【物理】トップスピンの方が低く跳ねる
図はバウンドの瞬間の直前直後を拡大して示しています。図中①は地面に向かって飛んでくるボールの軌道を示しています。とりあえずはトップスピンであろうと、スライスであろうと同じ軌道で飛んで来た時を仮定して考えてみましょう。簡単にするため、空気抵抗は無視しています。
斜めに落ちてきたボールの速度を水平方向と垂直方向(正確には鉛直と言うべきですが、馴染みが無いかと思いますので、垂直としています。)に分けて考えていきます。高校の数学や物理の授業で習う「ベクトル」の考え方がわかっている方にとっては図を見るだけで理解できる話かと思います。ちなみに入射水平成分は等速直線運動で、入射垂直成分は下向き投げ下ろし運動です。したがって水平方向の速度は変わりません。垂直方向に関しては重力に引っ張られるのでどんどん加速していきます。実際はどんどん下向きに角度が急になる訳ですが、瞬間を拡大してますので①は直線で描かれてます。
さてバウンド後の話をしましょう。②はトップスピンです。出射垂直成分は大体、ボールの反発係数的に入射垂直成分の7割です。出射水平成分はボールの順回転で加速されますから、入射水平成分よりも大きくなります。つまり、図にあるように入射角よりも低く跳ね上がることになります。
さて、一方、スライス(アンダースピン)の時を考えてみます。図では赤色で表現してある③がそれです。出射垂直成分はトップスピンのそれと同じになります。出射水平成分はトップスピンとは逆に、逆回転がブレーキになり短くなります。したがって、トップスピンよりも高く跳ね上がります。イメージとは異なりますが、「同じ入射角なら」このようになります。
滑るスライスを打ちたいなら、低い弾道で飛ばさないと、低く跳ねてくれません。飛翔中に失速するスライスが得てしてチャンスボールになってしまうのは跳ね上がりが理由となります。また、低い弾道でトップスピンを打つと跳ね上がりません。バウンド後の伸びで相手を押し込むことならできます。
実際の打球においては、空中での速度がトップスピンとアンダースピンで異なりますし、弾道も違います。さまざまな要因が重ねがけになって来ますから、複雑になりますが、「トップスピンは跳ね上がるのではなく、伸びる球」、「スライスは滑るのではなく、ブレーキのかかる球」ということを覚えておいてください。
年末30日ですが、まだ年賀状を書いていません。この記事を公開したら作業するかと先延ばし中です・・・。