にストーリーらしいストーリーはなかったかもしれません。(もともと小津安二郎の映画もストーリー性はない)

兄が結婚をして、お嫁さんが家に来る。
兄とお嫁さんが2階の部屋で、夫婦の営みに励む。
1階の居間にいる父(大杉漣)と弟まで、喘ぎ声が漏れてくる。
そんな状況下で、大杉漣が笠智衆ふうに遠い目で「そろそろ秋かぁ」などとつぶやく。

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まったくもって、おバカな映画です。
では、何がそんなに心に残ったのか?

それは、

小津安二郎テイスト ✕ エロ


この2つの相容れないものを掛け合わせることにより、唯一無二の世界観を作り上げているのです。

これは、マーケティング用語でいうところの「バンドリング」です。
バンドリングとは、2つ以上のモノやサービスを組み合わせてセットにして売るビジネスモデルを指します。

例えば、iPhone は3つの機能を合わせてヒットしました。
携帯電話 ✕ デジカメ機能 ✕ 音楽プレーヤー 

またNetflixは、
映画のデジタル配信 ✕ オリジナル映画の制作
で、クオリティの高い独自作品を生みながら、成長を遂げています。

つまり、『変態家族 兄貴の嫁さん』は、バンドリングにより、誰もなし得ない未知の領域へ達した映画なのです。

しかも全く相容れない2つのモノを強引にバンドリングしたところに、周防監督の凄みを感じてしまいます。

この映画、楽天TVでレンタルできますよ! ただし、R15+です。

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