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【物理】蹴れば蹴るほど滑る理由

コートを蹴っている人にご連絡です。「あなたが蹴ろうとすればするだけ、滑る仕組みになっています」ご注意ください。

足元の物理学です。蹴って移動する人は、地面を蹴った分の反力を身体に受けて進んでいます。上の図で言う「地面から足が押し返される力」のことです。

足が地面を蹴る力はその真逆方向へ同じ大きさの力となります。図中の斜め点線がそれに当たります。この力は摩擦力と地面を押す力に分けられて、いるわけです。そして、しっかり摩擦力を得るためには地面をしっかり押さないといけません。これは堅いジャムの瓶の蓋を開けるときに力一杯握りしめるのと同じです。

さて、一生懸命に地面を蹴ろうとする人たちは、どういうことをしているか考えてみましょう。きっと足の角度を水平に近づけていくことでしょう。そりゃ、より力強く進みたいから、進行方向への力成分を増やしたいからです。となると、足は傾きます。その結果、力の配分として、摩擦力方向の成分が大きくなり、地面を押す力は小さくなります。
地面を押す力が小さくなると、足と地面との間の摩擦力が小さくなります。ところがそちら方向への力成分が増してます。その結果、横方向への力成分に摩擦力が耐えられなくなって滑るわけです。

まとめ

足を傾けて懸命に蹴ると、地面を押す力が減ってしまい、靴のグリップが減ってしまうのに、横方向への力が増えてしまうから、スリップが生じます。つまりこの動き方はテニスに向かないということです。この動き方が許されるのは、地面と靴の間のグリップが無限に稼げるスパイクシューズを履いた場合のみなのです。テニスにおいてスパイクシューズは使用不可です。オムニコート用のイボイボソールはスパイクではありません。

オムニ用のシューズじゃないとオムニコートで滑って困るという人は、これに陥っている可能性が高いです。スパイクを履かない種目において、地面を押すということがいかに重要かわかっていただけたでしょうか。蹴らない動き方を覚えて幸せになりましょう。


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